SSブログ

【 泥鰌について考える 】 [医学]

【 泥鰌について考える 】

 

私事で恐縮ですが(ブログに私事を書くのは当たり前ですが)、先日の健康診断で便に潜血反応がでてしまいました。そこで大腸の内視鏡検査を受ける事になりました。

全く気の進まないことですが、仕方ありません。

しかも、担当は若くて美しい女医さんです。 今更若い女性にお尻を見られて恥ずかしがる年齢でもないのですが、やはり少し抵抗があります。

・・・・・・

検査当日は、下剤と大量の水で、大腸を空っぽにして検査台の上に乗りますが、なんだか少し残便感があり、腹部の膨満感があって、少し心配です。まだお腹の中に排泄物が残っていて、それを内視鏡で見られるのも恥ずかしいなぁ。

・・・・・・

やがて強烈な光を発する細い蛇のような内視鏡が肛門に入ってくるのが分かります。

本来、出す方の穴に異物が入ってくるというのは気持ち悪いものです。しかも自分の体内が画面に映しだされるのです。実に奇妙な感覚です。

「痛くもない腹を探られる」というのは、言い得て妙だな・・と思います。

・・・・・・

画像を見やすくするために、大量の空気が大腸内に送り込まれます。それはオナラとなって体外に出てくるはずですが、私の場合は出てきません。出口である肛門を内視鏡に塞がれて出にくい・・という事情もありますが、人前でオナラをすることに抵抗があって無意識にオナラを防ごうとしているのかも知れません。まして回りにいるのは若い女性たちです。

・・・・・・

C医師 「 緊張しないで楽にしてください。空気が中に溜まると診察もしにくいので」

腸内のガス圧が高まると大腸も硬直化して内視鏡を進めにくいようです。

オヒョウ「 別にオナラが出ないように踏ん張っている訳ではないのですが・・」

(お医者さん相手にオナラと言うのはどうかなぁ?やはりここはテンシキと言わなくてはいけないのか?)と古い落語を思い出します。

突然、二人の看護師が私の下腹を押さえて、ガスを出そうとします。

私が、思わず「ウウッ」とうめくと、C医師が 「ご気分はどうですか?」

・・・・・・

実は、その瞬間、私は悪童にいたずらされた蛙を連想していたのです。

おしりに麦わらを挿し込まれ、息を吹きこまれてお腹が膨らんだ哀れな蛙を連想したのです。だから「蛙になった気分です」と答えようかな?とも思ったのですが、それではあんまりですし、C医師には分からないでしょう。

だから、私は答えました。「なんだかドジョウになった気分です」

「はぁ?ドジョウですか?」とC医師の声は怪訝そうです。 顔は見えません。

・・・・・・

「ドジョウは腸呼吸をしますからね」

「はあ、そうなんですか。 あなたはドジョウを飼っているのですか?」

「いえ、そういう訳でもないのですが・・・。ドジョウはときどき水面に上がってきて、宙返りをしてまた潜っていきますね。 プクッと泡を出してまた潜っていきますが、あのドジョウのオナラは、腸呼吸なのですよ」

・・・・・・

真剣な検査の途中ですから、それ以上雑談はできませんでしたが、私はドジョウのことを考え続けました。ドジョウはなぜ腸呼吸するのか?

・・・・・・

脊椎動物の呼吸には下記の種類があります。

1. 鰓呼吸

2. 肺呼吸

3. 皮膚呼吸

4. 腸呼吸

 

実はそれほど細かく呼吸器官を分類する必要はないはずです。私のかってな判断ですが、粘膜の内側に血管が集まっていれば、体外の空気または水の酸素分圧に応じて、血中に酸素が取り込まれるはずで、これは中学校の理科の教科書にあるヘンリーの法則にのっとった現象です。ヒトの大腸の上皮細胞も粘膜ですから、大腸からだってごく一部は酸素が取り込まれるはずですが・・・、腸呼吸と言えるほどではありません。

・・・・・・

これは私の推測ですが、ドジョウには立派なエラがありますから、必要な酸素の大半は鰓呼吸で得ており、腸呼吸で得る酸素は、全体の数分の一だろうと思います。

しかし、水中で暮らしていて、どうしても鰓呼吸だけでは酸素が足りない事態が生じます。ドジョウが棲むのは流れが速くないか全くない淡水で、あまり澄んでいない濁った水の中でも生きています。濁って澱んだ水であればBOD(生物学的酸素要求量)が高くなり、水中の溶存酸素量は少なくなります。海中でこの現象が起きれば赤潮だの青潮だのと言って大騒ぎですが、池や沼の小規模な水域ではしょっちゅう発生します。その過酷な環境下で生きるために、ドジョウは進化しました。

・・・・・・

水中に溶けている酸素量に比べれば、大気中の酸素は豊富です。なにせ大気の20%は酸素ですから・・・だから澱んだ水の中の多くの魚は大気からの酸素を欲します。

ハイギョは、魚なのに肺を持ち空気から酸素を取り込みますし、ウロコの外側に粘膜を持つウナギは最大限皮膚呼吸を利用して酸素を取り込みます。

・・・・・・

そしてドジョウは、苦肉の策で腸から空気を取り込み、不足する酸素を補っている・・というのが私の解釈です。

・・・・・・

検査を終えた後、私はトイレの中でオナラをしながら考えました。

・・・・・・

実は、呼吸で得る酸素というのは、人間社会で企業や個人が必要とするお金に似ています。これをしばらく取り込まないでいると、苦しくなり、死に至ります。さりとて、濁った水の中のドジョウのような環境にいると、必然的に酸素不足(金欠)になる訳で、副業というかアルバイトで、お金を稼ぐ必要が出てきます。 大気中には豊富に酸素があるので、できれば浮かび上がって楽に空気(お金)を得たい・・・・。

・・・・・・

企業が多角化と称して、いろいろなビジネスに手を出すのは、主にバブルなどの景気のいい時です。そちらに投資するお金が潤沢にあるからです。一方、景気が悪い時代もそれなりに、人減らしや食い扶持稼ぎのために、新規事業をします。たいして儲かりませんが、少しは腹の足しになる・・という副業を見ていると、私はドジョウの腸呼吸を連想します。我々は澱んだ水の経済環境下にあるのだ・・・。

・・・・・・

酸素不足あるいは不況の抜本対策は、腸呼吸をすることではありません。

魚の場合、急流に棲むアユやヤマメなどは腸呼吸をする必要がありません。高速の水流が効率よくエラから酸素を供給してくれるからです。

さらに、高速で海洋を泳ぐ回遊魚の場合、エラを動かす必要さえありません。自動的にエラを通過する海水が十分に酸素を供給してくれます。その代り、泳ぎを止めれば死にますが・・。

・・・・・・

経済の場合はお金の循環を速くすることです。急流に棲む魚や大海の回遊魚のように、大量の水がエラを通過する環境を行政が用意すればいいのであり、それが景気を良くするということです。そして水中の溶存酸素量を増やす・・つまりBOD値を下げることは、強いて例えれば物価の水準を適正に戻しデフレを脱却することです。

酸素量の少ない水を高速で流しても魚は窒息します。同じように、デフレを脱却しないと、経済も「利益なき繁忙」に振り回されることになります。

・・・・・・

アベノミクスが順調にいけば、我々は見苦しいドジョウの腸呼吸をしなくても済みます。清流のアユや大海のマグロのような酸素に困らない生活ができます。果たしてそうなるか?

・・・・・・

えっ?経済よりも何よりも、情報管理の方が問題だって? 特定秘密保護法の成立で国民の知る権利が脅かされ、ものも言えなくなり、窒息しそうだって? うーむ、ブログで戯言を言うような、息抜きというか、一種の腸呼吸が必要になるかな?

でもね、中国の友達がPM2.5のスモッグの中から、マスクをした顔で訴えます。

「日本の皆さん、本当に窒息しそうだ・というのは、中国大陸に暮らす我々のことですよ」

彼が窒息しそうだ・・というのが、深刻な大気汚染のことなのか、当局による言論統制のことなのかは、分かりません。


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。