SSブログ

【 密かに語る沖縄独立論 その2 】 [政治]

【 密かに語る沖縄独立論 その2 】

 

大国から小国が分離独立することは稀にありますが、アジアの場合、その理由には2種類あります。第一には、国内での地域差別、いじめが酷く、それから逃れるために独立する場合。第二には、背後に大国が存在してその思惑で分離する場合です。

・・・・・・

第一の例として、私の記憶に残るのは、東パキスタンが西パキスタンと分かれてバングラディッシュになった例があります。その前、西パキスタンは東パキスタンをほとんど植民地化して、搾取していました。それに反発したアワミ連盟が、東パキスタンを独立させてバングラディッシュにしたのですが・・・相変わらず最貧国のままです。

・・・・・・

マレーシアから分離独立したシンガポールも、リー・クアン・ユー氏の「私の履歴書」によれば、マレーシアから冷たく放り出される形で独立した・・とのことですが、経済的繁栄はシンガポールの方が先に享受しています。

インドネシアから東チモールが分離独立した際も、インドネシアからの迫害を逃れて独立・・と日本のマスコミが紹介しましたが、実態はかなり違うようです。東チモールについて書くと長くなるし、本題から外れるので書きませんが、日本のマスコミの説明はだいぶ実態からずれています。

・・・・・・

日本の左派系のマスコミは、中国やロシアに都合のいい独立運動なら、迫害を逃れるための正義の独立としますが、中国やロシアにとって都合の悪い独立運動ならこれを反乱として扱います。例えば、チェチェンがロシアから独立しようとした時、日本のマスコミは極めて冷淡でした。ウィグルやチベットでの独立運動は、無視するか過激派の暴力行為とされます。

・・・・・・

民主化の女神であるアウンサンスーチー氏が率いるミャンマーがロヒンギャ族を虐待しても、彼らに同情して独立運動につなげる発想はありません。一方イラク政府やトルコ政府と対立するクルド人は正義の人達で、パレスチナ独立政府を守るパレスチナ人も正義の人達です。分かりやすいと言えば、分かりやすいのですが、左派系のマスコミの白黒の付け方は単純でかつ愚かです。

・・・・・・

では沖縄の場合はどうか? 玉城デニー氏や翁長氏が考える沖縄独立論は、第一のケース、つまり一方的に虐げられる立場からの脱出です。しかし、それは妥当なのか?沖縄は第二次大戦で筆舌に尽くしがたい困難を経験した悲劇の島であることは事実です。また多くの米軍基地を引き受けているのも事実です。しかし、それをあまりに強調し、日本本土から虐げられている被害者という立場から議論するのはナンセンスです。

・・・・・・

特ア三カ国がそうであるように、過去に被害者であったことや、現在被害者であることを、あまりに強調し、同情をひこうとしたり、物理的な利益を得ようとするのは下品です。私はそれを「当たり屋のふるまい」と呼びます。私の母は「傷痍軍人のふるまい」と呼んでいました。

・・・・・・

沖縄を語るストーリーでは、ヤマトンチュウ(本土の日本人)は、加害者で無責任な悪者であり、アメリカ人は極悪人の犯罪者、ウチナンチュウ(沖縄人)は善良で気の毒な被害者という構図が一般的です。あまりにステロタイプですが・・。

・・・・・・

話を単純化したいマスコミは、日本の米軍基地の7割が小さな沖縄に集中していると言います。しかし、それは本当か?

7割という説明の横に小さな字で、「米軍だけが使用する基地では」とあります。

・・・・・・

先日、私は横須賀の軍港に行きました。この軍港は太平洋沿岸では米国のサンディエゴと並ぶ大規模なもので、もちろん沖縄にはそれに匹敵する軍港はありません。その大半を米軍が使用しますが、自衛隊も一部使用しているので、7割の計算の分母には含まれません。

佐世保の海軍基地も同様です。

・・・・・・

厚木には東洋最大で、米国のミラマーと並ぶ海軍航空隊の基地がありますが、これも計算に入りません。自衛隊が少しだけ使っているからです。岩国にある海兵隊の航空基地も同様です。同じ米国の海兵隊でも、普天間飛行場は計算に入り、岩国基地は除外されるように巧妙に工夫されているのです。三沢の空軍基地も同様です。嘉手納や横田(これは本土)の空軍基地は計算に入れるのに、三沢は入れないのです。

・・・・・・

もし自衛隊や民間航空も共用する基地も計算に入れれば、沖縄に集中する米軍基地は、50%以下になります(面積ベースで)。(それでもかなりの集中度ですが)。しかも沖縄の米軍占有地には広大なヤンバルの演習地が含まれ、これを米軍基地とみなすべきか・・やや疑問です。つまり、7割が沖縄に集中すると声高に語る人達は、沖縄が被害者で米軍と日本政府が加害者であるという構図を強調したいがために、不自然な数字を用いているのです。

・・・・・・

これはつまり、トランプが語るところのフェイクニュースです。沖縄の本当の未来は、過大な被害者意識から脱却するところから始まります。せっかく知事に就任する玉木デニー氏にはそれを期待したいのですが・・・

・・・・・・

では、小国の独立は現実的なのか? それについては次号で考察します。


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。