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【 金継ぎ 】 [金沢]

【 金継ぎ 】

 

ある人のブログを読んでいて、彼女が趣味で陶磁器の金継ぎをしていると知り、ちょっと驚きました。この優雅な作業は専門家のみが行えるものと理解していたからです。

http://www.gch-itabashiku.jp/tabid/121/Default.aspx

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私が育った北陸の金沢は茶道が盛んな町です。お茶会に呼ばれると、目の前に登場するお茶碗を鑑賞する訳で、私のような美的センスの全く無い者でも、分かったふりをして眺めることになります。その中でアレっと思うことがあります。欠けたり割れたりしたお茶碗が修復されて、お客さんの前に現れる時です。それは、割れ目を綺麗に金で修復したお茶碗です。どうやって割れたお茶碗を修復するのか、私には分かりませんでした。 その修復作業が金継ぎです。

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お茶碗が欠けると、どうしても価値が下がります。しかし、価値がゼロになる訳ではありません。捨てがたい良さを持つお茶碗を、それだけで捨てるのはナンセンスです。修復して価値を保ち、さらには、新しい味わいがでればしめたものです。金継ぎは陶磁器の美しさや価値を理解した上での芸術的な作業となります。

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ご承知の通り、お茶碗には正面があり、鑑賞する方角がありますが、金継ぎをすると、その向きが変わることがあります。敢えて欠けて修復した箇所を真正面に据えて、金継ぎをした場所がよく見えるようになっています。これはなぜか?

母に尋ねても明解な答えがなかったのですが、どうやら理由は2つあるようです。

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1.欠点を隠さない潔さ

欠けた箇所は見苦しいのだけれど、それをこそこそ隠すのはさらにみっともない。欠点をさらけ出して、さあ御覧くださいというのが茶道の考え方。

2.豪華さを自慢する

金を用いて華麗に修理し、その美しさや豪華さを自慢する。

豪華な金を用いて美しく飾るのはそのためと思われます。そもそも金自体には接着剤としての機能は無いはずで、修復部に華美さをもたらすための材料だと私は考えます。これも、欠けたことを逆手にとった一種の開き直りかも知れません。

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それにしても、ちょっと理解できません。お茶の精神は、豪華さや華美を嫌うのではないか? これは千利休以来の茶道より昔の、禅宗の世界でも、或いは鎌倉期以降の日本の武家社会の文化の中でも金ピカは下品とされているのではないか?

しかし、一方でお茶の世界は贅を競うものでもあります。秀吉は黄金の茶室を作り、贅沢な茶会を催しています。それが利休の趣味に合致していたかは不明ですが。

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果たして黄金は茶器に似合うのか?

私の母の意見ですが、茶室では茶道具だけが、豪華であることを許されるとのことです。例えば、茶室では金属製の装身具や腕時計は身につけないのがマナーになっています。 これは金属製の腕時計などが、茶器に当って傷つけないように・・という配慮もありますが、派手さを競う形でお茶碗の邪魔になってはいけないという考えが根底にあります。逆に考えれば、お茶碗は派手で金ピカであることが許されるのです。

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実際には金をあしらったお茶碗はそう多くありませんが、金継ぎでは金色を前面に出します。日本固有の接着技術である金継ぎは、茶道の文化を基本に置いた技術であり、日本の文化そのものかも知れません。

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現代の接着技術は、接着力が強いことと同時に、接着した箇所を目立たなくすることがポイントです。接着剤はビニル系、アクリル系、エポキシ系と使用する有機材料によって様々ですが、陶磁器に用いる場合は、なるべく割れ物であることが分からないように、目立たないようになっています。

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しかし、割れ物であるなら、傷物であるなら、それを隠さず、むしろ目立たせ、正々堂々と見せ、その上で評価してもらおうという思想もあります。それが日本固有のものかは不明ですが、陶磁器大国の中国には多分無い発想だと思います。 日本の茶道家は、金継ぎの思想のユニークさをもっと強調しても良いのではないか?

そして欠点をさらけ出すことを良しとする考え方は、陶磁器や茶道以外の世界にも通じるのではないか・・?と私は考えます。 そして多分それは、日本だけでなく世界で通用する考え方だと思います。

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もちろん、金継ぎにも欠点はあります。 多分、金継ぎをしたお茶碗は電子レンジには入れる事ができないでしょう。 それから食器洗い機にも入れる事ができないでしょう。もっとも、お茶の茶碗でしたら、電子レンジや食器洗い機を使う事はないでしょうが・・。

 

ところで、加藤さん、老眼鏡を使うなどという悲しい事は書かないでください。

私の記憶の中では、あなたはずっと溌剌とした大学生のままなのですから・・。

 


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金継太

金継はカルチャーセンターの定番コースですよ
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=97757&userflg=0
by 金継太 (2013-05-28 22:10) 

笑うオヒョウ

金継太様 コメントありがとうございます。

そうですか・・・。カルチャーセンターでは定番コースなのですか・・・。
恥ずかしながら、私はカルチャーには縁遠く、カルチャーセンターはオヒョウの知らない世界でした。

カルチャーセンターか・・。いつか私も何か勉強したいなぁ。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2013-05-30 03:19) 

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