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【 黄色賓館 その2 】 [中国]

【 黄色賓館 その2 】 

中国のカラオケ(歌拉OK)には、3種類あります。 日本にあるのと似た、カラオケボックス型のもの、それから普通の飲み屋に置いてあるカラオケ装置で歌うもの(これは通常日式カラオケと言われます)。そして、中国式カラオケです。

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中国式カラオケは、歌も歌うそうですが、実態は男性客と風俗業の女性が出会う為の場所だそうです。そこで品定めをした男性と選ばれた女性は、その後黄色賓館に移動する事になるのだそうです。

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勿論、売春は中国ではご法度です。しかし現実には頻繁に行われるらしく摘発の対象となります。しばしば、その行為の現場に踏み込んだ公安が、あられもない姿の男女を捕縛して連行する場面が、ローカルTV局のニュース番組に登場します。勿論、背中しか撮影しませんが、一部の視聴者の下品な好奇心をあおり、一部の視聴者の顰蹙を買う報道です。

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つまり、黄色賓館とは日本のラブホテルとは異なり、職業女性の仕事場なのです。 そんな街、昆山に暮らしていた頃、オヒョウはある事に気づきました。

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「この街にはなんと若い女性が多いのだろうか・・。しかも、一目で水商売と分かる派手なお化粧をした女性が、午後になると、表通りに溢れてくる。 これは不思議だ」そこで、中国人の同僚Y君に尋ねました。

「昆山の街の若い女性の1/3は、カラオケ小姐(娘さんの意味)なんじゃないかね?」 

「1/3ですか?もっと多いのでは?僕は半分くらいかと思いますよ」。

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「どうして、そんなに多いの?」(我ながら間抜けな質問です)

「それはオヒョウさん、昆山には台湾人が多いからですよ」

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昆山という街の特殊性として、台湾資本の企業や工場が非常に多い事が挙げられます。 そして多くの台湾人男性が単身赴任で暮らしています。 彼らは、台湾に家族を残して来ているのですが、中国に於いて台湾は日本よりも遠い国です。 しばしば、彼らは台湾に残した家族を忘れて生活します。 だから、カラオケ小姐の需要があります。

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売春を世界最古の職業だと言う人もいますが、それについて私は何も言えません。 しかし売春は、男女の欲望だけに基づいて成立するのではなく、社会的背景が重要だと、オヒョウは考えます。

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具体的には、経済的・社会的必要条件として、下記の2点あります。

1.経済発展した豊かな地域があり、そこに出稼ぎ労働者や単身の労働者が集まる環境がある。

2.逆に周囲には経済的に取り残された地域があり、その地域から女性が集まる環境にある。

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昆山の場合、経済的に豊かな江蘇省の長江デルタ地域にあり、開発が進んでいます。隣接する安徽省は美人の産地ですが、経済的には遅れています。 当然、若い男性も若い女性も昆山に集まる事になります。中国式カラオケと黄色賓館が繁盛する事になります。

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これは中国だけの現象ではありません。ドイツやオランダには、公娼のシステムがあります。これは貧しい東欧やトルコから単身・独身の出稼ぎ労働者が集まるドイツで、その種のシステムが必要であること、そして同じく貧しい東欧から女性が集まって、歓楽街で働く環境がドイツにはあること・・の2点を考える必要があります。

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熱機関の原理を知っている人は、2つの空間に温度差があって初めてエネルギーを取り出せる事を知っています。同じ様に風俗産業(売春業)も、経済格差のある2地域が接している事が重要です。

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勿論、経済的な条件だけではありません。 社会学、倫理、宗教的な面でも考える必要があります。売春業が活況を呈する社会は、4条件が不可欠です。

1.女性の人権を軽視したり、無頓着だったりする。

2.女性が自立・独立するための、職業や社会インフラが無い。

3.人身売買で、家族を売らなければならないほどの貧困。

4.宗教面で、不特定多数との性交渉について抵抗があまりない。

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20世紀以降の近代社会では、先進国で上記の4条件が揃う事はあまりありません。売春が世界最古の職業かどうかは分かりませんが、次第に時代遅れになっていく職業だろうと、オヒョウは思うのですが・・・・、実態については分かりません。

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そして、ある意味、前近代的な昆山の街を歩いていて、もう一つオヒョウは不思議に思う事がありました。 

「これはおかしいのではないか?」 以下 次号


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