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【 ベトナムの義経 】 [ベトナム]

【 ベトナムの義経 】

 

去年から年明けにかけて、私がおじゃましているベトナムの工場の設備には、こんな標語がかかっています。

「 Tái nguyên có han, Trí tué vô han. 」

(資源有限、智慧無限)という意味で、智慧の合理化を進めよ・・という当たり前の言葉ですが、nguyenという単語が気になります。 これは資源とか源という意味なのだそうですが、人の姓としても、もっとも普通の名前です。発音はグエンです。

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ベトナム戦争の当時、南ベトナムのリーダーだったのは、グエン・バン・チュー、グエン・カ・オ・キといった「グエンさん」ばかりです。この工場の設備担当で、優秀かつ幹部候補の青年もnguyen(グエン)君です。

「すると、君の名前の元の意味は、源という意味かね?」と尋ねると「そうです」とのこと。 そう言えば、日本語の源の発音 ゲン“とnguyen君の発音”グエン“は、ちょっと似ているように思います。

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ひょっとして、nguyen君の名前を漢字で表すと「源」になるのかな?

「実は、ベトナムも昔は日本と同じように漢字文化圏だったようです。ですから単語の多くには対応する漢字があるはずなのですが、よくわかりません。フランスの植民地だった時代にアルファベットの使用を強制され、アジアの文字はベトナムから姿を消したようです。気の毒なことです。」と語るのはベトナムに駐在するMさんです。

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一緒にベトナムに滞在する中国人は、ベトナム語のいろいろな単語に対応する漢字を知っているようで、それを元に中国語で発音しますが、うまく通じません。これは日本の漢文や漢詩を現代中国語で発音して、日本人に話しかけるようなもので、うまくいくはずもありません。しかし、ベトナムがかつて漢字文化圏であったことは疑いないみたいです。

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ひとつの民族が、文化が持つ言語を取り上げて禁止することは、犯罪です。それと同様に文字を取り上げることも犯罪です。 かつてフランスは文字を持たなかったアフリカを征服した時と同じように、豊かな文化を既にもっていたインドシナ半島を植民地にする際、文字を取り上げたのです。 漢字を失ったベトナムは、元の意味と発音は残ったのに、表意文字がなくなりちょっと不思議なことになっています。

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では一体、グエンとは何者か? そこで私は、妄想をたくましくします。

かつて、源頼朝に追い詰められ、衣川の戦いに敗れた義経は、本当にそこで死んだのか? ご存知、とんでも学説には、義経は大陸に渡り、ジンギスカンになったというものがあります。 慶応大学の文化人類学の佐藤仁先生は「モンゴルに行って見たパオという住居の上に翻っていたのは、まさに源氏の白旗だった」と語ります。

また源義経という漢字を当時の大陸の発音で読むと、ゲンギギャンとなりそれが訛れば、ジンギスカンになるという説もあります。 本当かね?

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私は、全く別の仮設を立てます。源義経はジンギスカンになったのではなく、逆にジンギスカンに対峙する方に立ったのではないか? 衣川の戦いに敗れた義経は、船に乗って、武蔵坊弁慶や伊勢の三郎義盛、常陸坊海尊らと共に、漢字文化のあったベトナムに渡ったのではないか・・というトンデモ推理です。

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日本の衣川の戦いの後、やがてジンギスカンによって築かれたモンゴル帝国はユーラシア大陸を席捲します。しかし、アジアの国々の中でモンゴル帝国に征服されなかった国が2つあります。ひとつは日本、ひとつはベトナムです。日本については言うまでもなく、鎌倉武士の活躍と神風の到来で、蒙古軍は全滅したのですが、ベトナムがモンゴルの脅威に超然としていられた理由が分かりません。

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一説には、越南を攻撃しようとした蒙古軍は、熱帯の伝染病に苦しんだとされます。猖獗を極めた流行病で、戦力を失った蒙古は、東京(トンキン)、越南を征服することを諦め、退却したとの事です。

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そうでなくても、乾燥したステップ気候の草原で縦横無尽に動く騎馬軍団が、モンスーン気候の森林を超えて、ベトナム中部の首都にたどり着くのは一苦労です。モンゴルがベトナムを侵略できなかった理由は、確かにあります。 

でもそれだけでしょうか? ひょっとしたら、ベトナムには騎馬戦に強い侍大将がいて、蒙古軍を撃退したのではないか?・・・と私は想像します。 それは日本を脱出した源義経ではなかったか? そして、それがグエンさん達の先祖ではないか?

ロマンというより妄想を思わずたくましくする訳ですが。

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ベトナムは戦争に強い国です。アメリカと戦争して唯一、負けなかった国です。その直後に勃発した、中国との「ベトナム懲罰戦争」では、鎧袖一触、中国の人民解放軍を蹴散らしました。ひょっとして古代の名戦略家の伝統が息づいているのか?

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「グエン君、君のご先祖は、ひょっとしたら、日本の高名な侍大将だったのかも知れないね」

「いや、まさか、そんなことはありませんよ」と、ちょっと出っ歯のグエン君は笑います。そう言えば、源義経も反っ歯だったと、物の本には書いてあります。

019s.jpgホーチミンで一番高いビル

 

004s.jpg泊まっている宿の玄関


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