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【 バカに付ける薬 】 [医学]

【 バカに付ける薬 】

 

人生を振り返ると、「ああ、なんて俺はバカだったのか!」と後悔することしきりです。では今は少しは利口になったのか?と言えば、そうでもありません。若い頃に比べて、頭の回転が明らかに遅くなったと感じる時もあります。記憶力も低下しています。そして、これからさらに知力が衰えていくのか・・と思うと、暗澹とした気持ちになります。

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年少者の未熟や、年長者の衰えを笑ってはいけない・・という意味で、巷間でよく言われる、「嗤うまいぞ、来た道ぞ。嗤うまいぞ、行く道ぞ」という言葉がありますが、私には、そう言って受け入れるだけの精神的余裕はありません。自分自身の将来を憂い、どこかにバカに付ける薬はないものか?と考えたりします。

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そしてどうやら同じことを思う人はたくさんいるみたいです。 根拠が乏しくてもバカに付ける薬を売り出せば、買う人は多くいて、必ずヒット商品になります。

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昔から、病的状態の認知症に対する薬は、幾つかあります。古くは「ホパテ」、その後に登場した「アリセプト」などは、脳の代謝を促進する薬ということで売り出されましたが、その効果には疑問符が付きます。抜本的に治療する薬ではなく、単なる対症療法薬だという点では、風邪薬と同類ですが、「ホパテ」や「アリセプト」で、認知症が劇的に改善したという話は、聞いたことがありません。

そもそも認知能力の低下は病気なのか、

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専門家ではないので、断定的な事は言えませんが、加齢のよる通常の認知能力の低下(いわゆる老人ボケ)と、アルツハイマー型に代表される病的な認知症とを、識別することも容易ではありません。幾つかの問診によって、アルツハイマー型であることを確認しますが、発症のメカニズムがよく分からないなかでの診断には危うさもあります。

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古くは、患者の脳内にアルミニウムの蓄積が確認されたということで、アルミ鍋の使用がアルツハイマー病の原因だという、不思議な説が登場して、一斉にアルミ鍋が姿を消し、ステンレス鍋に置き換わったという社会現象がありました。

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今でも、β(ベータ)アミロイドの脳内蓄積が関与しているという説と、別のタンパク質(τ(タウ)タンパク質)の脳内の異常凝集が原因だとする説があり、議論が進んでいます。βかτかの論争です。これは非常に重要な問題であり、この論争に決着が付けば、特効薬の開発が急速に進む可能性があります。現代の薬学は、薬の作用機序が解明されると、急速に新薬開発が進むからです。

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そう思っていたところ、以下の報道がされました。

τタンパク質の異常凝集を阻害する薬 LMTXが開発され、著効を挙げているというのです。開発チームはタウRXで、赤道直下のシンガポールにある頭脳集団です。しかし、中心となる研究者は、スコットランドの北部にあるアバディーンの大学教授だとか。

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/160405/cpd1604050500006-n1.htm

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しかし、一方のβアミロイド派も負けてはいません。(最近は、βアミロイドではなく、アミロイドβと呼ぶみたいです)。

抗アミロイドβ抗体である、ソラネズマブを臨床試験した結果、その効果を確認した・・とのことです。でも、別の抗アミロイドβ型の薬品BIIB037の有効性は確認されていないとのこと。 一体どちらが本物なのか・・・? そしてτとβ、どちらが重要なのか?

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新聞報道では、LMTXとソラネズマブの両者は、作用機序が異なるので、どちらかを選択するのではなく、併用すればいい・・と、予定調和というか、玉虫色の見解を述べています。

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まだ分からないことがたくさんありますが、少なくともホパテやアリセプトの時代に比べたら、確実に進歩しつつあります。 私が認知症に罹る頃には、本当に薬効が確認された「バカに付ける薬」が実用化されているでしょう。

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でも需要が多いから、なかなか一般庶民の手には届かないかも知れませんね。画期的な新薬が登場した時にしばしば発生する問題ですが、薬価が高くて貧乏人には買えないとか、緊急性の高い患者や社会的に重要な患者に優先して割り当てる措置が必要だ・・といった事態が予想されます。

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日本の場合、まず優先的に「バカに付ける薬」を割り当てなければならないのは・・、やはり永田町あたりに暮らす人達でしょうかね?


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