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【 ジブラルタルの水 】 [雑学]

【 ジブラルタルの水 】 

英領ジブラルタルは、イベリア半島の南端、スペインに突き刺さった棘の様な存在です。棘というのは地形的な棘ではなく、英国とスペインの外交上の棘という意味です。 スペインは、この要衝の返還を、長い間英国に求めていますが実現していません。随分前ですが、英国のチャールズ皇太子はダイアナ妃との新婚旅行先にジブラルタルを選び、スペインの猛反発を受けました。 新婚旅行には英空軍の輸送機が使われ、チャールズ自ら操縦桿を握ったとの事です。

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詳しく調べた訳ではありませんが、ジブラルタルは、地中海に突き出したトンボロ(陸繋島)と思われます。中央に鋭角的に屹立する岩山があり、スペイン(イベリア半島)とは、砂州で繋がっています。その狭い平地である砂州に短い滑走路が一本あります。

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スペインからジブラルタルに入る場合、国境の検問所・遮断機の向こう側で、その滑走路と道路が交叉します。道路側の信号機が赤になるとまもなく、ロンドンからのボーイング737が着陸し、猛烈な逆噴射をかけて停止します。 滑走路を道路が横断して交通信号がある空港は珍しい・・・。この狭い空港に、チャールズ皇太子が着陸したなら見事な腕前ですが、着陸は多分、別のパイロットだったのでしょう。

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ジブラルタルからロンドンまでは、英国の国内線です。乗客は英国軍の関係者、観光客、そして少数の日本人です。飛行機は離陸すると、急角度で上昇・旋回し海上を飛行します。多分スペインの領空を避ける為でしょう。

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旋回中に、窓側の席のオヒョウからは、三角形の岩山が一瞬見えます。ある保険会社のロゴマークになっている山です。その瞬間、山の斜面がきらりと光ります。 よく見れば、一方の急な斜面がコンクリートに覆われ、平らな人工斜面になっているのです。巨大なピラミッドの様な不思議な光景です。

「 あれは何ですか? 」と隣席のイギリス人に尋ねると、

「 あれはウォーターキャッチャーさ 」との答え。Water Catcherとは、あまり聞き慣れませんが、雨水を受けて貯水するための設備・斜面です。

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もし英国とスペインの関係が緊張すれば、ジブラルタルは大陸からの水の供給を受けられなくなります。しかもジブラルタルは英国本土と異なり、特に夏の降雨量が少ない、地中海性気候です。 水攻めを受ければ、すぐに参ってしまいます。だからWater Catcherは必要な設備です。

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昔から軍事要塞は水の便利が悪く、水攻めで落とされた要塞も結構あるみたいです。また、かつて英国は世界各国から、領土や植民地の割譲を受けてきました。それらは、海岸の要衝や港が多いのですが、水を自給自足できない場合も多くあります。

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例えば旧植民地だった香港は、生活用水を大陸中国から供給されています。 人口の増加と生活水準の向上で、水が不足した時、日本のゼネコンが、中国からトンネルを掘って、給水路を造ったのです。(まだ英国が租借していた頃です)。

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シンガポールも、対岸のマレーシアから、水の供給を受けています。ジブラルタルと違い、シンガポールは多雨気候です。毎日のスコールは雨が降るというより、雨が来るという感じで、自分の頭の上を通過していきます。およそ水不足とは無縁の世界と思うのですが、貯水池を確保する場所が足りないのか、人口密集で水の消費量が多いからか・・・、やはり水はたりないのです。

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シンガポールも香港も、大陸側の国と緊張状態になる可能性はなく、Water Catcherは必要ありません。 でも、これから気候変動、人口集中、生活水準の向上で、多くの大都会が水不足に悩まされる時代が来るかも知れません。多くの都市周辺でWater Catcherや水の浄化装置、海水淡水化装置が必要になると思います。

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CO2削減の決め手の一つは太陽光発電だという人がいます。オヒョウは同じソーラーエネルギーを使うのであれば、発電するのではなく、直接海水淡水化を行った方がいいのではないか?と思います。日本だけをみれば、海水淡水化のニーズは限定的ですが、世界を見渡すと、発電設備以上のニーズがあると思うからです。

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将来、ジブラルタルの山の南斜面に海水淡水化の設備がつくのか、それとも太陽電池が貼られるのか、興味深いところですが、いずれにしても今の雨水を貯水する方法からは進化するでしょう。 でもその前に、ジブラルタルがスペインに返還され、水供給の問題がなくなる可能性もあります。果たして、どちらになるか、オヒョウには見当もつきません。


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笑うオヒョウ

タケルさん niceをありがとうございます。
タケルさんのブログにもお邪魔しますからよろしくお願いします。
by 笑うオヒョウ (2009-10-16 00:45) 

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