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【 官僚の人事権とゆとり教育 その2 】 [政治]

【 官僚の人事権とゆとり教育 その2 】

 

文科省エリートであった前川氏の業績で見逃せないのは、「ゆとり教育の推進」です。「ゆとり教育」は大失敗で、万死にあたる罪です。この責任を彼は負うべきです。

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詰め込み教育と激化する受験戦争への反省から導入された「ゆとり教育」ですが、文字通り、のんびりとした児童・生徒を作り出しただけです。授業時間を短縮し、その時間で「生きる力を身に着ける教育を」というスローガンでしたが、空いた時間は、社会見学や一部のボランティア活動を除き、ゲームに費やす時間になりました。一方で親に経済的余裕がある生徒は、その時間を塾通いにあてました。私立の進学校を選ぶ子供も増えました。その結果、親の経済力が、露骨に児童生徒の学力に反映することになりました。

http://www.nippon.com/ja/in-depth/a00601/

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しかし、最も大きな問題は、若い内に学ぶべき多くの事柄を学ぶ機会を失ったことです。

例えば、ゆとり世代にとって円周率は3です。それ以前の世代では便宜的に3.14で計算しました。 3と3.14 たったそれだけの違いではないか?と思われるかも知れませんがそうではありません。

円周率は最も有名な無理数で、小数でも分数でも表すことはできません。円周率が無理数である証明は、非常に難しく、私自身も理解している訳ではありませんが、円周率のおかげで、数学の世界には無理数が存在し、むしろ有理数(整数や分数、小数で表記できる数)より一般的だという具合に数論の入り口を知ることになります。その上で便宜的に3.14と表記する事を理解する訳ですが、円周率が3となってしまっては話が違います。 円周率を整数だと誤解するかも知れず、非常に重要な数学の概念が抜け落ちてしまうのです。

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毎年、世界各国の生徒の自然科学の学力を評価し比較するイベントがありますが、かつて世界のトップクラスだった日本の生徒の平均学力は、「ゆとり教育」の結果、どんどん落ち、アジアでもシンガポールなどに遠く及ばないレベルに低下しました。喜んだのは特アと呼ばれる中国と韓国です。彼らの日本に対するライバル意識は強烈ですから、日本の「ゆとり教育」を大歓迎したはずです。

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「ゆとり教育」が目指した、旧来のカリキュラムから離れた自主的な学習など、小学生には無理です。 自分で、何を学ぶべきか、あるいはどうやって学ぶべきかを考え、能動的に学習できるのは、大学生以上です(これは日本も外国も同じ)。それを小学生に求めてどうするのか?

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もう一つの大罪は、東日本大震災で多くの犠牲者を出した大川小学校の事件の検証委員会の設置です。他の学校では皆避難に成功し、犠牲者は最小限だったのに、なぜ大川小学校では多くの死者・行方不明者を出したのか? ひたすら時間を無駄にし、ちょうど津波が訪れる最悪のタイミングで川を渡ろうとした愚かしさの元は何なのか? 嘘に嘘を重ねて本当のことを語ろうとしない、唯一生き残った教師の不誠実さは何なのか?

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もとをたどれば、校長が一人いないだけで、何も判断できない無能な教員の問題に帰着する訳ですが死者を鞭打ちたくない人々の追及は甘くなります。そして前川氏が設けた検証委員会から犠牲者の家族は締め出されました。教育現場の「事なかれ主義」を考えた場合、責任所在不明のままでうやむやにしようという意図が丸見えです。なにせ、いじめの自殺事件の検証でも、遺族が必死に訴えなければ真実が表に出てこない世界です。

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その、一種の隠蔽工作を図ったのが前川氏であるとすれば、「ゆとり教育」の導入に並ぶ大罪です。「ゆとり教育」も「大川小学校検証委員会」も、前川氏ひとりに責を負わせるのは酷かも知れませんが、彼も関与したはずです。そして全体に対して責任をとるのが、事務方のトップである事務次官というものです。

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どうしてそんな男が官僚の頂点である事務次官まで上り詰めたのか? 理解できませんが、外部の干渉を受けず、内部の「役所の論理」で人事が決まったからでしょうか?それならば、なぜ前川氏が・・ではなく、前川氏だからこそ次官に上り詰めたという風に理解できます。 公務員試験が4番だろうと、何番だろうと関係ありません。

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やがて全体への奉仕者たる官僚についても、従来の単純な減点主義ではなく、個々人の業績を評価し、信賞必罰が実施される人事制度が適用されると私は思います。無能な大臣に振り回され、その大臣に評価されるというのでは、高級官僚には不本意かも知れませんが、サラリーマンなんてそんなものです。

 

ところで、前川氏は怪しげな加計学園の獣医学部新設に身を挺して抵抗したジャンヌダルクだそうですが、果たしてどうなのか?そのあたりについて、次報で管見を申し上げたいと思います。


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