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【 ZSZDなのか? (破砕帯と活断層) 】 [雑学]

【 ZSZDなのか? (破砕帯と活断層) 】

 

原子力規制委員会による、既設の原発の安全確認調査が続いています。これまで政治的な理由で左右されがちだった、診断結果の評価が正当に扱われることを期待します。

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生意気に注文を付けられる立場ではないので、戯言をいうだけですが、地盤などの土木工学的な調査だけでなく、設備の劣化状態や、システムの堅牢さ(ロバスト性)の確認もすべきだと思います。

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ここ30年で、材料の疲労強度についての研究も進み、それに安全工学の理論もかなり変化しました。 さらに大事なことですが、長期間、強い放射線を浴びた素材の機械特性の変化については、未知な部分があるので、この機会に調べる必要があると思います。

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私の身の回りを見ても、30年前の物でそのまま使用している・・というのは、もう自分の肉体だけになりました。だいぶポンコツになりましたが・・。 原発も経年劣化について調査することは必要です。

ただし、前述の内容と重なりますが、これはあくまで、廃止・廃炉の口実にするべきではありません。 古い家だって傷み具合を調べて手入れ方法を考える訳であり、家を取り壊すために調べる訳ではありません。

人間ドックだって、健康体を維持するための手続きであり、不具合箇所が見つかったから死んでください・・という判断のためのものではありません。

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そして原発の安全性を議論する時に、どうも全く腑に落ちないのは、土木関係者のトンチンカンな説です。

一部の大学教授は、原発の敷地の直下に活断層があったらダメで、直下に活断層が無ければOKという、不思議な説を唱えています。 

http://www.j-cast.com/2012/12/30160130.html

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では地震学者あるいは原発の安全についての専門家とやらに借問したい。

中越沖地震で震源地に近かった柏崎刈羽原発では、直下または近傍に活断層があったとされているが、7つの原子炉は破壊されたのか?放射能漏れはあったのか?

逆に、東日本大震災で4つの原子炉が破壊され、放射能も漏れた福島第一原発は、付近に活断層はあったのか?活断層があろうがなかろうが、津波で電源喪失したから原子炉が安全に停止できず破壊されたのではないか?これをどう説明するのか?

活断層が、真下にあろうがなかろうが関係ないではないか?

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そもそも、東日本大震災級の大地震なら、活断層が真下にあろうが、10km20km離れていようが無関係ではないか? 敷地内だからダメで、少し離れていればOKというのはどういうことか?

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さらに言えば、地表に露出した断層の存在は、地層を見れば小学生でもわかります。 地中の断層の存在も、超音波のエコーや振動解析の結果から、専門家には分かるでしょう。しかし、海底に隠れた断層が存在し、それが活断層か否かは、しばしば誰にも分かりません。なぜわざわざ、検証困難な難しい条件を持ち出すのか? 

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さらに疑問なのは、活断層とは何か?です。 活断層は断層の中で過去に遡って100万年以内に活動(断層面のズレが移動)した断層だそうですが、それと地震発生の関係が分かりません。活断層が地表に露出していれば、地表面で剪断が発生して被害が大きくなる・・といいますが、誰も、活断層は危険で普通の断層は安全だ・・などと証明した人はいません。

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世界で活断層の危険性が最初に指摘されたのは、カリフォルニア南部で、繰り返し地震をもたらすサン・アンドレアス断層ですが、その時の活断層の定義は、過去10万年以内に活動した断層でした。 その説が登場してからまだ30年しか経っていません。それがどうして100万年になったのか、そしてその値と地震発生との間に何らかの関係があるのか? 実に怪しげな存在が活断層です。

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100万年以内とそれより古い時代で、地震発生の確率に差があるという論文は寡聞にして聞いたことがありません。活断層にこだわるのはインチキ学者ではないか?

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オヒョウの駄文を読んだからではないでしょうが、活断層という言葉に胡散臭さを認めたのか、地震学者達は、最近では破砕帯という言葉を持ち出しました。 しかし、こちらもよくわかりません。

http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/ooi_hasaitai/index.html

破砕帯という言葉は、もともとトンネル屋の専門用語です。石原裕次郎の『黒部の太陽』、高倉健の『海峡』にはわかりやすく説明されていますが、材料力学的には曖昧な定義です。破砕帯とは、破壊された岩石の破片や砂礫が充填されて強度を持たない固体領域の意味と思われますが、より精密な定義が必要です。私ならZSZS領域またはZSZD領域と呼びます。それが厳密な定義になります。

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液体と固体が混じりあった領域では、力学的に固体と液体の中間の特性がみられます。 凝固中の鉄では液体の鉄と固体の鉄が複雑に混じった世界があり、我々はZSZS Zero Stress Zero Strain)領域、或いは、ZSZD (Zero Stress Zero Deformation)領域と定義しています。

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液体では圧縮応力以外の応力は存在せず、変形抵抗もありませから、液体は典型的なZSZSですが、実は固体でもそれに類似した状態がありえます。凝固直後の高温の鋼です。ZSZSは引張応力が発生せず弾性変形も無い最も柔らかい固体という意味で、ZSZDは、引張応力が発生せず塑性変形も無い最も脆い固体という意味で、どちらも最も弱い固体の状態を意味します。まあ、お豆腐よりも脳みそよりもずっと柔らかく脆い固体です。 

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地面の下にそのような状態があるとは不思議ですが、硬い岩石の破片の間に流体(液体)があれば成立します。それが破砕帯ということでしょうか?しかし地質学者や土木工学者は、力学的に厳密な定義に触れません。 

トンネル屋は破砕帯にぶつかると、セメントミルクを高圧で注入して固めてしまいます。(セメントミルクとは、水ガラスとセメントの混合体です)。 決して建築を諦めるのではなく、当然のように克服します。 破砕帯があるから諦めろ・・というのは土木屋の常識からはかけ離れています。

土木学者のダルシーは、ダルシー流れの理論の中で、固液混相中で流れが発生する限界を固相率70%以上と判断しましたが、地震発生時には、もっと高い固相率でも固体強度を失うとかんがえられます。つまり、わずかの液体の存在が、強度を著しく損なう可能性があるのです。

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そして応力の種類でも地盤の性質は変わります。静的応力では強度を保ち、ZSZSZSZDでなくても、動的応力下ではZSZSになりえます。

動的応力とは、地震の際の揺れや振動です。 その場合、地盤の強度は、静的な硬さではなく、インピーダンスで考える必要があり、この値は周波数で変わります。

インピーダンスがゼロに近づく周波数では、強度が大幅に下がり、液体に近づきます。

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地震の際に砂が吹き出したり、地面が液面の様に揺れる液状化現象がそれです。 これは何も目新しいことではなく、昔から知られていることです。ZSZSまたはZSZDになるから破砕帯がいけないというのは事実かも知れませんが、それなら破砕帯だけでなく、地震の際に液状化を興す地層もいけない・・ということになります。

そして、どんな固体にもその振動インピーダンスを最小にする周波数は存在します。

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つまり、どんな地層でも、周波数によっては、ZSZS,ZSZDに近づき、耐震設計上は甚だ具合が悪いということになります。

ああ、活断層や破砕帯の問題を持ちだすなら、地震の時にZSZSにならない土地を探さなければなりません。 しかし、それは現実的ではありません。

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本来、議論の焦点は、ZSZSでも、つまり破砕帯上でも液状化現象の可能性のある土地でも安全な破壊されない原子炉を作れるか?という点であるべきなのですが、なぜか世の議論は活断層探しに集中します。 真実の危険性を議論せず、活断層や破砕帯の定義もあいまいなまま、どんな結論を得ようというのでしょうか? どうやら地震学者達は、ZSZSに近い豆腐の角に頭をぶつけた方がいいかも知れません。

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ちなみに人間の脳みそは、ZSZSでもZSZDでもありません。確かにかなり柔らかいですが、ほぼ豆腐並みの硬さです。

002s.jpg 私の宿のパティオにある普通の池です。しかしなぜか美しいグッピーが泳いでいます。


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夏炉冬扇

謹賀新年
日本でいらっしゃる?
今年もよろしく。
by 夏炉冬扇 (2013-01-02 17:24) 

笑うオヒョウ

あけましておめでとうございます。

怠け者の節句働き・・の言葉通り、私は大晦日も元日もベトナムの工場で
仕事をしております。こちらでの本当の休暇は旧正月(テト)なので、皆さん元日から仕事をしています。 こちらはテトの前には帰国して、旧正月もなく仕事をする予定です。

今年もよろしくお願いします。
by 笑うオヒョウ (2013-01-02 19:28) 

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