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【 アメリカの牛肉 】 [アメリカ]


【 アメリカの牛肉 】

テキサス州の新聞、Houston Chronicle紙に面白い記事がでていました。

電子版のURLは下記の通りです。

http://chron.delish.com/food/recalls-reviews/big-america-takes-on-japan

日本のマクドナルドで、期間限定でビッグアメリカというキャンペーンが行われ、テキサスバーガー2が売られているのを紹介するニュースです。

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アメリカでは、低カロリーで上品で健康によい・・というのが日本食の評判ですが、その本家本元で、高カロリーで脂ギトギトの肥満の原因となる大型のハンバーガーが売られるとは、これいかに・・というちょっと皮肉の入った記事です。

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しかし、オヒョウは例によって、別の事を考えます。マクドナルドはアメリカシカゴが発祥の地です。 アメリカを南部と北部に分ければ北部であり、南部のテキサスとは違う国・・とも言えます。

そのマクドナルドがなにゆえ、テキサスバーガーという名前をつけるのか?とオヒョウはいぶかります。

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いろいろな料理や品物に、土地の名前がついているけれど、実はその土地に暮らす人々は「そんなものは知らない」という事がしばしばあります。

例えば、数年前にブームになった小型犬チワワの名前は、メキシコ北部のチワワ州に由来しますが、チワワ州の人はそんな犬は知らない・・と言います。

オヒョウの好きなトルコライスはトルコには無いそうです。トルコ風呂はあるそうですが、日本のトルコ風呂とは全く違うものだそうです(オヒョウはトルコにもトルコ風呂にも行った事が無いので知りませんが)。

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チェスの定跡のひとつ、チャイニーズギャンビットは、将棋の穴熊みたいな作戦ですが、中国で発明されたものではないでしょう。中国の人はほとんどチェスを指しません。

落花生の事を我々は南京豆と呼びますが、南京の人はそう呼びません。

そう言えば、南京虫の事を、南京の人は知らないそうです。多分、南京にも南京虫はいるでしょうが違う名前です。

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不可解な地名のついた品物を挙げていけば切りがないので、ここで止めますが、マクドナルドになぜテキサスバーガーがあるのか、ちょっとひっかかります。だいたい、日本のマクドナルドで使用する牛肉はオーストラリア産だそうです。

http://www.mcdonalds.co.jp/anzen/measure

それなのに、テキサスバーガーとは・・・? 

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ではアメリカだけに話題を絞り、マクドナルド本家のシカゴの牛肉とテキサスの牛肉は違うのか?という問題があります。 どちらも牛肉で有名な土地ですが、オヒョウの記憶ではちょっと違います。ダラス・フォートワースやヒューストンではやたらと角の長い独特の牛を食べます。 その名もロングホーン種で、レストランの名前にもありますが、強烈な南部なまりでロングホーンと言われても、すぐにはわかりません。しかしおいしい牛ではあるのは間違いありません。

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ではシカゴの牛は別の種類か?と言われれば、確かに違うのですが・・、実は生まれは南部だったりします。ちょっとややこしいのです。アメリカの畜産は、実に雄大です。ロッキー山脈の裾野の広大なグレートプレーンズで、仔牛は誕生します。 その地の牧場で草を食べて大きくなりますが、それで終わりではありません。 ある段階まで育つと、巨大な群れを作って、シカゴへ向かいます。それはシカゴに屠殺場があるからです。今は、多くが鉄道輸送でしょうが、昔は、野原を牛の集団を率いてカウボーイが移動したのです。まさにローハイドの世界です。

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南部出身の牛が中西部に着いて旅は終わりか・・というとそうではありません。イリノイなどの中西部にはコーンベルトと呼ばれる穀倉地帯があります。そこで牛は栄養価の高い飼料デントコーンを食べて、一挙に肥えます。最後の段階で、トウモロコシを食べる事で、肉は美味しくなるのだそうです。まあ、ビールを飲んでマッサージされる日本の牛ほど贅沢ではありませんが。

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だからシカゴの牛肉は、ステーキからハンバーガーに至るまで美味しいのです。 ちなみにオヒョウの義父は、アルゼンチンに滞在した事があり、牧場で食べたおいしいステーキの味が忘れられない・・と言います。

しかし、アルゼンチンの牛はアルファルファという牧草を食べて育ったもので、所詮カロリーではシカゴの牛にかないません。

余談ですが、オヒョウはアルファルファのサラダも好きです。

牛の餌となる牧草か・・と思うとちょっとつまりませんが。

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この米国のビーフステーキは、世界の歴史に大きな影響を与えました。

1960年代、冷戦のまっただなか、国連総会に出席するため、訪米したソ連のフルシチョフ書記長(当時)は、ビーフステーキを食べたとたん、ロシア語でこう叫びました。

「これはアメリカの陰謀だ! このようにうまい肉を食べさせて、共産主義社会を堕落させようという魂胆だ!」

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冗談なのか、本音なのか分かりませんが、当時、ふんだんに牛肉を食べられたのは、豊かな西側の先進国だけだったのです。フルシチョフは、このうまい牛肉の秘訣がトウモロコシを食べる事であると教えてもらい、帰国後、ロシアの農地でも飼料用トウモロコシの栽培を開始しました。

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しかし、失敗しました。大規模畜産を成功させるには、幾つも条件があり、ロシアの農業にアメリカの方式をそのまま持ち込む事は不適当だったのです。 人が穀物を直接摂取する場合に比べて、食肉の形にして摂取すると、生産効率は1/5以下になります。飢餓とは言わないまでも、食糧にゆとりのないソ連で、アメリカ型の牛肉をふんだんに食べる食生活は、当時は無理でした。

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農政に失敗したフルシチョフは失脚して、コスイギンの時代になり、やがてブレジネフ書記長の時代に冷戦はピークに達します。

ああ、考えて見れば、20世紀の時代、農政に失敗した指導者のなんと多いことか・・・。

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牛肉をめぐる悲喜劇は21世紀も続いています。北朝鮮では、国民に肉のスープを食べさせるのが目標ですが、いまだ実現していません。

食糧が不足し、絶対的なカロリー不足になっているなか、下手に贅沢な畜産などに手を染めれば、人々はますます困窮します。 と考えていたら、なんと、北朝鮮で口蹄疫が蔓延しているそうです。病気が流行するほど家畜がいる事が不思議ですが・・。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110118-00000000-asiap-int

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北朝鮮の人々を覚醒するためには、ピョンヤンにマクドナルドを作り、テキサスバーガーを配ればいいのです。「君たちが敵視するアメリカ人はこのように高カロリーのものを食べ、ダイエットに苦労しているのだ」と言えば、北朝鮮がもつ敵愾心がアホらしい事に気づくはずです。

勿論、かの将軍様は叫ぶでしょうね。

「これはアメリカの陰謀だ」と。勿論、朝鮮語で。




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