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【 なにゆえ腰パン? (再掲) 】 [アメリカ]

【 なにゆえ腰パン? (再掲) 】 

オリンピックの日本代表選手である国母選手の服装の乱れと、記者会見での不真面目な態度が問題視されています。もともとスキー場で見かけるスノーボーダーはスキーヤーとはやや異質で、どちらかというと服装がだらしない人もいると思っていたのですが、トップクラスの選手でもそうだったのですね。

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( 以下は、以前別のブログに書いた事の繰り返しです。内容を憶えておられる方には、重複となりますが、お許し下さい )

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今から15年ほど前の事です。 シカゴの日本人学校の卒業式に来賓として出席したオヒョウの上司が、えらく立腹して事務所に帰ってきました。理由を尋ねると、式に出席した生徒・児童の服装がだらしないとのこと。なんでも、シャツの裾をズボンの外に出していて、みっともない事この上ない。 大事な儀式の日くらいちゃんとした服装ができないのか!と思われたそうです。

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なるほど、アメリカの子供達のあいだでは、シャツの裾をズボンの外に出すのはあたりまえなのか・・とオヒョウは理解し、この習慣は数年後に日本でもあたりまえになるだろうな・・・と思いました。

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果たして、数年後、シャツの裾をズボンから出すのが、日本でも当たり前になりました。 そしてその頃、アメリカではヒップホップを好む人の間で、ズボンをだらしなく下げて、腰から下着が覗くような穿き方が流行していました。 その事を知って「ああ、そのだらしないスタイルも、そのうち、日本で得意になって真似る人がでてくるだろうな・・」と、オヒョウは思いました。

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そして数年後の現在、国母君は、そのスタイルを好んでいる訳ですが、彼は何を気取っているのでしょうか? 

実は米国でズボンを吊り下げて穿くスタイルが登場した事には、それなりに理由があります。 これは以前のブログにも書いた事ですが・・・、

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米国で、犯罪者となり留置場や拘置所に入れられた男性は、ズボンのベルトを取りあげられます。首つり自殺の防止が目的ですが、ズボンがずり下がっていれば速く走る事もできないので脱走防止にもなります。

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ベルトを取りあげられると、自動的にズボンは下がり国母状態になります。 世の中には、さまざまな価値観があり、アウトローに憧れたり、前科者や凶状持ちである事を誇りにする人達がいます。 これは米国でも日本でも同じです。そして米国の場合、留置場や拘置所にいた事を自慢する人達は、ベルトを取りあげられてズボンがずり下がった状態を、出所後も続けて、自分がムショ帰りである事を誇示する訳です。

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それがヒップホップのファッションになっている訳で、単に社会や権力への反抗心から、彼らがだらしない格好を選んでいる訳ではありません。でも多分4才の頃からスノーボード一筋だった国母君は、その経緯を知らないのではないでしょうか? 敢えて前科者の真似を気取る必要は無いのですが・・・。

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現代社会の人々は記号論の世界に生きています。全ての振る舞い、全ての装いは、自分が何者であるかを他者に示す記号になることを、大人は知っています。平日のサラリーマンがネクタイを締めて、背広を着るのは、自分がそういう身分である事を周囲に認識して貰う意味があります。

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警察官が制服を着るのも、裁判官が法衣をまとうのも、僧侶が袈裟を着るのも、自分の職業をそれで示し、周囲に納得・安心して貰う意味があります。 服装だけでなく、立ち居振る舞い、発言の内容、話し方、全てが自分の職業や社会的地位、バックグラウンドとなる教養などに結びついています。周囲の人々は、目と耳から得られる情報を総合して、それらが矛盾なく一つの人格を表していれば、それで安心し、空間にはひとつのハーモニーが生まれます。

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たまに、いたずら心からか、それらを乱して人を驚かせる人がいます。威厳のある大学教授なのに、カジュアルな服装で、気さくな口調で話す人とか、町奉行なのに背中に入れ墨があってベランメイ口調で話すヒーローなどは、その意外性が面白くて好感を持たれます。

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しかし、それも程度問題であり、多くの場合TPOをわきまえない児戯として顰蹙を買います。 そう、多くの場合は社会の調和を乱す愚かな奇行でしかないのです。 TPOだとかドレスコードだとか言わなくても、おとなならわきまえるべきマナーの基礎です。

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まして、日本代表選手団の服装・・となれば、その記号が意味するものは大きい訳で、着用する人はおのずと、責任を感じるはずです。国母君は、21才だから成人だとか、結婚しているとか、一児の父だ・・とか言ってもまだまだ子供です。 記号で示される社会の仕組みも理解せず、腰パンが始まった経緯も知らず、権力や社会への反発・・といった思いも無いまま、ただ単に格好いいと思って、腰パンにしたのでしょう。

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それなら、橋本聖子あたりが、彼にお説教せねばならないのですが、多分言われた彼は「チッ うっせーな」とつぶやくだけかも知れません。

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親方の意見を聞かない朝青龍をみて「これだから外国人力士は困ったものだ・・・」と思ったオヒョウですが、国母君を見ると「これだから最近の若い者は・・・」と言い換えなくてはなりません。 困ったことです。

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ちなみにオヒョウは、ベルトを無くしたズボンというのは、女性の伝線したストッキングと同じで、どうも生理的に受け付けません。

そしてスノーボードというのも、どうも苦手です。

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今日から、ブログのアイコンとして、顔を出す、愛犬ラッキーです。

 
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笑うオヒョウ

読者の皆様
著作権上の理由から、アイコン、プロフィールの写真を変更いたしました。
ニコニコ笑う犬から、居眠りしている犬の写真にしましたが、これまでと同じように、ご愛読願います。
by 笑うオヒョウ (2010-02-16 00:40) 

上野まり子

こんばんは 上野まり子です。

腰パンにはそのような経緯があったのですね。
国母さんの洋服の件はやはり場をわきまえないと問題になります。
それはそれとして、人は外見でその人となりを判断しようとします。
多くの場合はそれが正解でしょう。
しかし、一方では人は判断を
概して外見に頼りがちだということも言えます。
時々、服装を変えて同じ場所に行くと
その対応が大きく違うことがあります。
そこでその心理を利用することもあります。
またその心理を自分自身に利用することもあります。
これはなかなか面白いものです。
俳優もそのように役に入っていくのかと想像します。

またお邪魔します。



by 上野まり子 (2010-02-16 03:35) 

おじゃまま

起きているラッキー君は精悍な感じですね。寝てるとかわいい…。
腰パンが前科者と関係あったとは知りませんでした。
てっきり、適当な大きさのズボンがなくて、大きいものを履いていた、
のかと…。自殺防止なんですね〜。

私は「何であの映像を流したの?」と思いました。
生放送だったのかしら…。
撮ったカメラマンも編集者も、物議をかもすとは思わなかった?
公式の会見ではなく単なる到着シーンなんだから、
わざわざ彼の姿を流す必要はなかったはず…。
ひょっとして、批判するつもりで流したの?
だとしたら、ちょっといぢわるだと思いました。

確かに本人も、「いつ撮られるかもしれない」と、
もう少し自覚すべきだったのでしょうけれど…。
by おじゃまま (2010-02-16 10:18) 

Dr.Y.

前にも貴ブログにつき感じたことがあったのですが、オリジナルな形態はこうだった、という立論は、原理主義的ではないですか? ヒップホップに限らず、欧米産のポピュラーカルチャーが日本で受容されるとき、日本的に曲げられて定着するのは、むしろ普通では?
問題となっている選手について私は全く判断停止ですが、メディアはおそらく勝てば官軍、という対応をするのだろうなあ、と呆れ気味です。勝てないと思うけど.....
まあ、今回の冬季五輪についてはネタ不足のようだから、こんな話題も仕方がないんでしょう。メディア各社とも、ものすごい金を使って取材陣を派遣しているでしょうから.........
それにしても、世界ランクでたしか6位くらいの女子スキー選手(上村)に、メダル当確みたいな報道をずっとし続けていて、恥ずかしくないんだろうか.....
by Dr.Y. (2010-02-16 10:47) 

笑うオヒョウ

上野様、おじゃまま様、コメントありがとうございます。

私自身は、若い人の個性的な服装に批判的ではありません。どちらかというと、着るものぐらい自由でもいいではないか・・という意見に賛成です。でも制服・ユニフォームを着用する事に特別の意味がある事を理解しない点、あるいは巷の流行について、その経緯も知らずに盲目的に真似る事の愚については、誰かが諭すべきだと思います。

ちなみに、最初にベルトをゆるくして、腰パンの服装をしたのは誰か?という質問に、私は「それはルーズベルトだ」と答えた事があります。このあまりに低級なオヤジギャグは
周囲を凍りつかせたのですが、友人はニコリともせず「それはセオドアかフランクリンか?」と切り返してきました。その時、ブログの品位を下げるから、このダジャレだけは書くまいと思いました(書いてしまいましたけど)。

by 笑うオヒョウ (2010-02-16 11:29) 

笑うオヒョウ

Dr. Y様 コメントありがとうございます。

なるほど確かに、起源に拘るのは典型的な原理主義ですね。
ただ、私は、世の中の多くのしきたりについて、その起源を知らずに受け入れる人がいて、起源を知らないままに、しきたりや文化が変化していく事に、ちょっと違和感を持つだけです。
原理主義というより玄学趣味というべきかな?と思います。そのあたり、また機会を見て、申し述べます。

またのコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2010-02-16 12:26) 

白熊パパ

自分もスノーボーダーで普段若干腰履きですが・・・。
そもそもスノーボードがオリンピック競技に
ふさわしいスポーツとは思えません。
3S(サーフィン、スケートボード、スノーボード)を好む人種は
浮世離れした変人が多く見られます。
マリファナ好きだったり・・・。
国家の品格を汚すとか言う以前の問題です。
by 白熊パパ (2010-02-17 02:49) 

雪紘

腰パンの起源、勉強になりました。
ファッションスタイルとしての是非は別として、
TPOをわきまえられる人間ではありたいと切実に思います;;
スノーボーダーはちょっと奇抜な方が多いかもしれませんね^^;
「だから~は…」と、決め付けてはいけないと思いつつも、
人格を表す普段の身繕い、
自分自身もちゃんと気をつけようと気を引き締められました><

前アイコンも可愛らしかったですが、
愛犬ラッキー君の寝顔も和みますね^^
by 雪紘 (2010-02-17 14:12) 

夏炉冬扇

こんばんは。
だらしない服装が流行るのは平安時代と同じかも。
世の中緊張感がないとそうなります。

そうはいいつつ私も退職しての畑仕事。
野良着は結構だらしなく着ております。

by 夏炉冬扇 (2010-02-17 22:09) 

笑うオヒョウ

雪紘様、コメントありがとうございます。

オヒョウは外見で人を判断して失敗した事がたくさんあります。
(自慢にもなりませんが)。
転勤先で仕事をしていた青年が、ピアスをして髪の毛は茶色、ヒゲまではやしているので、「なんだこいつは・・」と思ったのですが、実際には彼は好青年で
仕事は誠実、かつ有能でした。しかも家庭では一児の父で、まじめな生活をしています。 それに気付いた時、オヒョウはとても恥ずかしかったのを憶えています。

それから成田空港で見かけた、某製鉄会社の社長(現会長)と役員がほとんどヤクザにしか見えなかった・・・という話もあります。
こちらは外見と中身が乖離していたのか、一致していたのか・・・
分かりません。
またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-02-18 00:44) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇様 コメントありがとうございます。

平安時代については、私は恥ずかしながら知りません。
しかし、わざとむさ苦しい格好をしたり、汚くするのは、ひとつの韜晦趣味、あるいは諧謔趣味なのかな?と思います。 若い人達が、将来に希望を持ちにくい、閉塞した時代であることと、ひょっとしたら関係があるのかな?と考えたりしております。

またのコメントをお願いします。

by 笑うオヒョウ (2010-02-18 00:53) 

笑うオヒョウ

白熊パパ様 コメントありがとうございます。

オヒョウの周囲では、若い人はスノーボーダー、年輩の人はスキーヤーという具合に年代による断絶があります。 だからボーダーの服装が・・・という時、実は若い世代の服装は・・という問題と混同しているのかも知れませんね。

ゲレンデでも、ボーダーとスキーヤーは、ターンのパターンも違うし停止位置も違うので、お互いに邪魔だったりしますね。何とか仲良くなる方法はないものか・・・と考えたりします。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-02-18 22:57) 

牛肉麺

時間が経てば変わることがたくさんあります。
腰パンも時間の経つに連れ、由来がほとんど忘れられ、単に若者ファッションになりました。
もう少し時間が経てば、公衆の場に堂々と出ても何も違和感なくなるかも知れません。
先端は常に異端と隣あわせです。
(腰パンは先端かどうか別ですが。。。)
でも、もう少し大目に見てあげてもいいではないでしょうか。
異国で殺人放火したわけでもなく、パンツの履き方ぐらいそれこそ自由ではないでしょうか。
日本人の集団、団体、常に人と同じという意識があまりにも大きいですね。
by 牛肉麺 (2010-02-19 17:05) 

笑うオヒョウ

牛肉麺様 お久しぶりです。コメントをありがとうございます。

先端と異端が似ているというのは、鋭い指摘ですね。

でも、単なる異端または愚かな行いと、未来のトレンドの萌芽というか先駆けを見分けるには、大変な眼力が必要でしょうね。

今の日本の風潮全体、とりわけマスコミの"分別"には、その眼力が無い事はたしかだと思います。 牛肉麺様のご意見には、全く賛成です。

また、コメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-02-19 22:06) 

ごとう

アフリカの原住民のペニスキャップは正装だったりしませんか?
うんちくもおもしろいけど、人をこきおろす道具として使うとみっともない。
国母くんはあのユニホームを自分なりに工夫して着こなしただけではないですか?
ちゃんと着なければいけないなら、シャツも上着のボタンも全部止めないとだめだし、スカーフなんてわけのわからんもの使えないのではないですか?
そもそも国のお金でつくるあのユニフォームのデザインが間違ってることになります。
僕は国母くんらしくていいと思います。逆に橋本聖子さんが腰パンしたらおかしいと思います。人柄に似合わないからです。別に国母くんが囚人みたいだなんて思ってないですよ!念のため^^
by ごとう (2011-09-06 17:14) 

笑うオヒョウ

ごとう様 コメントありがとうございます。

ペニスキャップを正装とみなすか、どうか・・は別の議論になると思います。

国母君の自分らしさが、その服装に表現されているなら是とするか・・というのも難しいところですね。 多くの人々は自分らしさ・・そのものがわかりません。 かく言う私もそうです。

分からない人は、無難な方法として、まわりに合わせた表現をします。 制服とはその考えに基づいた一種の記号であると思います。 私は皆さんと協調しますよ・・という意思表示が制服であり、オリンピックの選手団にその協調性がどの程度求められるかが、議論のポイントですね。 そしてその議論は、選手本人の実力でどうにてもなるいい加減なものです。 もし国母君が金メダルを取っていれば、あの服装も肯定されたかも知れません。 結果が予選落ちでは厳しい批評も免れません。 運動選手に限らず、奇矯な行動に対する評価とは、そういうものだと私は思います。
by 笑うオヒョウ (2011-09-11 11:46) 

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