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【 デモと民主主義 】 [政治]

【 デモと民主主義 】

 

ここ数週間は知りませんが、東京では時々反原発デモをみかけます。

「ゲンパツイラナイ。サイカドウハンタイ」と独特の抑揚で、シュプレヒコールをしています。どちらかというと、「アンポハンタイ。トウソウショウリ」という言葉の方が、リズムがいいな・・と思う人は、かなりの年配の人達です。

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原発反対デモは、声は出しますが、行動はおとなしく、整然と道路を歩きます。多くのマスコミもこのデモについては好意的に報道します。しかし、ここで確認しなくてはならないのは、マスコミが肯定するのが、デモ行進という民意の表現方法なのか、それとも原発反対というスローガンなのかが不明なことです。 多くのマスコミはそこをわざと曖昧にします。

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もうひとつ、よくわからないことがあります。彼らは誰に対して訴えているのか?野田内閣に対してなのか?それとも経済産業省に対してなのか?それとも衆議院の与党の代議士達に対してなのか? どうもはっきりとしません。

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かなり以前の話で申し訳ありませんが、NHKのニュース9の大越健介キャスターが、反原発デモの高まりを好意的に取り上げていました。民主主義に於ける選挙権の行使とは違う、別の形での国民の意思の表明手段が復活したことを歓迎する・・と彼は言っています。復活というのは、かつての安保闘争などを指しているのか?

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東大文学部(というより野球部)出身の大越に反論するのも、おこがましいですが、それは違うのでは?

デモが本当に意味を持つのは非民主主義の国です。民主化が遅れていたり、機能しない国、民主的な手続きでは間に合わない、あるいはまどろっこしい時にデモは特に意味を持ちます。国民の意思、民衆の思い、或いはルサンチマンがどうしても為政者に伝わらない時に、デモを行うのです。民主主義が機能する国では選挙権の行使やリコール手続きなど、法律で定めた手続きを行うことが最優先です。それと並行する形で、デモを行うことに正当性は乏しいはずです。

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大越の世代、つまりアプレ学生運動の世代には、妙なコンプレックスがあるようです。

ノンポリであること、自ら運動に参加していないことの後ろめたさが、過去の学生運動を美化させるようです。しかし、はたしてそれは正しいのか?

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大越は、原発反対デモを支持しながら、その首謀者の一人にインタビューしています。相手はなんと宗教学者の中沢新一です。

あの誤訳だらけで顰蹙をかった「チベットの死者の書」を著し、さらに「オウム真理教」を礼賛して、マスコミの前から姿を消したはずの彼が登場し、反原発デモをオーガナイズしていることをあかします。

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中沢は、「かつてのデモや市民運動には、背後に特定の政治団体や思想的背景があった。しかし、今度の反原発運動は、市民が声を挙げなければ・・と思い、自発的に集まり、自然発生したもので、政治的なイデオロギーとは無縁だ。それがよい」と語り、大越もそれに頷きます。

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しかし、それは明らかに嘘でしょう。赤旗こそ目立たないけれども、デモの中核になっている人々は、明らかにかつて別の運動や闘争に参加してきた人達です。政治的に無色というのは偽りでしょう。それに自発的に集まり、自然発生したというけれど、現に中沢がオルグしているではないか? これは矛盾ではないのか? それにそもそも市民とは何でしょうか? 日本の人達なら国民でいいではないですか?もし、外国の人々も混じるのなら、単に人々と表現すればいいのです。 日本に於いては、ほとんど意味を持たない「市民」という言葉自身が、決してイデオロギー的に無色な行動でないことを示しています。

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そもそも大越他マスコミは、本当にデモ行進を肯定しているのでしょうか?

原発反対デモの前には、それを上回る人数の反韓流デモが、フジテレビを対象にして行われました。それを徹底的に無視して報道せず、反原発デモだけを取り上げるというのは、彼らが客観的に、かつ中立的にデモを見ていない証拠です。

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その後、中国では反日デモが荒れ狂いましたが、それについて大越他マスコミ各社はどう考えているのでしょうか?

中国での反日デモは日本人の目から見れば、愚かしさが目立ちます。

デモ参加者は、本当の情報を知らされず、日本のことも尖閣のことも知らないまま、政府に扇動されて暴力行為に及んでいます。

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デモに参加する人達は真剣ですが、実は彼らが信じている情報が正しいかは不明です。しばしば中国のデモでは、真実を理解せずに軽挙妄動する人々、つまり阿Qを見かけます。日本のデモではどうなのか?

デモ参加者は本当に原発の危険性を客観的に考えているのか?沖縄のデモ参加者はオスプレイの事故率を本当に理解しているのか?

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デモ行進を支持するマスコミは、その点を知りながら語りません。 本当はデモではなく原発反対運動を支持したいのが本音かも知れません。

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前述の通り、原発反対であれ、オスプレイ反対であれ、民意を主張し、国政に反映させたいのなら、衆議院の解散を求めるべきです。政権与党が彼らの意見を汲み上げてくれないのですから。 そして自分たちの主張を選挙の争点にするべく活動すべきです。それが正統な手段であり、国会の前でシュプレヒコールを挙げるより遥かに現実的です。

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しかし、今回の総選挙で、実際に原発即時停止を前面に打ち出した未来の党は惨敗しました。原発立地の地元でも、原発即時廃絶派は皆落選しました。 つまり、デモはあるけれど、国民の大多数にとって原発の即時廃止は最優先課題ではないということか?

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原発反対派は、デモはしても衆議院の解散は求めませんでした。 彼らは自分たちの意見が少数派で選挙になれば負けることを知っていたから、解散を求めなかったのでしょうか?それとも実は政府にシンパシーを感じていたのでしょうか?

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実は、原発反対デモをする人々にとって、民主党政権は本当は倒すべき対象ではなかったということです。今は政権与党であるけれど、野党時代は一緒にシュプレヒコールをあげた仲間であり、共に自民党反対を訴えた同士だからです。

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だから、今回、自民党が政権与党に復帰して安倍政権が誕生することは、彼らにとっては都合がいいはずです。心置きなく政府を批判し、政権打倒と原発全廃を訴えることができるのですから・・・・・。

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昭和35年の安保闘争の盛り上がりをもう一度・・と東大文学部出身の中沢と大越は考えているかも知れないけれど、50年経ってから振り返り、日米安保の存在を彼らはどう評価しているのか? あの反対運動は正しかったのか?

奇しくも、安保闘争の時の首相は岸信介、こんどの安倍晋三の祖父です。岸は、「(デモはあるけれど、多数派である)声なき声を聞く」といって、安保の自動延長を成立させ、それと引換に総辞職しました。 安倍内閣も原発処理で決断を迫られ、対中関係で決断を迫られ、その度に国会は阿Q達のデモ隊に囲まれるかも知れません。

でもまあ、それも国家が健全な証拠です。

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政府が扇動し、外国を非難するために、自国の百貨店を襲わせている国よりははるかにましですから。


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夏炉冬扇

こんばんは。
昔むかし、よくでもしましたね。遠い青春です。
by 夏炉冬扇 (2012-12-23 22:09) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇様、

どのようなデモに、どのような思いで参加したかで、年齢層が分かってしまいます。 福岡県ですと、かつては三井三池炭鉱の争議が大きなデモでしたし、大学紛争よりも、労働争議の方が記憶に残りますね。

私の世代は、大学紛争の残り火がキャンパスにあった時代です。
政治活動が、懐かしい思い出になってしまいました。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2012-12-28 03:46) 

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