【 フリーゲージトレインの挫折 その2 】 [鉄道]
【 フリーゲージトレインの挫折 その2 】
フリーゲージトレイン(FGT)の問題には、今の日本の鉄道行政全体の問題が凝縮されています。
誰が考えても、日本の鉄道は最初から標準軌で統一されるべきだったのです。
しかし、150年前、英国から鉄道システムを購入しようとした時、英国ではインドから受注していた狭軌の鉄道一式がキャンセルされ、余っていました。そこで狭軌なら格安の価格で、短納期で納入できる・・・・とそそのかされ、大隈重信と井上勝はそれにのってしまいました。
1067mm幅の狭軌は、もともと、植民地用のゲージだったと言われますが、全ての植民地がそうだった訳ではありません。インドには複数のゲージがあり、たしか世界最大のゲージの鉄道もインドにあります。ゲージが統一されず、バラバラだったのはオーストラリアもそうです。以前は、海岸の各港から内陸に向かってテンデンバラバラのゲージの鉄道が敷かれていました。
狭軌で統一されていたのはアジアの植民地に宗主国がイニシアチブを取って敷設した鉄道だけです。
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日本の場合、鉄道省から国鉄、JRの時代まで広軌(標準軌)派と狭軌派の対立としこりを生む原因になりました。
いずれ、日本の幹線鉄道が標準機に改軌されていくにしても時間がかかります。ミニ新幹線方式を採用するとしても、段階的に進める必要があり、その間、長距離列車は変則的なリレー方式を強いられます。リレー方式は全通する前の九州新幹線で採用されましたが、乗客には不便この上なく、なるべく避けたいところです。
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FGTの開発はその問題を克服し、改軌プロジェクトを円滑に進めるための有力な技術だったのに・・・挫折してしまいました。
2. 分割民営化の是非の問題。
歴史的にみると、巨大になり過ぎたものを分割して制御しやすくすることはままあります。古くは、東西ローマ帝国、日本では東西の本願寺、そして国鉄や電電公社の分割です。しかし、民営化はともかく分割の是非については、さまざまな検証が必要です。
特に新幹線行政についてはです。FGTの開発にあたって熱心だったのはJR九州です。それに対し冷淡だったのはJR西日本で、むしろ足を引っ張ったとも言えます。そして、鉄道技術の開発にあたって重要な役割を果たしていた鉄道総研がFGTの技術開発にはほとんど関与していません。
もう一方の旗振り役である国土交通省は、軌間可変技術評価委員会なるものを作って関与していますが、このメンバーは学者であり、言葉は悪いですが評論家としてしか機能しません。
http://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr1_000015.html
これでは本来開発可能なFGTもものになりません。
JR九州は、九州新幹線の車両を独自に作りましたが、本来事業規模が小さく、FGTのようなプロジェクトを単独で行うには適しません。一部のお金持ちを相手にした超豪華観光列車を作るぐらいしかできないのです。JR九州以外は最初から乗り気ではないのに、むりやりやろうとしたから失敗したとも言えますが、旧国鉄のように一体の組織だったらFGTもものになったのに・・と思います。
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