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【 本船テケミ その2 】 [鉄道]

【 本船テケミ その2 】 

実は、日本の事故調( 国土交通省 航空・鉄道事故調査委員会 )は全く非力です。(最近名前が変わり、運輸安全委員会になりました)。

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これは米国の事故調つまりNTSBを真似して作った組織ですが、本当の原因究明をする能力は乏しいと言えます。日本の場合、運航者の立場からの調査・考察はできても、乗り物の設計者・製造者の立場からの考察が弱いのと、概括的に安全工学や人間工学全体と見渡す専門家がいないのです。

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具体例を挙げれば、日航のジャンボ機が墜落した時も、ボーイング社による圧力隔壁の修理ミスが原因であると結論を出しましたが、その技術情報の多くはボーイング社から得ています。日本側の事故調だけでは、原因の特定はできませんでした。 犯人・・・というのは言い過ぎですが、原因者の見解に基づいて報告書を作成するなどナンセンスですし、報告書の中立性には疑問が残ります。

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羽越線の脱線事故の場合、強風警報がでているのに、列車の減速させなかったのは、列車指令の瑕疵ですが、それと脱線事故の因果関係の証明はできません。 科学的な議論が全くありません。

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もし普段どおりの速度で走るのが危険だというなら、では、時速何キロまで減速すれば安全と言えるのか? 強風警報と一括りにするけれど、鉄道の沿線では瞬間風速何メートルまで予想されたのか? 風速何メートルなら列車は脱線するのか? その場合列車の走行速度と、脱線する臨界風速には相関があるのか?それらの最低限必要なデータがまるでありません。

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今の時代、突風に関する研究も進んでいますし、鉄道車両に風が当たった場合のシミュレーションもコンピューターで可能です。 それらの努力をせずに、運行管理者のみの責任を問うのは全く不適当です。これは警察の怠慢でもありますし、事故調の能力不足という点もあります。

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刑事責任を考えた場合、もう一つ車両製造者側の責任も考えるべきです。今の鉄道車両は、燃費(というのかな?)や加減速性能を上げる為に軽量化を指向しています。 新幹線の軽量化もスピードアップの為に必須です。 でもそれが突風による脱線の危険性を増しています。

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今から30年程前ですが、地下鉄東西線の電車が、橋の上で突風にあおられて脱線した事故があります。その際、行き過ぎた車両の軽量化が問題視されました。地下鉄は錆の問題が少なく、アルミ合金化やステンレス化が進み、いちはやく無塗装化で軽量化しています。車両長さも短く軽量であるため、風に弱かったのです。地下鉄なので風の問題は無いと、たかをくくっていたのですが、たまたま地上の区間で突風に遭いました。

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しかし、その教訓はその後の車両設計に生かされていません。また、積雪地を走る電車には、雪が床下機器に付着しないように、あるいは騒音対策として、床下をカバーした車両がありますが、そこに下から風を受けると、当然脱線しやすくなります。 特急「いなほ」の車両はそれに該当しませんが、いずれにしても車両設計に於いて、突風による脱線の問題を考慮していない証拠になります。

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鉄道車両設計時の配慮不足による危険は、PL法の対象になるかどうか、法律に詳らかでないので、オヒョウには断定できませんが、風で電車が倒れるなら、製造者の責任も本来議論されるべきです。

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また一般に、鉄道では、何らかの問題が発生した場合、減速すれば安全になり、さらに停止すれば、もっと安全になる・・という素朴な発想がありますが、必ずしも正しくありません。

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長大トンネル内で列車火災が発生した場合は、停止するより走り抜ける方が安全ですし、かつて鹿児島県では、大雨の為に駅で停止していた電車に土砂崩れが襲いかかり、乗客ものとも海に流されたというひどい例もあります。

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また鉄道線路では、カーブの遠心力に対応するため、内側に線路がバンクするカントという傾斜があります。その場合、想定した速度で走行するのが最も安定しており、想定速度以下だったり、停止すると却って不安定になります。

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だから、強風警報がでているのに減速しなかったから、電車が脱線転覆したのだ・・・というほど、話は単純ではない訳で、もし運行管理者を起訴したとしても、立証は困難だし、公判維持は難しいと思います。

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では何をするべきか。これは、下記の4点を訴えたいと思います。

1.運行管理者や運転士に、よりキメの細かい情報が伝わる様に、風速計やドップラーレーダーの数を増やし、正確な判断を下すようにする。

2.車両設計者は、突風や下からの風などで、脱線しないような  安定した車両を設計する。

3.万一、不幸にして事故が発生した場合、重過失や故意が無ければ、  運行担当者や運行管理者を刑事訴追の担当からはずす。

4.日本の事故調を、米国のNTSBなみの強力な組織にする。そうでなければ事故の犠牲者が浮かばれません。


タグ:NTSB 事故調
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