So-net無料ブログ作成

【 中国の白いネコと黒いネコ その2 】 [中国]

【 中国の白いネコと黒いネコ その2 】 

中国で貧富の差が大きな理由の一つは、最低賃金または初任給が上がらない事で、その理由の一つは高い失業率であると、オヒョウは考えます。 広東省の場合、周辺の農村から若い労働力が、無尽蔵に供給されます。 中国の農村が疲弊しているか?と訊かれたら回答に困りますが、少なくとも都市部の経済成長から取り残されているのは事実です。 だから、人々は民工として都市に集まります。

・・・・・・

ホワイトカラーも同様です。政府は1990年代に大学の入学定員を大幅に増やしましたが、卒業生を受け入れる求人はそれほど増えていません。最難関とされる都市部の有名大学の卒業生ならともかく、地方の新しい大学の卒業生には就職口がありません。数年前のデータですが、大学の新卒者の就職率は5割未満だったと記憶します。

・・・・・・

オヒョウが暮らした、華東地区の昆山の街では、朝早くから職業安定所が混雑し、長い列ができます。 早朝、公園の広場に集う太極拳の愛好家には年配の人が多いのですが、それを過ぎたら職業安定所で、そこには若い人が集まっています。その隣は図書館で、ここも開館を待つ人が玄関前に集まっています。 大学受験生などが冷房のある図書館内で勉強しようというのです。

・・・・・・

公園の太極拳の老人、職業安定所の青年、図書館の少年達、という3種類の人だかりが、中国の矛盾を象徴しています。

・・・・・・

一方で人手不足と賃金の高騰が発生し、他方で失業者が溢れて悪条件下での労働に喘いでいる・・という不思議は、例えば対流の無い風呂桶で水面近くは熱いのに、底の方は水風呂になっている・・という状態に近いのです。

・・・・・・

これは、熱力学的に言えば、対流が少なく、熱伝導も少ない状況で、ヌッセルト数(Nu)やプラントル数(Pr)が小さい・・・と言えますが、社会科学的には、景気の過熱の一方で、労働市場はルイスの転換点に完全には到達していない・・という事です。 つまり労働力の供給が常に過剰で、労働条件が改善されていないという事で、行政に問題があります。ここまで書いたところで、ちょうど同じ趣旨の記事が新聞にでていました。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100614/mcb1006140508011-n1.htm 

・・・・・・

もう一つの理由は、無原則な外資の導入です。かつて鄧小平は改革開放経済を開始する前に、農村の現代化を図りました。その際「白いネコでも黒いネコでもネズミを捕るネコが良いネコだ」という言葉で、経済を発展させるならイデオロギーにこだわらないという姿勢を示したのです。 その後の外資の導入にあたっても、資本主義国(特に宿敵の台湾)の資本を受け入れ、政治思想と経済は別・・という姿勢で臨みました。

・・・・・・

それ自体は結構な事ですが、各国は、中国を、安価な労働力がふんだんにある生産拠点としか見ていません。 彼らには、安くて質がいい労働力が魅力的なだけです。 富の公平な分配・・などは考えていません。その結果、中国の国内企業でも、経営者と勤労者の所得格差が大きく開き、共産主義の趣旨とはかけ離れた経済になってしまいました。

・・・・・・

中国政府は、最低賃金の引き上げや、同一労働同一賃金の原則の適用を進めていますが、本腰を入れる事はできません。もし、(安いだけが魅力の)中国で労働コストが上がれば、企業は中国を離れ、ベトナムやタイ、バングラディシュといったより安い国に生産拠点を移す事が明らかだからです。

・・・・・・

最低賃金を上げて、所得格差を埋めようとしても、その結果、失業率が高くなるようでは困ります。人口が多すぎる事、安易な改革開放を行った事に原因がある事は明らかですが、それは今更どうしようもありません。

・・・・・・

オヒョウが中国の為政者なら、「 格差のない高い賃金を保証し、多くの雇用を生み出してくれるなら、ホンダでもフォルクスワーゲンでもいいから、中国に工場を建ててくれ。 我々は白いネコでも黒いネコでもいいのだ 」と言うでしょう。

・・・・・・

しかし、実際にはそんなネコはどこにもいないのです。


nice!(4)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 4

コメント 2

はっこう

こんにちは。
興味深い記事をありがとうございます。
勉強になります。
by はっこう (2010-06-15 15:45) 

笑うオヒョウ

はっこう様 コメントありがとうございます。

中国では深刻な人手不足と深刻な失業問題が同居する不思議な現象がありますが、その理由の一つは、職業選択の自由や、居住地選択の自由が制限され、人の移動が少ない事です。 それを、うまく説明しようとして、対流の無い風呂桶の水温に例えたのですが、うまくいきませんでした。ところで無重力の宇宙ステーション内では、マランゴニ対流以外の対流はないはずですが、お湯を沸かすのは非効率でしょうね。 お湯を沸かす事もないのでしょうが。・・・またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-06-15 17:27) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。