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【 海外映画に登場する日本人俳優について その2 】 [映画]

【 海外映画に登場する日本人俳優について その2 】

 映画「戦場に架ける橋」に出演した早川雪洲は名優です。 しかしこの映画での評判は必ずしもよくなかったようです。映画の内容が、戦争を扱う微妙なもので、泰緬鉄道の橋を架ける為には英軍捕虜の技術的な指導が必要・・という筋立てになっていて、それが日本人のプライドを傷つけた事もあります。

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実際には泰緬鉄道の架橋など、日本人技術部隊だけでこなせたので、英国人捕虜の助けなど借りていない。映画は不当に日本人を低く評価していて不満だ・・と意見です。 それは映画に対してなされる評価なのですが、出演した日本人俳優にも、火の粉は降りかかります。

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それ以来、日本人俳優は外国映画に出演する事に慎重になった可能性があります。その傾向は、「0072度死ぬ」で丹波哲郎や浜美枝が出演するまで、あるいは西部劇「レッドサン」に三船敏郎が出演するまで続いたと言えます。

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特に問題となるのは、第二次大戦を背景にした戦争映画です。「トラ・トラ・トラ」や「ミッドウェイ」の様な、大作では、どうしても日本人の大物俳優を起用しなければなりませんが、ケチな作品では、中国人が日本人の代わりをこなします。大抵、そういう作品では、日本人は最低の悪役として登場する訳で、日本人俳優が引き受けない・・・のかも知れません。

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英国でTVを見ていると、その手の劣悪な戦争映画が多数登場します。東南アジアの戦線が舞台で、日本兵は愚か、そして日本の下士官はずるくて乱暴で、白人の女性に乱暴する・・・という設定で、最後は悪役の日本軍やられてしまう・・という安直なストーリーです。 それらの映画で日本人役として登場するのは中国人です。 極めて珍妙なアクセントで不思議な日本語の台詞をしゃべります。 そしてやたらとバカというのですが、その発音も奇妙です。

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日本人の悪役を中国人が演じる・・・例は他にも多くあります。「燃えよドラゴン」では、なぜか袴を後ろ前に穿いた悪役の日本人が多数登場し、全員ブルース・リーにやられてしまいます。

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チャン・イーモウ監督の傑作「紅いコーリャン」では、映画の最後にやたら残酷な日本軍が唐突に出現し、コン・リー演じる主人公が殺されてしまいます。全体としては素晴らしい映画なのですが、取って付けたように日本軍の侵略が表現されるあたり、残念というか、中国政府のもとで制作される映画の限界を感じます。この映画に登場する中国人が演じる日本兵も、奇妙な、そしてワンパターンの日本語の台詞を話します。

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こんな不自然で不愉快なできになるのなら、たとえ悪役でもいいから日本人俳優を起用すべきだ・・・とオヒョウは思っていました。

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そうしたところ、日本人俳優が、悪役を演じ始めたのです。米国や英国でみたTV映画から選んでみます。

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名前を失念しましたが、英国の映画で、ビルマ戦線で捕虜になった英国人将校が脱出して、自国軍に帰り着くという映画がありました。それには、日本人将校で高倉健が登場します。決してみっともない役ではないのですが、当然ながら殺られてしまう役です。

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戦争映画ではありませんが、村上弘明が出演した米国映画「アイアン・メイズ ピッツバーグの幻想(Iron Maze)」では、彼は妻を寝盗られ、挙句はバスの中で少女に痴漢行為をして逮捕されるという、情けない役を演じています。もともと「藪の中」を翻案した映画なのですが、米国では放映されても、決して日本では公開されないだろうな・・とオヒョウは思いました。

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それらの日本人にとって不名誉な役柄、あるいはスターのイメージを損なう役柄を演じる日本人俳優を見ると、複雑な気持ちですが、それでも中国人や韓国人が日本人になりすますよりはずっとましです。

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悪役でない形で、日本人俳優がどうどうと出演する外国映画は、そう多くありませんが、ここ20年で増えつつあります。島田陽子らが出演した「ショーグン」、トム・クルーズらの「ラストサムライ」、なぜか中国人女優が日本人の主役を演じているけれど、脇役は一流の日本人俳優で固めている「サユリ」などです。

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どの作品も、日本人から見れば荒唐無稽でおかしなところもありますが、昔の様に、日本人を軽蔑すべき悪役にするか、戦争映画での敵役でしか見なかった、外国映画に比べればはるかにましで、日本人の人格や文化をそれなりに尊重しています。日本人俳優は、外国映画に出演する事を隠す必要はなく、どうどうと国際派の役者として名乗る事ができます。

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そして、その延長上に、渡辺謙らが出演した硫黄島関連の2作品も並ぶと思います。 ここまで来るのに、戦後の60年を要したのです。

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ああ、それなのに、(悪逆非道の)日本を糾弾するための映画に、香川照之が敵役で出演してしまっては、昔に逆戻りです。それなら中国人俳優が日本人のふりをする「紅いコーリャン」の方がずっとましです。 そして、それなら中国版のチャンバラ映画で大活躍する金城武の方がはるかにましです。


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