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【 空港と新幹線 】 [鉄道]

【 空港と新幹線 】

 

政府は6年後の東京オリンピックに向けて首都圏の交通インフラを整備するそうです。 鉄道交通に関するだけで、幾つのも計画が発表されています。

都心を挟んで、成田空港と羽田空港を直結する標準軌の鉄道の建設は、オリンピック前から提案されていました。京成電鉄のスカイアクセス線と都営地下鉄、京浜急行の羽田空港線を結ぶものです。 現在も、成田空港と羽田空港を結ぶ電車がありますが、都営浅草線経由では時間がかかるので、並行して新しい地下鉄を作り、東京駅の地下に駅を作るというものです。

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私に言わせれば、これはもっと早く実現していてしかるべき鉄道ということになりますが、これまで京成電鉄はスカイアクセス線、京浜急行は蒲田駅の高架化に時間がかかっており、それらが完成してから地下鉄新線に着工という段取りなのかも知れません。

個人的には都営地下鉄の改善に積極的だった猪瀬都知事が、この事業を仕上げてくれればよかったと思うのですが、それはできませんでした。

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それに加えて、JRは東京駅から乗り換えなしで、羽田空港につながる在来線を考えているようです。 こちらの方はよく分かりません。 なぜなら、現在の羽田モノレールをどうするのか?という問題があるからです。浜松町で必然的に乗り換えなくてはならない現在のモノレールは、正直言って不便です。 飛行機を利用する遠距離客は荷物もそれなりに持っており、浜松町で乗り換えを強いるのは気の毒です。まして浜松町はターミナル駅ではなく、乗換可能なのは、山手線と京浜東北線だけです。さらに先で別の電車に乗り換える必要がありそうです。 だから東京駅直通の線路を敷くのでしょうが、それができると、モノレールには誰も乗らなくなります。JRは羽田モノレールを捨てるつもりでしょうか? そして、もうひとつ疑問なのは、東京駅から羽田へのアクセスについては、後述します別の提案があるからです。

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さらに実現するかどうかは分かりませんが、2020年には、中央リニア新幹線が部分開通している可能性があります。ただ国家としては、東北地方の災害復興を最優先にする必要がありますし、景気の回復で、日本中の工事現場で人手不足、車輛不足が出始めています。2020年のリニア新幹線の一部区間開通は難しいかもしれません。

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そこまで考えて私はひっかかりました。何かひとつ足りないのではないか? 東海道新幹線や東北・上越、北陸新幹線の利便性向上が提案されていないではないか?

羽田空港や成田空港の利便性向上は、外国からのお客さんを念頭に置いたものです。 一方、国内でオリンピックを見る人は新幹線を利用します。

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だから新幹線のインフラ整備を進めるべきではないか?

特に問題なのは、上越、東北、秋田、山形、北陸(長野)の新幹線が、集中するJR東日本の線路です。現在、大宮から南は、1本の線路の上を上記の全新幹線が走っているのですから、無理があります。無理やり2本の列車を連結して1本で走らせていますが、その分1本の列車は短くなります (そこで2階建てにしたりしていますが、輸送能力は足りません)。線路も東京駅のホームも足りません。 

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そこで、私の提案です。大宮駅から上野駅までの間を複々線にして、東北新幹線グループと上越・北陸新幹線グループに分けて並行して走らせるのです。 そしてそれらの列車の半分は上野駅始発・終着とします。

上野駅はかつて東北・上越新幹線のターミナル駅でしたから、ホームの数は充実しています。一方、東京駅には新幹線ホームを増やす余地はありません。上野駅を再びターミナル駅として活用することで、輸送力の増大が可能です。

大宮=上野間の複々線化は、用地買収や工事期間などの問題がありますが、在来線の上の空間を利用するなどの方法もありますし、6年あれば、まだ間に合います。

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そして、もう一つの提案は、新幹線の羽田空港への延伸です。

現在、東海道新幹線の車両基地が大井にあり、その線路をわずか2,3km伸ばすだけで羽田空港のターミナルビルに到着します。用地買収の問題もありません。

車両基地への連絡線を利用して新線を作る方法は、ガーラ湯沢駅で経験済みであり、難しいものではありません。

東京=品川=羽田の新幹線ができれば、地方の人が羽田空港を利用する上で非常に便利になります。 前述したJRの東京駅直通の在来線も不要になります。

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実は新幹線と航空機がライバルであるためか、どの地域でも、新幹線の駅と空港の連絡はとても悪いのです。最も便利なのは、博多駅と福岡空港間で、それに次いで品川駅と羽田空港間になります。 でもターミナルビルの下にそのまま新幹線が入る空港はありません。

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例えば、群馬県高崎の人が海外旅行に行こうとすると、まず新幹線で東京駅に着き、それから成田空港や羽田空港に向かうことになります。 成田は遠いですし、羽田は乗換が必要になります。 もし上越新幹線が新潟空港まで伸びていれば(ほんの数kmです)、話が変わります。むしろ高崎から新潟空港へ上越新幹線で行き、飛行機に乗った方が早くなるのです。

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これから地方空港は生き残りの時代になりますが、新幹線との接続が便利な空港が生き残ることになるかも知れません。そしてそれは地方空港だけの問題ではありません。羽田、成田の両空港も新幹線またはそれに代わる高速鉄道で、都心と直結することが重要です。でも成田にも羽田にも、スカイライナーは走りますが、新幹線の計画はありません。

でも羽田の方は、東海道新幹線の車両基地の連絡線を、ほんのわずか延伸することで、新幹線の駅が手に入るのです。

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この簡単な事業が議論されないのは、空港発着の新幹線などいらない・・とする美濃部都知事以来の考え方と、新幹線と飛行機はライバルであり、手をつなぐことはできない・・というセコイ縄張り意識のせいでしょう。

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でもパリのCDG(シャルルドゴール空港)の地下には、フランスの新幹線であるTGVが入ります。そしてそのTGVはユーロスターとつながり、海底トンネルを経てロンドンに直行します。乗客はロンドンに行くのに、新幹線を取るか、飛行機を取るか、空港で選べるのです。 泉下の美濃部都知事もそのことを知れば、考えが変わったかも知れません。

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交通インフラの整備は、外国への見栄やお役人の縄張り意識で決めるべきではありません。あくまで利用者の利便性を最優先に考えるべきであり、その点ではまだまだ見直すべき点が多いと私は考えます。


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