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【 偽りの燻蒸処理(フューミゲーション) 】 [中国]

【 偽りの燻蒸処理(フューミゲーション) 】

 

日本にヒアリが上陸したということで、マスコミが大きく報道しています。これは確かに困ったことですが、しかし報道の内容をみると本質から少しずれている気もします。

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私がヒアリ(Fire Ant)の存在を聞いたのは、ヒューストンです。もう20年も前のことです。ゴルフ場で「アリに気を付けて!」と言われました。「このあたりにはFire Antがいるから、刺されたら大変ですよ」と言われ、初めて獰悪な毒虫の存在を知りました。

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私が有害昆虫の知識を得たのは、子供の頃に読んだ梅谷先生と安富先生の共著「毒虫の話」ですが、それにはヒアリは載っていませんでした。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784832601222

まさか、そのヒアリが日本に上陸するとは・・。

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ヒアリの原産地は中南米だそうですが、今や全世界に広がっています。しかし、日本で見つかったヒアリは、中国の華南地方から到着したコンテナにくっついてきた事が明らかになっています。そこでマスコミは中国から危険な昆虫が渡来したというストーリーで報道しています。本当は南米原産なのに、「悪いものは中国から来る」というストーリーの方がセンセーショナルであり、そのストーリーでまとめたかったのでしょう。

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しかし、考えてみればアメリカでは20年以上も前から棲息していたアリが日本にはいなかったのです。それが突然、中国から侵入した・・という事実には何か裏がありそうです。何か中国の南部の港には特別な事情があるのではないか?

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これも今から10年以上前ですが、上海の港の埠頭で日本に出荷するコンテナの確認をしていた時です。同行した中国人女性のスタッフに突然肘を掴まれ「オヒョウさん、下がってください」と強く言われました。「これから燻蒸処理(fumigation)をするので、コンテナの近くにいては危険です」。普段は優しくニコニコしている趙さんがその時だけは厳しい表情でした。

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燻蒸処理は、輸出入の際、防疫のために木製の輪木やパレット、コンテナの内張りのベニヤ板などに行うバルサンジェットみたいな殺虫処理です。日本は中国から輸入するコンテナに燻蒸処理を求めています。対抗上、中国も日本からの輸入物資には燻蒸処理を求めていますが、燻蒸処理がもっぱら意味を持つのは、中国から日本への輸出です。なぜなら有害生物も、熱帯や亜熱帯を持つ中国の方が多いと考えられるからです。

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日本に到着した、積荷の木材パレットには「燻蒸処理済み」という焼き印が押されていますが、なかには、時間が経ってその焼き印がかなり薄れたものがあります。燻蒸処理後時間がたっていれば、効力は薄れており、果たしてどこまで信用できるのか?と不安になりますし、中国のパレットの場合、焼き印があっても真面目に燻蒸処理をしたか、怪しい場合もあります。実際処理をせずに、「燻蒸処理済み」という焼き印だけ押したものも多くありました。

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そして大事なのは、パレットだけでなくコンテナ全体を燻蒸処理しているか否かです。私が立ち会った例は、日系企業の現地工場から日本の親会社への出荷で、まじめにコンテナごとの燻蒸処理をおこなっていましたが、周囲にあった日本向けの他のコンテナは燻蒸処理をする気配はありませんでした。

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中国の輸出業者は「燻蒸処理済み」の焼き印を押したパレットを使うだけで、コンテナ全体は燻蒸処理をしていないのではないか?これは大きな問題です。有害昆虫は木の中に巣くっている場合もありますが、そうでない場合もあります。木材だけを処理するのではなく、コンテナ内の空間全体を処理しなければ不完全だと言えます。

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どうやら、最近になって急に外来有害昆虫が中国から到着しだしたのは、偶然ではなく、中国側の港湾の管理手法に問題があるように思えてなりません。ヒアリは最も獰悪ですが、バラ科の樹木に莫大な損害をもたらすクビアカツヤカミキリムシも大問題です。この害虫の蔓延で日本のサクラ、モモ、ウメなどが全滅する可能性があります。この虫も中国からの渡来で、幼虫が木材の中に潜んで運ばれてきたものと思われます。ちなみに日本のソメイヨシノはちょうど種の交代期で、新しいサクラの種に置き換わるらしいですが、この凶悪なカミキリムシが影響を与える可能性があります。

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ではどうするべきか?

コンテナ全体を大きなビニールテントで覆い、そこに窒素ガスを流して、コンテナ内の虫を全て酸欠死に追い込むのが適当でしょう。 殺虫剤に比べて環境負荷も小さく、後の有毒の化学品が残らないのがメリットです。ただし、殺虫剤に比べて時間がかかりますから、必要なコンテナヤードの面積は広くなります。

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日本へコンテナを輸出する各港にこれを配って、コンテナごとの燻蒸処理をしっかり実施してもらいます。同時に、中国政府を通じて、各港に、日本向けコンテナの燻蒸処理を徹底するよう申し入れる必要があります。場合によっては日本から担当官を派遣して監督させてもいいです。 中国政府は、内政干渉だとか非関税障壁だのと言って嫌がるでしょうし、中国が不衛生で害虫の輸出国だとされる不名誉にも抵抗を示すでしょう。

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しかし事態は深刻で、時間的な余裕もありません。「今、ここで食い止めて欲しい。日本の立場を了解して欲しい」。と言うべきでしょう。

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これに対して中国政府は反論するでしょう。

「ヒアリは中国原産ではなく、我々も外来種のヒアリで被害を受けている。中国を加害者扱いし、日本のヒアリが全て中国から来たように言われるのは迷惑だ。実は我々も日本から侵入してきた外来性の悪者に手を焼いている。それは民主主義の思想で、インターネットを規制したり、民主化指導者を逮捕拘禁したり、いろいろ駆除に力を入れているが、蔓延しつつある。共産党にとってはヒアリよりも民主化の流れの方がよほど厄介で、恐ろしい存在だ。 日本政府には責任を取ってほしいものだ」

習近平なら、そんなことを言うかも知れません。


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