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【 宇宙公衆衛生学 】 [医学]

 宇宙公衆衛生学 】

 

こんな言葉は勿論ありません。でもこれからできてもいいかも知れないと私は思います。最近、「宇宙何とか学」という名前の学問分野がどんどん登場しそうな気配なのです。例えば、金属学の世界では宇宙空間での実験結果が多く発表されるようになりました。 無重力(または微小重力)下ではデンドライト凝固が進みません。また比重が大きく異なる金属同士を均一に混ぜて一様な合金を作ることも無重力下では容易です。宇宙金属学というジャンルができるのももうすぐです。

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また宇宙空間で発芽した苗を元にした宇宙植物学ももうじき誕生しそうです。だから、宇宙公衆衛生学もあっていいかも・・と思うのです。

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今、世界にある環境問題や疫病の問題は、地図を見ながら考察することで、新しい知見が得られる可能性があります。昨年世界中で話題になったエボラ出血熱はアフリカでも限られた地域で爆発的に広がりました。新聞記事では国単位での感染者数、患者数しか分かりませんが、本来、西アフリカでは国境も政府も関係ありません。

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伝染病の伝播には、必ず地理学的あるいは気象学的な条件があり、それは宇宙から見れば一目瞭然です。限られた医療資源をどこに投入すべきか、これ以上の感染の広がりを防止する為、どこに集中的な防疫対策を講じるべきかは、宇宙ステーションから眺めて判断すべき事項です。

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エボラ出血熱に比べれば、小さな問題ですが、デング熱の流行も同じです。こちらは蚊が媒介することが明らかなので、気温と湿度、降水量などを調べれば、今後、感染が拡大する地域が容易に推理できます。 いや、デング熱以前に、衛生害虫である蚊そのものの分布とその駆除の作戦も、宇宙ステーション、または人工衛星から見れば簡単に立てることができます。それで人類最大の敵であるマラリアも克服できるかも知れません。

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衛生害虫も病原体も、熱帯モンスーン気候や温帯モンスーン気候に多く棲息します。雨季と乾季が明瞭に分かれ、降水量や湿度、土壌の乾燥状況が時々刻々変化する状況は、地図を見ていてもだめです。宇宙からのリアルタイムの画像が必要です。

特に蚊の場合、一定以上の水温の水溜りがあり、ボウフラが湧く環境か否かが重要です。それは地上で調べるよりも、宇宙から調べる方がいいのです。

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今から約50年前、富山県婦負郡婦中町(当時の地名)の周辺で、奇妙な病気が流行りました。中高年の女性固有の病気で骨が異常に脆くなり、ちょっとした力で簡単に骨折してしまう病気で、その痛みからイタイイタイ病と呼ばれた風土病です。 原因はなかなか分かりませんでしたが、ある時、あるきっかけから原因が分かりました。

ある大雨の後、婦負郡の平野一帯が冠水したのですが、一人の町医者(日本医師会はこの町医者という呼び方を嫌います。なんだか蔑称のようで、医師会では実地医家という言い方で、持ち上げた言い方を薦めます)が、丘の上からその風景を見て気づきました。

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患者のいる家はどこも浸水し、浸水しなかった区域には患者がいなかったのです。「この病気には、水が、特に地下を流れる神通川の伏流水が関係しているに違いない」。 この医師はそう確信し、やがて、神通川の水が、上流の神岡鉱山から排出したカドミウムによって汚染され、その水を摂取することで、カドミウムが体内に取り込まれ、骨が脆くなることを発見したのです。

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同時期に発生した有機水銀中毒である水俣病に比べると、原因究明までの期間が短く、比較的短期間で解決した公害病ですが、多くの犠牲者が出たのは事実です。もしこの時代、宇宙ステーションがあり、富山平野を観測し、イタイイタイ病の発生地区と神通川の伏流水の地域の重なりを調べることができれば、もっと早くに原因が究明され、公害被害は小さかったのです。

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日本では深刻な公害は減りつつあります(アスベスト問題などは残りますが・・・)。しかし世界を見渡せば、有機水銀やカドミウムなどの重金属汚染、ダイオキシンなどの有毒物質汚染の問題はまだ多く残ります。多くは未開の地や僻遠の地で発生しており、陸上からの調査は難しい場合もあります。人々はなぜ、宇宙ステーションを使わないのか?

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土壌汚染と水質汚染だけではありません。大気汚染も同様です。既に中国の北京は人々の居住に適さない土地となりました。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/150307/mcb1503071710001-n1.htm

ひょっとしたら、ビジネスマンは、北京駐在や北京出張を拒否する権利を持つようになるかも知れません。 それどころか、北京に住む人達はやがて転居先を探す必要がでてくるでしょう。 政府はまじめに遷都を考える必要があるかも知れません。

ではどこへ行けばいいのか? 河北省、山東省、吉林省、遼寧省、どこが一番安全で健康的な暮らしを営めるか?公害対策はどうするべきか?

トリインフルエンザのキャリアである渡り鳥は、どこを通って移動するか?全ては宇宙ステーションからの観測で答えが出ます。 宇宙公衆衛生学の始まりです。

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日本人宇宙飛行士がスペースシャトルに搭乗しだした頃から、医学研究は日本の宇宙開発の大きなテーマです。しかし、多くの研究は宇宙飛行士自体の健康を調べるもので、宇宙から地球を眺めて、疾病の分布や衛生状況を研究した報告は寡聞にして聞きません(私が知らないだけかも知れませんが)。

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日本は宇宙ステーションに実験室「きぼう」を持っていますが、その研究テーマは枯渇しつつある・・といっては言い過ぎですが、小粒になっていくみたいです。鯉を宇宙に連れて行って、魚の宇宙酔いの研究をしたり、クモを宇宙に連れて行って、交尾できるか確認したり・・・、いったい何のための研究なのか、ひょっとしたら研究のための研究なのか?と思う珍妙な研究があります。 そんな研究に時間を費用を掛けるくらいなら、医学者を大勢、宇宙ステーションに連れていき、世界中の原因不明の風土病発生地や、伝染病の流行地域をできる限り詳しく観察させるべきです。

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中国からは、余計なお世話と煙たがられるかも知れませんが、かの国が手を焼くPM2.5の防止対策も明らかになり、深刻な大気汚染の本当の原因特定も可能になるかも知れません。

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やがて国際宇宙ステーションは、老朽化し廃棄されるでしょう。日本の実験室「きぼう」も廃棄されます。 その時、宇宙ステーションの後継機が打ち上げられるかは不明です。 もうあまり時間はないと考え、宇宙公衆衛生学の確立を急ぐべきだと私は考えます。


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