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【 Sunday Cloth 】 [アメリカ]

【 Sunday  Cloth

オヒョウは、素朴でまじめなアメリカ人の考え方や生活様式を知りたければ、ローラ・インガルスの「大草原の小さな家」を読むべき(または見るべき)だと思います。 現代に照らし合わせれば、古臭い考え方である事と、いささかお説教臭い点を除けば、誰もが共感できる話が登場します。

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マイケル・ランドンが主演したTVドラマは、一時期NHKで放送され好評を博しました。このTVドラマは世界中で放映されたようで、諸外国の人々がアメリカ人を理解する上で、大変役にたったのではないか?とオヒョウは考えます。

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米国に限らず、その国の人々が規範とする考え方や生活様式を知りたければ、貧しい人の暮らしを見る必要があります。 なぜならお金持ちはどの国でも似たり寄ったりで、生活スタイルも同じで、国による差がないからです。しかし、生活臭の漂う一般庶民の場合は、国ごとに、いろいろなものが違います。

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トルストイは「アンナ・カレーニナ」の冒頭で「 幸せな家庭はどこも似通っているが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である 」と述べていますが、それと同じように、国による違いや特徴が顕著になるのは、庶民の暮らしです。

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「大草原の小さな家」の主人公一家は、決して豊かではありません。しかし高い矜持を持ち、まじめな生活を営んでいます。そこに人々は共感し、しばしば尊敬し、親しみを感じます。

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その「大草原の小さな家」の一場面で覚えているせりふがあります。母親(声は日色ともゑ)が娘たちに「さあ日曜日の服を着て教会へ行くのよ」と語る場面です。 その頃、中学生だったか高校生だったか・・のオヒョウは「あれっ?」と思いました。ちょうど、英語の授業で、「Sunday Cloth」を「晴れ着」と訳すことを学んだばかりだったので、怪訝に思ったのです。

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原文は「Sunday Cloth」で「晴れ着」と訳すべきところを、翻訳者は間違って直訳したのかな?と思ったのです。ちなみに翻訳は森みさ氏です。彼女は額田やえ子氏についで、オヒョウの好きな翻訳者です。

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あの場合、「Sunday Cloth」を晴れ着と訳すべきか「日曜日の服」と訳すべきかは・・・オヒョウが、ずっと引っかかっていた点でした。今は、一応の結論を出しています。

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実は、米国滞在中、オヒョウの暮らしたアパートの後ろには、教会があり、日曜日に、人々が集まっていました。 彼らは晴れ着というと大げさですが、男女ともそれなりのスーツを着ていました。 その姿を見て「ああ、『Sunday Cloth』は『日曜日の服』と訳すのが正しく、『晴れ着』とするのは意訳のしすぎだ」と理解したのです。

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敬虔で素朴なアメリカのキリスト教徒にとって、日曜日の礼拝に参加することは、欠かせない重要な儀式であり、その時は、晴れ着とはいえないまでも、多少フォーマルな、作業着(野良着)ではない服を着るのがマナーです。

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生活が貧しくても豊かでも、そこに一種のドレスコードがあり、場面場面で服装を換えるというのは、人々の精神性を考える場合、重要なことです。本当に貧しい社会では人々は着たきり雀にならざるをえませんが、そうでない場合、社会との約束を守り、服装という記号で意思表示を行うという事は、実はその人々が(精神的には)貧しくない・・・・ということを示します。

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ローラ・インガルスは、「実は私の少女時代は(精神的には)貧しくなかったのよ」・・と言いたかったのでしょう。

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そんな昔の話が、先日、オヒョウの頭にフラッシュバックしました。親しい人たちと飲んだ時に、カラオケでS部長が十八番の越路吹雪を歌ったのです。 

曲は「ろくでなし」。そこには「平日なのに晴れ着を着て出かける」という歌詞があり、ドレスコードを破る事で、自分を非常識な人と思わせる場面があります。

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作詞は岩谷時子氏です。「ああ、彼女も森みさ氏と似た感覚を持っているのかな?」と思いました。 晴れ着=日曜日の服 という感覚です。しかし、マイケル・ランドンも越路吹雪も、とうの昔にあの世に行きました。 

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今の時代は、晴れの舞台にジーンズで登場する事を可とする考えもありますし、穴の開いたズボンをおしゃれとする倒錯した趣味もあります。作業服とフォーマルな服は分けるのが常識という考えを理解しない人もいます。 

ドレスコードを考えて「Sunday Cloth」を、「晴れ着」とすべきか「日曜日の服」と訳すべきかで悩むのも、もはや全く時代遅れかも知れません。


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牛肉麺

「Sunday Cloth」、言葉自体いい響きですね。
そして、ドレスコートを気にする人はやはり精神的にそれなり余裕がある人でしょう。
会社勤めだと、Sunday Clothはジーンズになりますが。。。

by 牛肉麺 (2010-08-12 14:49) 

笑うオヒョウ

牛肉麺様 コメントありがとうございます。

返信が遅くなり、申し訳ありません。
確かにご指摘のとおり、サラリーマンはSunday Clothがカジュアルになり、
教会に通うアメリカの労働者とは逆になりますね。

私の場合は、ジーンズではなく、ユニクロのポロシャツとチノパンですが・・。
以前は金曜日をオフィスのカジュアルウェアの日にしようなどという運動もあったと記憶しますが、そのご、どうなったのでしょうかね?

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-09-25 22:37) 

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