【 ああ前方後円墳 その1 】 [雑学]
堺市の百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録される可能性がでてきました。
http://www.city.sakai.lg.jp/kanko/rekishi/sei/index.html
個人的には大賛成ですが、少しひっかかることと、不安なことがあります。
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最近、私が子供の頃に教わった日本史の常識が次々と覆されています。
例えば有名な源頼朝公の肖像画が別人のそれであったり、鎌倉幕府開闢の年が違ったり、
仁徳天皇陵とされた古墳が実は仁徳天皇の墓ではなかったり・と言う具合です。
果ては歴代の天皇の中でかなり有名な存在である仁徳天皇が実在しなかったという説まであります。古事記と日本書紀の記述に矛盾があることから、一人の天皇を二人に分けたのではないか?という説です。
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歴史は後世の権力者が自分に都合よく書き換えることがあります。だから真実を追究した結果、それまでの常識がひっくり返ることは、しばしばあって当然です。
でも、なんだかしたり顔で、皆が信じていた常識を否定して得意になっている人をみると、それもなんだかなぁ・・という気持ちになります。
世界最大の墳墓とされる古墳が仁徳天皇陵ではなかったとして、では誰のものなのか?
文字の記録が無いために知られていない無名の豪族のものだったのか?その辺りを早く研究して結論をだすべきではないか?と思います。
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なぜなら、百舌鳥の仁徳天皇陵と比較される巨大墳墓であるエジプトのクフ王ピラミッドや、中国の始皇帝の陵は、ちゃんと被葬者が確定しています。エジプトの場合、世界中の考古学者が研究して多くの事実を解明しています。それに対して、日本の古墳は被葬者も判らない・・では世界遺産として、ちと情けない話です。
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墳墓ができた時点で、その地に文字があり、正確な記録が残せたエジプトや中国と比較して、日本の古墳時代には文字が無くハンディキャップとなるのは仕方ないことですが、ただ「大きいから」とか、ただ「古いから」というだけでは世界資産として不適切です。
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もう一つの懸念は朝鮮半島の存在です。
以前、川崎のご隠居と山口県柳井市の茶臼山古墳を訪れた時に議論したのです。
私が学校で教えてもらったところでは、前方後円墳は日本独自の様式で我が国固有の文化を示すものだという解釈でした。しかし、その後朝鮮半島にも類似した墳墓が確認され、我が国固有・・ではなくなったのですが、一般的には前方後円墳は日本で確立した古墳の様式とされています。朝鮮半島に存在するのは、日本の影響を強く受けていた地域で日本の様式を取り入れたものだ・・という説が主流のようです。
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しかし、朝鮮半島で前方後円墳に類似した土塁が見つかるのは、全羅南道と全羅北道、つまり朝鮮半島の南西端です。必ずしも日本の勢力が及んだり日本人が居留したりした場所ではないようです。日本で確立した様式が韓国に及んだという説の根拠がどの程度あるのか微妙です。韓国側にはそれらの墳墓に関する記録や資料がほとんど無いようで、どの仮説についても根拠が薄弱にならざるをえないようです。
川崎のご隠居との話でも結論はでませんでした。
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しかし、日本が前方後円墳の典型である百舌鳥・古市古墳群を世界遺産に申請すれば、朝鮮半島の人達が黙っているはずはありません。誇り高い彼の地の人々には、日本の文化を受け入れた遺跡が朝鮮半島にあることには堪えられないはずです。必ず、前方後円墳は韓国発祥であり、日本のそれは、韓国の文化を模倣しただけで、世界遺産の価値は無いと主張するでしょう。
それについては次号で考えたいと思います。
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