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【 泉田知事を待つカノッサの屈辱 PART 1】

【 泉田知事を待つカノッサの屈辱 PART 1】 

いろいろな分野で、新潟県の泉田知事の強い主張が目立っています。

1.東電の柏崎・刈羽原発問題

中越沖地震で被害を受けた原発の再開にあたって、泉田知事は東電の姿勢に対する不信感を募らせ、一時は廃炉の可能性も示唆していました。世界最大の発電所である、東電柏崎・刈羽原発を廃炉にする事が、一県知事の権限でできるか・・疑問ですが、県が許可を出さなければ、操業できないのも事実です。

結局、6号機と7号機の営業運転は再開されましたが、県側の半年以上のサボタージュにより、操業再開は相当遅れています。この遅れは東電の損益にも影響を与え、ひいては東電管内の電力料金をいくらか押し上げています。

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2.国の農家への戸別補償問題

民主党政権は、農家への戸別補償をマニフェストに掲げて、予算化を進めています。しかし、新潟県はそれとは別の農業支援策を実施しており、それとの整合性に問題がでています。

新潟県の方針は、零細農家を集約して大規模農家に統合していく方針を支援するもので、小規模な営農家にも等しく援助する国の方針とは微妙に違います。そこで泉田知事は国の方針に疑問を呈しています。農家への補助金は国の施策に従うか、県の施策を実行するか二者選択を迫られる形になります。

しかし、この点についてはオヒョウも納得し、知事の懸念を支持します。

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3.北陸新幹線問題

これが大問題です。今回はこれについて管見を述べます。

今年、泉田知事は、新幹線建設の地方負担金の増額分の支払いを拒否しました。 拒否した負担金は13億円です。予算が膨らんだのは、昨年の資材高騰が原因です。

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皆さんは、忘れたかも知れませんが、一年半前(ちょうど、リーマンショックが起こる前)、世の中は、資材とエネルギーの高騰に喘いでいました。鉄鉱石、石炭、石油の価格が世界的に上がり、鉄鋼、セメント、ガソリン、続いて、乳製品などの農産物価格が上がりました。

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今はデフレですが、当時は資源エネルギー関連の価格上昇と景気の悪化が同時進行するスタグフレーションに近かったのです。

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それは、ともかく、知事がへそを曲げたのは、予算が膨らんだ事について、「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」からの説明が不十分で納得できないからです。 

当時、諸物価の上昇は、経済生活を営む人々にはよく実感できたのですが、知事は鈍感だったのか、負担金の増額の背景が理解できなかったようです。

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その後、更に支払い協定を一方的に破棄する通告文を国土交通相に送っています。(一方的に破棄できるか否か、法律的に疑問があります)。更に、国からの説明不足を理由に「信頼関係が築けない」として話し合いを拒否しています。

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それに加えて、泉田知事は上越駅での全ての列車の停止を国に要求しています。 これは、筋の通らない全くムチャクチャな要求です。

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かつて、政治家は地元への利益誘導と、権力誇示の為に、鉄道の駅の新設や停車駅の増加の圧力を掛けました。 岐阜県選出の大野伴睦は、岐阜県に新幹線停車駅が無いのはおかしいといって、田んぼの中に岐阜羽島駅を作らせました。 埼玉県選出の荒船清十郎は熊谷駅に無理やり、急行列車を停めさせました。岩手県選出の鈴木善幸は、当初仙台までの計画だった東北新幹線(第一期)を盛岡まで伸ばしました。それらは、代議士が地元への利益誘導で行ったのですが、相手は国鉄でした。 

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今回の相手はJRですし、第一、知事が国(国土交通省)や独立行政法人への嫌がらせで、特急停車駅の増加を求めるなんて聞いた事がありません。 国に文句を言えば、停車駅の決定権はJRにあると言い、JRに言えば、国への不満からJRに干渉されても困る・・・となります。いや、本当に困るのは、無駄な停車駅が増えた場合、利便性が損なわれて、不利益を被る、富山県民と石川県民です。一方得する人などいません。(まあ、嫌がらせというのは、大抵 誰も得をしませんが)。まあ、正確に言えば、新幹線と競合する航空会社が多少得をしますが。

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国土交通省は、新潟県を無視して新幹線工事を認可しましたが、それに怒った新潟県は、国地方係争委員会に、新幹線工事認可の無効申立てをしました。 これは法律の素人であるオヒョウにも無理筋と分かりました。 新幹線工事認可は、国の専権事項だからです。 当然ながら申立ては却下され、新潟県は手立てを失いました。

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国土交通省も意趣返しに出ています。民主党政権下で、国の土木事業は、見直しが進んでいますが、国道整備事業の内、新潟県の山間部の3区間が止められました。 上信越自動車道の片側2車線化の工事も止められました。 佐渡空港の滑走路延長もまず無理でしょう。 知事の強硬な姿勢の代償は高くつきます。

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更に、泉田知事の為に、新幹線の完成が遅れると報道され、富山・石川・長野の各県から非難され、中立だったマスコミも泉田氏に批判的になってきました。

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ここに至って、泉田知事は、照れ笑いをしながら、国土交通大臣との面会を申し入れました。「信頼関係を構築するため、トップ会談を申し入れた」と彼は記者会見をしましたが、これで事態が一挙に解決する可能性はありません。 これまで、国側からの接触を再三拒んできたのは新潟県です。トップ同士で会って信頼関係を構築・・・という事は「下っ端役人相手で話ができるか!」という知事の驕りを示すものです。

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しかし、今度は、前原国土交通詳相が、会見を拒否しています。四面楚歌となって、窮地に追い込まれた新潟県知事は支払いを拒んでいた追加負担金を払う用意があるとして、会談を望んでいますが、今カードは国の方にあります。対立関係を作り出したのは、県知事です。そして今和解しなければ困るのも県知事です。彼は雪の降る中、門の前で許しを乞う覚悟があるのでしょうか?

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でも、待てよ? 和解が無ければ困るのは、県知事ではなく県民です。あるいは、新幹線を利用する北陸地方の住民です。 一体どうしてこんな事になったのか? それについては次号で検討します。


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白熊パパ

自分は原発肯定派です。
便利な生活を送る権利の担保として、リスクを負わなければならないのは
交通事故を容認しているのと同義です。
短絡的な意見ですが・・・。
零細農家を集約して大規模農家に統合していく方針には自分も賛成です。
企業参入も認めるべきです。
by 白熊パパ (2009-12-29 04:46) 

笑うオヒョウ

白熊パパさん コメントありがとうございます。

オヒョウも白熊パパさんのご意見に賛成で、原発推進派です。
人が生きていく以上、必ず危険はつきものだというのは、ご指摘のとおりだと思います。 原発の不幸なところは、冷戦時代、日本の核武装懸念から、東側のソ連や中共の意向を受けた人々が反対した事でイデオロギーと科学技術の問題が混同された事にあります。その証拠に日本の原発反対派はより危険な、ロシアや中国の原発には一切反対しませんし、よく見ると、原発以外でも(空港建設などで)反対運動をしています。 とはいえ、自動車と同様、原発も技術を発展させる事で、より安全かつより効率的にする事は可能なはずで、そのあたり、そのうち雑文に書こうかと思っています。 農業補助の問題についても・・・稿を改めて論じたいと思います。
またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2009-12-29 09:42) 

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