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【 日本人でよかった・・について考える 】 [政治]

【 日本人でよかった・・について考える 】

 

いささか旧聞ですが、神社本庁が作成したポスターが話題になっています。

微笑む若い女性の顔の横に「日本人でよかった」というコピーが付く不思議なポスターです。早速このポスターは、インターネット上で噛みつかれました。

即ち「日本人でよかった」というコピーは外国人に対して失礼ではないか?とか、日本や日本人を賛美することは、国粋主義や愛国主義に通じる訳でけしからん、とか、日本人という劣等民族であることをありがたがるとは不可解であるし、けしからん。という意見までありました。

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それに対して、自国を誇り、その国民であることに感謝するのは当然であり、何がいけないのか?とか、冷静にみて、諸外国の人より幸福に暮らせる環境を保障されているのは明らか・・という反論もでました。

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さらにはポスターに登場する微笑む女性が、実は中国人であることが分かり、さらに論争を広げています。

http://www.huffingtonpost.jp/2017/05/10/jinjahoncho_n_16526916.html

面白いのは、「日本人でよかった」と思う、その根拠が示されていないことです。その理由を、ポスターを観た人に考えさせる訳ですが、人々が不思議に思い、それぞれに考えれば、このポスターは印象に残ります。議論がおこり話題になれば宣伝効果が倍増します。まんまと作戦に成功したコピーライターの笑う顔が目に浮かびます。

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そもそも、なぜ神社本庁がこのポスターを作成したのか?

神道は確かに日本固有の宗教です。「日本人でよかった」と考えるのは、生活に神道が関わる場面かも知れません。 即ち、神社にお参りしたり神棚にお祈りしたりする時かも知れません。いろいろな事を祈願するために、神社に行き、成就した時にはお礼参りに行きます。初詣、お祭り、結婚式、七五三、楽しい思い出やおめでたい出来事は、しばしば村の鎮守の神様の森の中にありました。なぜか、悲しいお葬式は仏教寺院なのに、おめでたい事や楽しいことは神社なのです。

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しかし、「日本人でよかった」という言葉は、宗教行事を離れて、いろいろなことを考えさせます。 第一番には、この言葉に反発し、不愉快に思う一部の人達の存在です。 外国人ならともかく、日本人でこの言葉に反発する人がいるのは奇妙ですが、確かに一定数います。 

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例えば・・・

作家の大江健三郎は、自分が朝鮮人でないことを嘆き、朝鮮人は北朝鮮に帰れるのに、日本人の自分にはそれができない・・と悔しがっています。 

べ平連の小田実も奇妙なことを言っていました。 米国の走狗である日本より外国、特に北朝鮮の方がずっとすばらしいと言っていました。

筑紫哲也も日本が嫌いで、「我が国」という言い方を嫌い、日本のことを敢えて「この国」と呼ぶことに拘りました。 客観性を保つというより、日本を他国として、上から目線で批判したかったようです。

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彼ら以外でも、本多勝一など、一部の左派系の論客は、常に日本を貶し、日本人であることを恥じていました。 彼らは本当に日本が嫌いで、日本を貶めることで自分が日本人以外の何者かになれると考えていたようです。彼らから見れば、日本人であることを誇りに思ったり、感謝したりする人々は右翼・・ということになりそうです。

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別の観点から日本を礼賛することを不快に思う人もいます。元経営者の宋文洲は、最近マスコミに日本を褒め称える記事や番組が多いことを嘆いています。

彼の表現では「気持ち悪い」記事となります。 客観的にみて、日本に優れた技術や文化があるなら、それを紹介し、讃えるのは自然ですが、日本人が日本のことを自画自賛するのでは、謙虚さに欠け、そこで進歩が止まってしまう・・という懸念もあります。

イロハガルタにも「天狗は芸の行き止まり」とあります。確かにそうです。

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しかし、外国を眺めると、自画自賛する国のオンパレードです。 中国も韓国も自分達が誇れること、他国に優ることを探しては、マスコミで大きく報道しています。

韓国人がお国自慢して、優越感に浸ることを、インターネット用語では「ホルホルする」と言いますが、その行為を日本人は、苦笑いして眺めています。 「夜郎自大」という言葉がある中国も、しばしば他国と自分の国を比べ、中国の優れた点を取り上げて、優越感に浸り、「中国が一番」と・・・自己満足しています。

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あの北朝鮮ですら、そこに暮らす人々は「偉大なる首領様が率いる我が共和国が一番すばらしい」と考えているようです・・・(本当かね?)。

それらに比べれば、日本の自画自賛はかわいいものです。それでも最近、日本の良さをことさらに紹介する報道が増えているのだとすれば、何か理由がありそうです。

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それは多分、多くの日本人が元気と自信をなくしているから、元気づけてあげなければ・・・という思いがあるからでしょう。

長期にわたる景気の低迷、大地震などの災害、少子高齢化や経済の縮小で明るさがあまり見えない将来展望・・等で自信喪失しているなら、「日本にはまだこんなにいい点がある。自信を持て。元気を出せ」というメッセージが、自画自賛番組に含まれているのだ・・と私は思います。

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それはともかく、権力を批判することこそマスコミの本分と考える、左派系のマスコミは、日本を褒め称える風潮が不愉快のようです。報道だけでなく、芸能界の歌詞にも噛みついたりします。 かつて村下孝蔵が「この国に生まれてよかった」という曲を出した時も無視と抹殺を図りました。

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では今後、どうするべきか? 私は日本が優れている点があるなら、それを紹介する事に問題ないと考えます。また日本人であることに誇りを持ち、日本に生まれてよかったと思うことにも問題はないと考えます。ちょうど他国の人たちが自分達の祖国を“まほろば”と思うように。

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しかしそれが他国に対する変な優越感をもたらすものであればナンセンスです。 またそれが、日本を訪れる外国人や日本に暮らす外国籍の人を侮辱するものだったり、不快感を与えるものであれば、これも問題です。例え、国内向けだけの発信だとしても、昔と違い、今の日本には、多くの外国人が暮らし、滞在しています。

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ではどうすればいいのか?

難しいところですが、ドイツの例が参考になります。ドイツ人というよりドイツ民族はとりわけ選民思想が強く、ドイツ民族こそ一番と考えています。それが極端に走ったのがナチスドイツということになりますが、第二次大戦後は他民族との融和・和解をモットーに掲げています。 ドイツの国歌の2番には「世界に冠たる我がドイツ」という歌詞が登場しますが、外国人の前では遠慮して、2番の歌詞を飛ばして歌います。日本と日本人も、その感覚を持つべきでしょう。 自分に誇りを持つ一方で、謙虚に外国をうやまい尊重する態度を身につけ、そして何より、中国や韓国のように外国と自国を比較して優劣を付けたがるつまらない発想から解放されれば、最高です。

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日本がそういう国になれば、初めて「日本人でよかった」と言えるのですが・・・、あれっ? この結論は少し矛盾しています。 

ひたすら困惑するばかりですが、なんだかポスターのコピーライターの笑い声が聞こえるようです。


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