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【 彼が夢見る2匹目のドジョウ  その2 】 [雑学]

【 彼が夢見る2匹目のドジョウ  その2 】 

屋根付きのサッカースタジアムとして、宣伝されたカシマスタジアムの魅力は、屋根だけではありません。 サッカー専用として作られたスタジアムはグラウンド(ピッチとか言うみたいですが)と観客席の間に、トラックなどがなく、観客と選手が接近した状態で、観戦できるのが魅力です。

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しかし、その場合の問題点は、観客席をそれほど多く確保できない事です。 鹿島スタジアムは、完成当初 15000人しか収容できない大きさでした。 これでは、満員御礼になるまで観客を入れても、サッカーチームの経営は黒字になりません。

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ワールドカップの試合が鹿嶋で開かれる事になり、スタジアムはそれを機に観客席が拡張され、収容人数は4万人に膨らみました。そうなると、今度はスタジアムを満杯にするのに苦慮する事になります。空席の目立つスタジアムでは、あまり盛り上がりませんから。

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それだけではありません。増設された二階席の観客席は視界の確保とピッチからの距離を遠くしない為に、恐ろしいほどの急勾配になっています。 まるで恵庭岳滑降コースのスタート点付近のようです・・・表現が古いですね。

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話が脱線しましたが、観客席4万人程度のスタジアムでさえ、そうなのですから、観客数8万人の大スタジアムとなると、大変です。観客席はピッチからはるか離れた場所になり、双眼鏡なしでは選手の表情はおろか、背番号さえ判読できなくなり、もっぱら大画面スクリーンを眺める事になります。 なんだ、それなら自宅でTV中継を見ても同じ・・・という事になるかも知れません。

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他にも問題はたくさんあります。大型のスポーツ競技場を建設して成功するかどうかのポイントは、その競技のメッカになれるか? です。

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具体的には、高校野球のメッカは甲子園、ラグビーでは花園か秩父宮、テニスならば有明コロシアム(オヒョウの世代なら田園コロシアム)、相撲ならば国技館、柔道ならば武道館・・・という具合に全ての選手がそこでの競技に憧れる競技場があります。しかし、サッカーについては、日本の場合まだありません。強いて挙げれば、国立競技場ですが、これは多用途型の施設であり、サッカー単独のものではありません。

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大型の競技場を作るなら、全国のサッカー選手のメッカになる存在になるよう工夫すべきです。 もしメッカになれば、多少経営が厳しくても乗り切れます。サッカー界の甲子園球場を目指すべきです。

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しかし、それでも疑問に思うのは、今の大阪の疲弊した経済を思う時、果たして新たな箱物が必要だろうか?という点です。以前からそうでしたが、関西の景気は関東以上にひどいのです。事業仕分けではありませんが、お金を使うならもっと優先順位が高い項目があるのではないか?

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オヒョウが思い出すのは、イタリア映画「自転車泥棒」の一場面です。戦後の貧しく沈滞した都会の中で、サッカー競技場の中だけは元気があり賑やかです。無論、サッカーは博打の対象であり、単純な熱狂だけではありませんが、競技場の中と外でのコントラストには違和感を持ちます。 このままでは大阪も同じ事になるかも知れません。

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やはり、サッカー場建設よりも優先すべき事がありそうです。

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大会社でトップまで上り詰めた人は、しばしば自分の手柄を振り返ります。 下妻氏の場合は、鹿嶋製鉄所の高炉建設と経営の立て直し、鹿島アントラーズを成功させた事・・・などを思い浮かべるでしょうが、手柄の多い人は失敗も多いはずです。 しかし、手柄話を多く語る人は、自己の失敗を忘れる事が多いのです。 宮本武蔵の様に、生涯一度も危うい目にあわなかった・・などというのは嘘です。日経新聞の「私の履歴書」は、だいたい飾って書いてあり、みっともない失敗は登場しません。

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仮に下妻氏に大きな失敗が無かったとしても彼の先輩達は、多くの失敗を繰り返しています。 大前研一氏は、関西新空港のプロジェクトを推し進めた関西の経済人には胡散臭い人が多かった・・と語っていますが、今の関西新空港の惨状を見れば、確かにあの空港建設のプロジェクトは杜撰だったと言わざるをえません。それには歴代の関経連の会長、あるいは住友金属の社長や会長が絡んでいます。

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関経連はその責任を明らかにして、関空経営の立て直しを図ってから、次のプロジェクトを提案すべきでしょう。関空の立て直しは十分可能です。 8万人のスタジアムを満席にするよりも簡単でしょう。でも甘い成功体験だけを脳内で反芻している人達には無理かも知れませんが。


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yoshimi

大阪ではすでに、大阪ドーム(今は京セラドームというらしいですが)というプロ野球のスタジアムを建設して、経営難で3セクが破綻したのに、凝りもせずにドーム型スタジアムをつくる気なのでしょうね?
サッカー専用では経営が成り立たずに、イベントを誘致しないといけないのではないかと思いますが、2つもドームがあれば、狭い関西の商圏ではイベント誘致で競合して、小さなパイを食い合うだけでしょう。
よっぽど土地代と固定資産税が安いのか? 収支計画を見ないとよくわからない計画ですね。

大阪駅前というと、東京駅前の一等地みたいなものなので(格はるかに落ちますが)、だだっぴろい土地が草ぼうぼうで放置されている(のでしょう、たぶん)のも、情けない話ではあります。
第3セクター方式ですると、税金投入で救済しないといけない羽目になりかねません。大阪府民としては、バカな都市開発プロジェクトで度重なる失敗を繰り返さないように願いたいものです。

サッカーは全然観ないのでどれくらい熱心なファンがいるのかよくは知りませんが、なによりも日本のプロサッカーが世界的に強くないと、移り気な大阪人にはすぐに飽きられてしまいそうです。

by yoshimi (2009-12-18 13:24) 

笑うオヒョウ

yoshimiさん、コメントありがとうございます。
オヒョウはご意見に全く同感です。
この様なイベント用の施設を作って、3セクに経営させても、
ろくなことはないと思います。

私は事業仕分けについて、批判的な雑文を書きましたが、
このスタジアムを計画するような人々をみると、予算査定や
事業仕分けはもっと厳しく行うべきだな・・・と思ってしまいます。
またのコメントをお持ちします。
by 笑うオヒョウ (2009-12-18 15:06) 

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