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【 制服論 】 [雑学]

【 制服論 】

何年か前に国連で子供の人権について考えるキャンペーンがありました。子供たちの人権が蹂躙されているありさまを、世界各国から集まった子供たち自身が、ニューヨークで報告する催しがあったとの事です。

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日本からも東京の高校生が参加したのですが、彼の発表に他の国からの参加者は驚きました。 彼は、日本の中学・高校の制服について説明したのです。

「日本の中学や高校の生徒は、このように画一的でセンスのない服を通学時に強制的に着させられている。これは自由に服を着てファッションを楽しみ、自分を表現する権利を奪うもので、人権蹂躙だ」と発表したのです。 これを聞いて、外国、特に開発途上国の人たちは呆れました。

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服が与えられ、学校に通えるというのに、何が不足なのか?

世界の貧しい国では、子供たちは労働力です。 教育を受ける権利を奪われ、福祉からも見放されています。

他の国の報告は、子供たちが受けるべき配給の食料を大人に横取りされているとか、不当に安い賃金でこきつかわれているとか、少女が売春を強いられているとか、少年が銃を持たされ、最前線の兵士にされているといった、悲惨な内容です。先進国でも、性的虐待を受ける子どもなど、胸の痛む話がでてくるのに、この日本代表のノーテンキな報告は何だ?という訳です。

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結局、日本の子供たちは、恵まれていて、甘やかされ、幼稚な問題意識しか持っていないとわらわれてしまったのですが、事実そうなのですから仕方有りません。

実際には、日本の子供達も虐待などの被害者になっているのであり、深刻な問題はあるのですが、高校生にその問題を考えろ・・というのも無理かも知れません。

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それにしても、どの世界にも制服があります。そして制服に憧れる人、制服を嫌がる人、仕方なしに着なければならない人の3種類がいます。

そして制服には仕事をするための作業着と、身分・立場を示す為の記号として服の2種類があります、ここでは身分・立場を示すものとしての制服を取り上げます。

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かつて、日本でも制服を着た人が威張っていました。民主主義が一般的になる前は、ある組織に属し、その中で一定の地位にある事は、誇れる事であり、威厳のある事だったのです。制服を着た人の代表ともいえる警察官は、庶民にはちょっと怖い存在でした。

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今でも、民主化されていない国では制服を着た人は権威ある存在であり、威張っています。 民主主義の国あるいはシビリアンコントロールが機能する国では、背広組と制服組が同居する組織(自衛隊、海上保安庁、警察)は、背広組が優位だったり対等だったりしますが、民主主義を標榜しない国はそうではありません。国家元首が軍服を着て国民にメッセージを発するミヤンマーなどは制服組が威張っています。

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心配なのは今の中国です。胡錦濤政権は次第に人民解放軍をコントロールできなくなりつつあります。習近平が軍を掌握できるか不明ですが、もし民主化されていないかの国で軍隊が暴走し始めたら、ちょっと大変です。傍迷惑な事態が予想されます。

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警官や軍人などの制服は別にして、中学生や高校生が着る制服の場合はどうでしょうか? 学校の制服(最近は通学服と言いますが)の着用は、その学校への帰属意識を高め、自らを律する為に有効な手段であると考える教育者は多いようです。

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問題は、その生徒が愛校心をもってその服を着用するか否かです。学校にもハンドバッグやスーツと同じようにブランドがあり、人気のある学校とそうでない学校があります。つまらない話ですが、制服は誇りというより自尊心の象徴にもなりますし、コンプレックスの対象にもなります。

残念ながら、制服を着る事を不快に思う少年少女がいる事は事実でしょう。 しかし、その問題の本質は今の学校制度や教育システムであり、制服に罪がない事は自明です。

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ところで、どんな人でも、決して着たくない制服の一つは囚人服です。

釈放されなくても、あるいは塀の中にいなければならないとしても、囚人服を着なくて済む機会があれば素晴らしいのに・・と思う囚人は多いはずです。 

もっともオヒョウにはその経験がないので分かりませんが・・・。

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韓国の囚人のそんな思いを取り上げた作品があると、上野まり子さんがブログで紹介しておられます。

http://uenomariko.blog.so-net.ne.jp/

これは韓国の女子刑務所の囚人達が合唱団を結成するという話だそうですが、心に傷を負った受刑者達が歌を通して、癒され心を開いていく過程が描かれているそうです。 女囚となれば、公演の際、囚人服を着なくてもよいという喜びと開放感も、ひとしおのはずです。

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実はそれに類した話をアメリカで聞いた事があります。

テキサス州の刑務所には終身刑や、懲役数百年というむちゃくちゃな刑期の囚人がいるそうです。そして彼等は年に一回のロデオをとても楽しみにしているそうです。なぜなら、ロデオに参加する時は、囚人服を脱いで、テキサスのカウボーイの姿になれるからです。

オヒョウの感覚で言えば、荒れ狂う馬だか牛に乗って振り舞わされるのは、怪我のおそれもあるし、ゴメンこうむりたいところですが、懲役囚は囚人服を脱げるなら、ロデオも大歓迎・・ということでしょうか?

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日本の囚人にも、何か囚人服を脱げる機会があればいいのに・・とも思います。

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ところで、リストラされたJALのパイロットや客室乗務員が、裁判に訴えるそうで、街頭で支援を呼びかけるビラを配っています。 機長の地位を示す、4本の金帯が入った袖の制服を着た男性や客室乗務員の服装の女性が、呼びかけているのですが、どうもしっくりきません。

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彼等は、JALのパイロットやスチュワーデスの制服を脱ぐのがそんなに嫌なのでしょうか? 今まで、自分の仕事に誇りをもって働いていたのは事実でしょうが、もしその仕事を続けたいのなら、別の航空会社への再就職を図る方が現実的です。会社にこだわるのではなく、仕事にこだわるべきです。

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第一、パイロットも客室乗務員も、その制服は会社のものであるはずで、職を離れた今、みだりに街中で着用していいものではないはずです。 

制服を脱ぐ事に憧れる囚人達に比べて、制服を脱ぎたくないJALの人達の訴えは、いまひとつ、オヒョウの心にひびきません。




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