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【 ベトナムの映画 】 [映画]

【 ベトナムの映画 】

上野まり子様のブログを拝見して感じることですが、我々はずっと外国映画に親しみを感じ、外国映画にあこがれてきたのだなあ・・と思います。

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かつて外国に行く事は簡単ではありませんでしたし、今でもそう気軽には行けません。映画に登場する外国の景色を見て外国のことを知り、そしてその映画のために外国への憧れをかりたてられた時代もあります。

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萩原朔太郎の

「フランスに行きたしと思えども、フランスはあまりに遠し。せめては新しき背広を着て気ままなる旅にいでてみん」という詩は、ひょっとしたらフランス映画を見た後に作ったのではないか?と思ってしまいます。

フランスの小説を読んだだけで、あるいは印象派の絵画を見ただけで、そこまでフランスに憧れるとは思えないからです。実際に映像を見ると、印象が違います。

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もっとも、今では円高と格安航空券の登場で、背広よりヨーロッパ旅行の方が安くなってしまいました。背広にもよりますが・・。

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我々が、ある外国とその国の文化にどれだけ興味を持ち、レスペクトするかは、つまるところ、その国の映画がどれだけ多く紹介され、多くの人に観られるか・・で測ることができると思います。あるレンタルビデオ店に行けば、外国映画は、アメリカ、フランス、イギリス、スペイン、イタリアとジャンルに分かれていますが、スェーデンやドイツというコーナーはありません。アジアは・・というと、韓国、中国、台湾の映画は多く紹介され、それぞれにコーナーがありますが、インドやベトナムは・・というと「その他アジア」のコーナーにまとめられてしまいます。

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これは、言い換えれば、それらの「その他アジア」の国々に対して、我々はあまり興味を持っていない・・という事なのかも知れません。 それらの国では映画の生産量が少ないとか、良質な映画が少ないから・・ということではないでしょう。

インドなどは、まさに映画大国といえ、制作本数も優秀作品の数も多いそうです(駄作もたくさんあるけれどね)。

要はその国の分化に馴染みがあるかないかなのでしょうか?

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その傾向は外国に行くと分かります。

中国のスーパーマーケットには、映画の(海賊版ではない)DVDが売られていますが、その中には旧ソ連で制作された、西側世界の人々にはあまり馴染みの無い作品が並んでいます。 それは中国と旧ソ連の文化的結びつきが依然強いということでしょう。トルストイの「戦争と平和」とか、「雪の女王」とか、いかにもソ連らしいのですが、残念なことにロシア語の音声で字幕が中国語というのでは、私には手が出ません。 「戦争と平和」や「アンナ・カレーニナ」「復活」などは、絶対に、アメリカ制作の、アメリカ人俳優が英語で話す「戦争と平和」などより出来がいいだろうに・・と思うのですが、確認しようがありません。

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その一方でハリウッド映画もあれば韓流映画もありで、なんでもあり・・・が中国のDVD店です。しかし日本の作品は少なく、そしてなぜか、中国の佳作とされる映画はあまり見かけません。チャン・イーモウの作品やジャ・ジャンクーの作品はほとんど見かけません。不思議ですが、その理由はあとでわかりました。

中国ではやはり旧ソ連の影響があるのかな・・。 一方であまりにアメリカ的なハリウッドも好きなのか。・・これが開放経済なのか・・と妙に納得しました。

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翻って、自分の興味について考えてみます。

好きな映画監督2人ずつ、好きな映画を2つずつ国別に挙げてみろ・・と言われると、日本を別にして、アメリカ、イギリス、フランス、スペイン、イタリア、中国・・は簡単に思い当たるのに、ギリシャとか、韓国はすぐに出てきません。 自分の意識の中でやはり優先順位が低いのか・・と考えてしまいます。 その中で、ベトナム映画・・と考えると、たった2作しか思い出しません。 ひとつは「青いパパイヤのかおり」もうひとつは「夏至」です。 私のベトナムについての意識レベルがいかに低いか・・ということです。

結局レンタルビデオ店の棚と同じレベルでしか、自分の興味も広がらないのか・・。

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2つは全く違う映画ですが、登場するヒロインがどちらも典型的なベトナム美人です。

ベトナムにはこんな美人が大勢いるのかな?・・なんてことを、映画を見て考えましたが、実際に、ベトナムはスリムな美人の宝庫です。映画女優だけではなかったのです。 しかし、不思議な事にベトナムの人は、この2作品を知らないようです。 ホーチミンに暮らす、インテリのベトナム人の何人かに訊いてみましたが、誰も知らないようです。

これはいかなることか? 社会主義国ベトナムは、まだ中国ほどには開放されていないということか・・?

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ところで外国の特定の土地が登場する映画について知っていると、初対面の人との話がスムーズです。 オーストリアのリンツで乗ったタクシーの運転手は、私が日本人だと知ると、しばしばオーストリアが舞台の映画「サウンド・オブ・ミュージック」について、話しかけてきました。 この映画について、私も「懐かしい素晴らしい映画だ」と言うと、彼らも上機嫌になります。 しかしウィーンが登場する「第三の男」の方がもっと好きだと言うと、何人かは不機嫌になります。そちらの映画に登場するオーストリアは、あまりよく描かれていないからです。

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中国、山西省太原で会った劉さんは、「賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督を知っていますか?」と尋ねたら、即座に意気投合できます。

「知っていますとも。彼は山西省の英雄です。彼は、世界中の映画の賞を取って有名になった後も、故郷汾陽(フェンヤン)に留まって、激変する中国社会を追いかけているのですよ」

「『站台』(邦題:プラットホーム)は観ましたか?『小武』(邦題:一瞬の夢)は観ましたか?」

「勿論観ましたよ。汾陽はあまり変化せず、当時のままなのですよ。一度オヒョウさんも行ってみたらいいですよ」

・・・ああ、映画鑑賞を趣味にしていて良かった・・・

「ではオヒョウさんは、『長江哀歌』は? 『四川のうた』は観ましたか?」

「いや、それがまだなのですよ。中国のデパートのDVD売り場に行っても置いてないし・・、なかなか手に入らないのです。劇場で上映される可能性もありませんし」

劉さんは、不思議そうな顔で、

「どうしてDVDを買ったりするのですか?中国ではみんな、インターネットで映画をダウンロードして観ますよ。ダウンロードには少し時間がかかりますが、なんといっても無料ですからね。 今時お金を出して映画のDVDを買う人なんて中国にはいませんよ」

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ああ、盛り上がった話なのに、最後の部分で嫌な話を聞いてしまった。

正真正銘の映画の天才である、ジャ・ジャンクーについては、実に語るべきことが多いので、何時か稿を改めて、駄文にしたいと思います。

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画像 221s.jpg

写真は、晩秋の山西省太原の公園です。


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