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【 東條英機論 その3 】 [雑学]

【 東條英機論 その3 】

 武士道は死ぬ事と見つけたりと言いますが、日本の歴史上の武人が、皆潔い死に方をした訳ではありません。生き延びて生き恥(日本独特の考え方かも)を晒した人も多数います。しかし、世界的にその自殺の失敗が報じられて、生き恥をさらした人は、東條英機だけかも知れません。

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戦陣訓に「生きて虜囚の辱めを受けるな」として、死ぬことを奨励した東條英機は、終戦の詔勅が出されたタイミングで死に損ないました。阿南陸相が割腹自殺し、杉山元帥はピストルでこめかみえを撃って自殺し、その知らせを電話で聞いた杉山元帥の妻は、冷静に「そうですか」と答え、その直後、懐剣で喉を刺して自害しました。その他、敗戦の日に自決した人は数多くいました。 しかし東條は死ぬ決心がつきませんでした。

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彼の息子で三菱の航空機設計者だった東條輝男に、自決を勧められましたが、ぐずぐずして、そのタイミングを逸しました。やがて、彼は「裁判でこの戦争が避けられなかったものとして、日本側の正当性を主張する。その為には不本意ながら生きながらえて、法廷に立つ」と言い始めました。

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しかし、いよいよ逮捕される事になり、GHQの係官が玄関先に来た時に、彼はピストルで腹を撃ちます。出血多量で一時危ない状況になりましたが、彼は助かります。 その際、毎日、朝日、読売等のマスコミは、自殺に失敗した東條を厳しく非難しました。軍人なのに、自決もできないのか・・・と。そして自殺に失敗した理由をあれこれ詮索しました。

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1.左利きなのに、右手で銃を持って発射したため、手元が狂った。

2.用いたのが普段使わない娘婿の拳銃で、反動が大きくて外した。

3.衆人環視の中、見苦しい死体を見せたくなかったので、頭を撃たず、心臓を狙った為失敗した。

 しかし、拳銃ならこめかみ、腹を切るなら日本刀・・というのは自決の際の常識であり、なぜ心臓を撃つという不可解な行動を取ったのかが、分かりません。

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オヒョウは、彼の行動は、逮捕を逃れる為、あるいは時間稼ぎの為の狂言だったのでないか?と思います。あるいは、東條は自決する勇気も無いのか・・・という世間のあざけりに対するポーズだったのではないか?と思います。

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当時も、狂言自殺説はありましたが、少数意見だったようです。それに対し、家族が反論しています。

「 東條は、何時でも死ねるように、風呂から上がるたびに、心臓の位置に墨で印を付け、時が来れば俺はここを撃つのだ・・と家族に語っていた。それが、痩せて、皮膚が垂れ落ち、墨の印が、心臓より下になってしまい、自殺に失敗したのだ・・・ 」 

これはどう考えてもおかしな説明です。刺青したわけでもあるまいに、痩せて皮膚が垂れたとしても、風呂上りに、書きなおせば、心臓の位置からずれる事はないはずです。だいたい、ピストル自殺する人が、狙い位置を墨で体に描くなんて聞いた事がありません。

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自殺するぞ、自殺するぞ・・とばかりに、アリバイ作りを画策したものと思われ、かえってピストル自殺が狂言だった事を裏付けるものとオヒョウは考えます。

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そもそも、なぜ心臓をピストルで撃ったか、左利きなのになぜ右手で撃ったか、なぜ普段使わないピストルを用いたか・・・全て不可解です。彼は死にたくなく、かつ占領軍にも捕まりたくなく、仕方なしにあんな事をしたのではないか?と思います。

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普通の人なら、自殺に失敗しても非難される事はありえません。仮にそれが狂言だとしても、非難される事はありません。 しかし、彼の場合は多くの国民に死ねと言いつつ、自分は死にたくなかったのです。非難されるべきでしょう。

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第二次大戦の枢軸国のリーダーのうち、ヒットラーは無条件降伏の直前に自殺、ムッソリーニは群集によって殺されています。それに対して東條英機は絞首刑で亡くなったのです。阿南惟幾の遺族の述懐として「 戦争を指導した側の遺族として、遺族会の中では肩身の狭い思いがするが、夫が終戦の日に自決して、謝ってくれたおかげで(東條との比較で)、皆様から暖かくしていただいている 」という言葉が残っています。

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実際、東條の遺族には、風当たりが強かっただろうと思います。

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彼がA級戦犯として刑死したあと、かなり時間が経過した昭和40年代、靖国神社に合祀されましたが、これがまた禍根となりました。A級戦犯を祀ったばかりに、新たな日本批判の材料を探していた朝日新聞によって、世界に報じられてしまいました。

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日本は戦争犯罪人を戦争犠牲者とともに祀り、首相以下、現在の国の指導者までが参詣している。怪しからん・・ というキャンペーンの結果、日本は、神社の参詣さえも東アジアの諸国に干渉され、小学生の教科書にも外国の介入・検閲を許す情けない国になってしまいました。

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しかし、オヒョウが中国で確認したところでは、中国のほとんどの人達は詳しい事を知りません。 上からの情報で、靖国神社は怪しからん存在で、そこに参拝する日本の指導者も怪しからん・・・と信じ込む一方で、A級戦犯の事はほとんど知りません。かろうじて知っているのは、東條英機の名前ですが、彼がどの時点で日本の首相であり、中国大陸で何をした人物かをまるで知りません。 ただ名前を知っているだけです。 他の戦犯についてはほとんど無知です。

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東條英機の名前は、戦後、反日活動を展開する上で、あるいは靖国神社問題に絡めて対日外交を有利にする目的で、外国に利用されています。これは本人の責任ではないかも知れませんが、 残された日本人にとって厄災以外の何ものでもありません。

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一方で、東條英機を弁護する人もいます。多くは、

1.日米開戦は彼の責任とはいえない。彼には回避できなかった。

2.忠誠心に富んだ真面目な男で、家族にも愛情を注いだ。

という同情論ですが、意外な人が東條を評価しています。それについては、次号で管見を申し上げます。


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夏炉冬扇

今晩は。
拝見数日。
こういうのは活字になさった方がよろしいかと。
人生それぞれです。

by 夏炉冬扇 (2009-12-08 20:57) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇さん、コメントありがとうございます。

確かに、見る人もほとんどいないブログで、意見を言ってもなかなか世の中には通じませんし、特定個人の批判・攻撃となると、陰で悪口を言っているみたいで、なんとなく私も気持ち悪く思います。 それに匿名で他人を批判するのは、やっぱり卑怯ですしね。 いくら相手が公人だとしても。

そこで、活字にできるか、少し考えてみました。本日のブログに書いております。 お読み頂ければ幸いです。
by 笑うオヒョウ (2009-12-09 12:39) 

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