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【 尾道映画資料館 その3 】 [映画]

【 尾道映画資料館 その3 】

 

尾道公会堂のロビーの後ろにはホールがありますが、真っ暗です。その横の通路を奥へ進んでも、暗い楽屋があるだけです。誰もいません。

これは仕方ない。電話するしかないか・・と考えて、私は110番に電話しました。生まれて初めての110番です。

コール1回ですぐに応答がありました。「こちら110番、事件ですか事故ですか?」

・・・・・・

ちょっと回答に困ります。

「そのどちらでもないのですが・・」 いたずらと思われては困りますから、ここは手短に状況を説明して理解してもらう必要があります。

「実は、尾道公会堂の玄関ロビーに閉じ込められて出られないのです。トイレに入っているうちに、施錠され、電源も落とされて出られないのです」

「分かりました、場所はどこですか?」

「ですから市役所の向かいの公会堂の西側に面した玄関ロビーにいるのです」

「わかりました。暫くお待ちください。状況を確認して救援に向かいます」

・・・・・・

ほどなく、原付に乗った小太りの、いかにも人の好さそうな警官が現れました。ニコニコしています。彼はドアの外から、盛んに裏へ回れと手で合図します。 彼の隣には、風采の上がらない乱杭歯の老人が一人立っています。

・・・・・・

「建物の裏へ回っても、まっくらじゃないか・・・」と思いながら、私は楽屋へ続く暗い道を進みました。暫く歩くと、やがて明かりが前方に見え、そこに公会堂の通用口があり、その横に警備員室がありました。「なんだ、こちら側から出られたのか・・」

そこには、くだんの警官と乱杭歯の老人が待っていました。 老人は、宿直の警備員だったのです。

・・・・・・

通用口で出迎えた二人に会って、取りあえず「ご迷惑をかけましたと」お詫びすると同時に救援のお礼を言います。

しかし、その老人に対しては、ちょっと釈然としない気持ちがあります。

警官が私に、「どうしてこちらに?」と尋ねるので、「初めて尾道に来て、映画資料館を訪ねた帰りです」と説明します。

警官が「公会堂の裏に通用口があることについては?」と尋ねます。ちょっと答える事を不快に感じて、「尾道には初めて来ました。 館内の案内図に、通用口に至る通路は書いてなかったようですが?」と話すと、なるほど・・という具合に、警官は頷きます。

・・・・・・

今度は私の番です。老人に向かって、

「消灯と施錠をする時にトイレに、誰かいないか確認しなかったのですか?それから私の声は聞こえませんでしたか?」

老人は照れ隠しなのかニヤニヤしながら

「宿直室から遠隔でスイッチを切るだけだから、何も確認なんかしねえなぁ。宿直室じゃ声なんか聞こえないな」 (確かに声は聞こえないでしょう・・)

・・・・・・

5時前に鍵がかかりましたが、普段は何時に施錠する規則なのですか?またそれはどこに書いてあるのですか?」と私。

「さあ、決まりなんてないし、いつ鍵を掛けるかはその日次第だね。」

実際、駐車場にある「公会堂のトイレを使え」という案内には、何時に閉館するといったことは書いてありません。

更に追及したいところですが、警官が、まあそのくらいで・・とジェスチャーで示します。

老人はニヤニヤするばかりで悪びれたところは全くありません。

・・・・・・

なんだかすっきりしない気持ちを残して、私は駐車場にただ1台残っていた私の車に戻りました。 既に夜のとばりが降りた、海岸の道路を走りながら、思い出しました。

「しまった、名物の尾道ラーメンを食べ損ねた」

・・・・・・

その次の出勤日、会社で昼食中に、私が尾道で経験したハプニングについて説明すると、皆さん大笑いです。 本人にとって深刻な事態も、周囲の人にとっては笑い話になってしまうという事がままありますが、私の場合は特に多いようです。これは私の性格のせいなのかな?

・・・・・・

笑いながら、Mさんが話します。

「いやあ、それはそれは、オヒョウさんは大変な災難でしたね。 それで結局、お目当ての尾道ラーメンは食べずじまいだった訳ですか?」

(別に私は、尾道ラーメンを食べに行ったのではないのですが・・・、食い意地の張った男として認識されていますから、誤解されてもしかたありません)。

「そうなんですよ。夕暮れ時に、とんだ雪隠詰めに遭ってしまったので、コロリと大事なことを忘れてしまったのです。今度またラーメンを食べに行きますよ」と私。

「そうですね、次に尾道に行かれる時は、誰かと一緒に行かれたらいいですよ。閉じ込められないようにね」とAさん。

・・・・・・

確かに、2人で行けば何の問題も無かったのです。 そこで提案です。どなたか尾道を訪問したい方は、どうぞ、ご連絡ください。 尾道散策と尾道ラーメンを味わう旅を、ご一緒しましょう。


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yusai-zenji

その映画資料館は、2013年の終わりか昨年はじめ頃に出た『たまゆら』2期のOVAに入り口などが出ていたので、昨夏、私も入り口だけ見ました。他に見たい所もあったので、中には入りませんでした。公会堂が近くにあったかは記憶にありません。『たまゆら』は今年第3期がある予定です。

ともあれ、尾道は映画やアニメに描かれているだけでなくて、来訪者からは魅力に溢れていて、何度も訪ねたくなりますね(私は昨夏で5回目くらい)。でも、旧市街地の商店街(これは上記OVAの他、別アニメ『かみちゅ!』に一杯出てきます)にはコンビニなど外部資本の小売店がなく、案外排外的なのかもしれませんね。
by yusai-zenji (2015-01-05 09:36) 

笑うオヒョウ

Yusai-zenji 様 コメントありがとうございます。
確かに、映画資料館は、尾道を訪問する人が最初に訪れるべき場所か?といえば、違うような気もします。しかし、私にとって、尾道のイメージは映画でしか得られていなかったので、映画資料館・・・に親近感を持ったというところです。
他の尾道の風景については、これから、折を見て、拙ブログに紹介していこうと思います。

またのコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2015-01-05 18:27) 

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