【 もの喰らう人々 車内での飲食について考える 】 [鉄道]
【 もの喰らう人々 車内での飲食について考える 】
東急電鉄の広告の中に、女性の電車内でのお化粧をたしなめる内容があったことから、電車内、あるいは公共の場所でのお化粧の是非について、いろいろと議論されています。そのトバッチリと言うべきか、車内での飲食についても、その是非が問われています。
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通勤電車の車内で、パンを食べたり牛乳を飲むことは、慎むべきか、あるいは許容されるべきか・・・、難しいところです。個人的には、朝ごはんやお昼ごはんを食べる時間がなかった人が、急いで食事するくらいいいではないか?と思いますが、公共の場所で「生きるための所作」をするのははしたないという意見もあるようです。
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では通勤電車はダメとしても、長距離電車はどうなのか?ということになります。これをダメと言われても困ります。通勤電車と長距離電車の線引きも難しいところです。近年は新幹線通勤も含め、長距離通勤も当たり前だからです。湘南電車のような中距離・郊外型電車はどちらにいれるべきか・・。つまらぬことで悩みます。
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ボックスシートやロマンスシートの横掛けの座席ならOKで、通勤電車のロングシートではダメという考え方もあるでしょうが、それについても、どうして?と訊きたくなります。
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そもそも、人前で食べ物を口にするのは、「はしたない」行為なのか? そこが微妙です。
TVのCMを観れば、観光地への旅行を誘う案内が溢れています。しかし家族連れやカップルが車内で飲食をする場面は無く、車中ではもっぱら窓の外の景色を眺め、食事風景はレストランで・・というパターンばかりです。実際には車内で駅弁を食べるということも・・当然ある訳ですが。
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他人が美味しそうに食べているシーンは、何となく見ている人に安心感を与え、心をなごませる・・という意見があります。最近は減りましたが、ホームドラマで食事のシーンが多いのはそのためだと聞きます。一方、多くの人が空腹に堪えている状況下で、おいしそうな食事を他人に見せつけるということは、周囲を苛立たせる・・という意見もあります。公の場で、公衆の面前での食事を慎めというマナーは、それに基づくものかも知れません。
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しかし、敢えて私は申し上げたい。電車の中で食べ物を口にするぐらいはいいではないか・・と。 そして、昔見た光景を思い出します。
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もう何年も前になります。私は午後の南海電車に乗って、和歌山に向かっていました。午前中の尼崎での用事を終え、夕刻までに和歌山に行く必要があったのですが、当時、私は一つの屈託を抱え、気分は非常に憂鬱だったのです。
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途中のある駅で、空いた電車に一人の少女が乗り込んできたのです。私と向かい合う形で、彼女はロングシートに腰をおろしました。風貌から、それと気づいたのですが、おかっぱ頭の彼女はダウン症の子のようです。(私は医師ではないので確実なことは分かりませんが)。
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やがて、彼女は肩から斜めに掛けたカバンの中から、実に大きなお煎餅を一枚取り出しました。丸いそのお煎餅は彼女の顔くらいの大きさがあります。それをポリンポリンと口で割って食べ始めました。 どうやら、それが彼女の昼食のようです。 それを食べる少女は実に幸せそうで、穏やかな表情でした。 お煎餅がそんなにおいしいのか、それとも、よほどおなかがすいていたのかそれは分かりませんが、あんなに嬉しそうに食べ物を頬張る様子を見たことがありません。
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ダウン症の人は、もともと性格が温和で優しい人が多いと聞いていましたが、お煎餅を頬張るその表情からだけでも、それが伺えたような気がしました。 実に幸せそうに食事を終えた彼女はみさき公園駅で、電車を下りました。
見送った私はなんだか心がなごみ、憂鬱から解放されたような気がしました。自分もお煎餅が食べたい・・・とは思いませんでしたが。
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映画やお芝居では、食事の場面は多くありますが、観客を幸せな気分にするような演技をする役者はあまりいません。TVにはグルメ番組があふれ、ごちそうや珍しい食べ物に大袈裟に喜び、味を褒め称えるタレントはたくさんいますが、視聴者を幸福な気持ちにさせるタレントはいません。
あのダウン症の少女がうれしそうに大きなお煎餅を食べた、あの表情には敵わないのです。
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どうか、電車の中での軽い喫食にまで、目くじらをたてないでいただきたい。私は他人が食べる様子を電車の中で観て、心が和んだのだから・・・。
そして言うなら、夕刻以降の電車では、ワンカップ酒とチクワやソーセージを持ち込んだサラリーマンも大目に見てください・・・と申し上げたい。 こちらは観ていても、見苦しいだけで、心がなごむものではありませんが。
初めてコメントします。旧海軍でも海自でも、艦艇内に「艦内神社」が置かれていることが多いそうです。軽巡洋艦那珂については、那珂川にちなんで命名されたことから大洗磯前神社が那珂の艦内神社に分祠されていたようですね。~蛇足ですが。
by 李陵 (2016-11-01 17:45)
李陵様 コメントありがとうございます。
李陵は、中島敦の小説で読みました。複数の君主に仕えた李陵と二君にまみえなかった文天祥の、どちらを好きか・・というのは一つの問題でした。転職を経験している私は李陵派でしょうか?
ところで、妙高の関山神社に行くと、軍艦が献納した額がありました。漢字の妙高は、戦前の海軍の妙高、ひらがなの妙高は現代のイージス艦でした。今も艦内神社には関山神社が分祀されているのでしょうか?
またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2016-11-01 23:54)
Webで、「艦内神社マップ」というのを検索すると、
関山神社の所に、重巡洋艦妙高、護衛艦みょうこう
と出てきますので、海自のみょうこうにも、分祀されて
いるようですが・・・。ちなみにこのマップでは、大洗磯前神社は軽巡洋艦那珂と護衛艦いそゆきとなっていました。
by 李陵 (2016-11-02 08:32)
李陵様
コメントありがとうございます。私が妙高の関山神社を訪問したのは、山伏の修験道を研究していたY教授の運転手として行動した時です。重巡妙高については、立派な絵が社殿にかかっていました。
軍艦の名前の由来となった土地と軍艦の関わりについては、別稿で触れたいと思います。
またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2016-11-03 07:31)