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【 Klein選手と小日本について考える その2 】 [中国]

【 Klein選手と小日本について考える その2 】

 

物理学には、有名なKlein-Nishinaの公式があります。日本の仁科芳雄博士と、スェーデン人の物理学者Klein博士の共同研究です。この方程式は光子と電子の散乱断面積を規定するもので、量子論を導入して、古典論の散乱の式では説明できなかった誤差を解消したものだそうです。具体的な内容については私より、現役で物理を学んでいる私の次男の方が詳しそうです。(私がこれ以上話すとぼろが出ます)。

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この式を発表した時、仁科芳雄博士はドイツのマックスプランク研究所にいましたが、誰も共同研究とは思わず、仁科博士の単独の成果だと思ったそうです。それは日本人の仁科博士が小柄で、まさにクライン仁科だったからです。つまり、愛着を込めて誰かが言った、愛称「小柄な仁科博士」の意味のKlein-Nishinaが、そのまま方程式の名前になったと錯覚されたのです。Klein博士こそいい面の皮です。

(ちなみにこの逸話は朝永振一郎博士の随筆に登場します)。

どうやら、ドイツでは、Kleinには失礼で侮辱的な意味は無いようです。

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では翻って、中国ではどうか?私は西安で大規模な反日デモに遭遇したことがあります。彼らはそれぞれにスローガンを叫びながら通りを行進していきましたが、日本については必ず“小日本”(シャオリーベン)と“小”(シャオ)を付けて呼んでいました。

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そこには、日本への侮蔑と日本を小馬鹿にしたい思いがあります。

(中国に比べて)国土も狭く、人口も少なく、歴史も浅く、大文明を興したこともなく、世界に覇を唱えた訳でもない日本を、「小さきもの」として、中国人としては優越感を持って扱いたい気持ちがうかがえます。

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しかし、私はそこで首をかしげます。 果たして 小(シャオ)という枕詞は侮蔑の意味だけなのだろうか? 

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私は、“小日本”と叫ぶデモ隊の中に、実は日本に親近感を持っている人も混じっているのではないか?と考えました。 中国は昔と違い、海外の情報がふんだんに入ってきます。 政府のプロパガンダや荒唐無稽な抗日ドラマで描かれる日本とは違う現実の日本を知る人も増えているはずです。日本に来る中国人も増えています。

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“小”(シャオ)にはいろいろな意味がありますが、可愛いもの、いじらしいものに対して“小”(シャオ)を付けることがあります。

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愛らしい我が子や、ペットに“小”を付けて呼んでもいいですし、年下のものを可愛がる時にも用います。 例えば職場に、二人の楊さんがいたとします。年長の方の楊さんには、尊敬を込めて老楊(ラオヤン)と呼びます。若い方の楊さんには親しみを込めて小楊(シャオヤン)と呼ぶことがあります。 若干の優越感はあるかも知れませんが、そこには相手を侮辱する悪意はありません。

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隣国である日本に対して、愛着を込めて“小日本”と呼ぶこともあるのではないか?

確かに近代化にいち早く成功したのは日本です。早く豊かになったのも日本で、現時点で、国民の民度も日本の方が高いかも知れません。しかし国土の広さや人口を比べれば、日本の方が“小”なのは事実ですし、“小日本”と呼ばれて、それに目くじらを立てるのもナンセンスかも知れません。

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ドイツ語のKleinに悪い意味が無いように、中国語の“小”も必ずしも悪い意味だけではないでしょう。 日本と中国が本当に仲良くなり、親近感と愛情のみで、日本が“小日本”と呼ばれる日が来ることを期待します。

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では、小の反対の大はどうでしょうか? 中国では“偉大なる”という意味で「大」を付けることはあるそうですが、自分から大を名乗ることはあまり無いようです。

THAAD配備の問題を巡って、中国と韓国の関係がぎくしゃくした時、韓国を揶揄する中国人の発言がネット上にありました。 (多分、大韓民国を指して)、「自分から国名に大を付ける国は、実はたいてい小さい国なのさ」と語っています。 大英帝国も対象になるかも知れません。そしてこれは国名だけではないでしょう。人に対してもそうなのかも知れないと思います。

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ここで自分の事に戻りますが、私自身は、この巨体、そして60歳を超えた年齢ですが、誰も、“大”を付けて呼んではくれません。 当たり前ながら、“大”は人格の問題であり、物理的な身体の大きさや年齢とは必ずしも関係しないからです。

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そして勿論、私自身は、親しみを持たれる存在でもないので、誰もKlein-Halibutとも小オヒョウとは呼んでくれないでしょう。例え、Klein博士とノーベル賞級の発見をしても、私の単独研究とは思われないはずです。 まあ、その可能性は全くありませんが。


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