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【 ゴンズイ玉 その1 】 [雑学]

【 ゴンズイ玉 その1 】

30年ほど前の夏、伊豆の海でゴンズイ玉を見た事があります。 ご存知ない方に申し上げれば、ゴンズイは暖海に棲むナマズのような小型の魚で、黒と黄色のストライプ模様が目立ちます。 背びれなどに毒があるので、うかつに触れると痛い目にあうそうですが、臆病な性質のためか、密集した群れを作っており、その形状がボール型なので、ゴンズイ玉とも呼ばれます。 聞いたところでは、特に密集した球をつくるのは幼魚で、玉の中心に向かって泳ぐのはフェロモンの影響とか・・・。

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群れを作る魚は、数多くありますが、ゴンズイほど密集した群れを作るものはありません。また回遊性の魚の群れは、群れの形状がさまざまに変化しますが、ゴンズイの場合はほぼ球状です。 これは面白い・・と水中眼鏡越しに観察しました。

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すべてのゴンズイ玉がそうなのか不明ですが、オヒョウが観察したゴンズイ玉は、表面に露出した魚はすぐに群れの中にもぐりこもうとします。どうやら自分が群れから飛び出したり、群れの表面に露出する事を極端に嫌がるようです。触覚を持つヒゲで、他の個体に常に触れていないと不安なのかも知れません。或いは、某仮説にあるようにフェロモンのためなのか?

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そうなると、どういう現象がおこるか?

表面の個体が群れの中心に戻ろうとすることで、群れの塊の表面積は最小となり、真球に近くなります。一定の体積に対して、表面積が最小となる立体は球であると、誰もがボンヤリと理解しています。しかし、その数学的な証明は結構煩雑です。

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でも、ゴンズイ玉を見れば一目瞭然なのです。個々の魚の個体が露出を嫌がる事は、群れの塊全体の意思として、表面積を小さくしようとすることと同じです。 その結果、塊は球になります。

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これは表面張力の問題と同じではないか?表面張力も、分子間引力などの理由で表面積を最小化しようとする現象です。その結果、種々の液滴や気泡は、球になります。

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すると球の中心へ中心へと泳ぐ、ゴンズイの挙動は、表面張力が原因で発生するマランゴニ対流そのものではないか? 表面張力やマランゴニ対流をどうしても感覚的に理解できない人は、伊豆の海に来てゴンズイ玉を見ればよい・・・。

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そこまで考えたところで、息が苦しくなり、オヒョウは海面に戻りました。実はゴンズイ玉には、その他に面白い事がたくさんあります。波に揺られながらそれらの事を考えました。

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1. ゴンズイ玉を構成するオスメスの比率はどうか?

魚の中には、オスとメスが番(つがい)を構成するものもありますし、ある時期に、一斉に性転換する種類もあります。ゴンズイの場合はどうなのでしょうか?オスが圧倒的に少ないハーレム型、或いはメスが少ない「娘一人に婿七人型」なのか? それとも一婦一夫制なのか?ベラの一種であるキューセンなどは、オスとメスの色が違い、識別が容易ですが、ゴンズイはそうはいきません。オヒョウは想像するしかありません。

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実は、交尾や産卵の効率だけから言えば、オスメス比が1対1の場合にもっとも都合がよくなります。オスとメスが遭遇する確率が高くなるからです。 しかし、オス同士が接近したり接触すると、喧嘩にならないか?とか余計な事を心配します。 そうすると、少ないオスに多くのメスが集まってゴンズイ玉を形成すると考える方が合理的かも知れません。

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話は飛躍しますが、原子核には、主に陽子と中性子が存在しますが、その合計の数(質量数)が同じでも、陽子と中性子の比率が違えば、全く違う元素になることは、言うまでもありません。 ゴンズイ玉も、構成するオスメス比によって、全く違う生態を持つのではないか?と思います。

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昔、物理の先生に尋ねた事があります。「狭い原子核の空間に、陽子が複数あれば、プラスの電荷による強い反発力が働いて、バラバラになるはずではないか? どうして原子核はうまくまとまっているのか?」

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先生の答えは、「湯川博士が予言し、後に見つかったパイ中間子に核子を束ねる力があると考えられる」でしたが、その後、その理論が発展し、量子色力学が「強い相互作用」という名前で、原子核内の核子を結びつける引力を説明している事を聞きました。 その力は電荷による反発力よりもはるかに強い・・・そうです。

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ゴンズイ玉においても、オスとメスの個体数が拮抗し、多数のオスがいるならば、原子核と似た問題が考えられます。オスの個体同士が接近・接触する事には反発力があるでしょうが、それ以上に群れから離れる事を恐れる力が勝っているから、彼らは接近し密集した球を構成しているのでしょう。

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ゴンズイ玉にも、核子を結びつける中間子的な存在を考えるべきですが、それは素粒子ではなく、多分、ゴンズイの習性です。

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