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【 農は国の基 】 [政治]

【 農は国の基 】

 

先日、飯田橋の居酒屋で古い友人であるY君と酒を飲みました。私のブログにはもうひとりY教授が登場しますが、彼とは別人でY君の方は、東大法学部をでて農水省に入って活躍した人物です。(Y教授も含め、私達は、昭和40年代の末に金沢の同じ高校にいました)。

 

久しぶりに会ってみると、Y君は役所を辞し自由人になっていました。金沢で新聞記者だったT君もとっくに会社を辞めて父君が遺した能登の屋敷を守り、田畑を耕しています。考えてみれば我々は60代であり、まだあくせく会社勤めをしている私の方が、どちらかというと例外なのです。

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そのY君は引退しても、農政に対する情熱は全く冷めた様子がなく、あらゆる話題から農業問題に切り込んできます。特に農政を語るうえで切り離せないTPPの問題については、深い考えがあるようです。

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私自身は、米国駐在中にNAFTAが成立し、それによって北米の産業構造がどう変化するかを目の当たりにした経験があります。だから自由貿易協定については一家言を持つつもりでしたが、私が考えていたのは自動車や鉄鋼、コンピューターといった第二次産業ばかりです。農産物についてはまじめに考えていなかったというのが実態です。だから、農産物の面から自由貿易協定の話をするのは全く苦手なのです。

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それにTPPの問題については、あまりに語るべき点が多いので、稿を改めて管見を述べたいと思います。

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それでも、ひとつだけ言えることは、自由貿易協定は、一国の経済や暮らしだけを考えていてはいけないということです。20世紀最大の凶事だった第二次世界大戦は、自由貿易が進まず、各国のブロック経済化を防止できなかったことが原因のひとつです。自由貿易を進めると、必ず一時的に被害を受ける産業や人々ができます。彼らの声を聴くことは非常に重要ですが、その部分のみがクローズアップされると、皆が被害者意識に取りつかれ、自由貿易に否定的になります。その結果、人々は保守的になり保護貿易に走ります。米国のトランプ政権はそれらの人々の支持でなりたっています。

日本の場合、農業に「被害者意識という幻想を植え付ける犯人」をやらせてはいけないのです。日本の農業は、本質的に被害者でも犠牲者でもなく強者であるはずのものです。

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日本の農業人口はとうの昔に1割を切っており、GDPに占める比率も高くありません。

国民があまり農業に関心を持たなくなってきている・・と私は思っていました。しかし、農業と農政を熱く語る漢(おとこ)はまだいるのだなあ・・と気づき、考えました。

(どんなに時代は変化しても、農業は日本社会の根本なのだ。だいたい、国家元首(象徴でもいいけれど)が、毎年田植えと稲刈りをする国など、他にあるものか)。

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そこで、思い当たりました。(そう言えば、他にも国王が自ら田植えをする国があったな)。

国力をGDPではなく、国民の幸福度数で計るどこか懐かしさを感じる不思議な国ブータンです。あの国の稲作は、一人の日本人技術者が指導したもので、完全な日本式農業です。

あのアントニオ猪木に似たワンチュク国王は、日本の農業指導に感謝すると同時に、(日本の皇室に倣ってなのかは不明ですが)、自ら農業人になっています。

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日本のイチゴの苗を盗みながら、一方で、言われのない風評に基づいて日本の農産物の輸入を禁止していている隣国とは大きな違いです。

そういえば、日本のカーリング娘達は、オリンピックの試合の休憩時間に大粒のイチゴをおいしそうに頬張っていました。「他の国のイチゴは甘くないのに、韓国のイチゴは日本のイチゴと同じように甘くておいしい」と語っています。

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「ちょっと待ってよ。そのイチゴはもともと日本原産の品種なのだから・・・」と言いたいところですが、まあいいや。その韓国イチゴのおかげで日本のカーリング娘達が活力を貰い、メダル獲得につながったのだとしたら、種苗を盗まれた日本のイチゴ開発者ももって瞑すべし・・ということでしょう。

 

ところで、ブータンについては、マスコミは報道しませんが、日本がこの国から学ぶべき点があります。ブータンがトマス・モア的な幸福を追求することに成功した社会だからではありません。同国の歴史が参考になるからです。

 

それについては次号で。


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