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【 平昌オリンピックの憂鬱 その2 】 [政治]

【 平昌オリンピックの憂鬱 その2 】

 

オリンピックを平和の祭典と考えるのは、戦後70年間、戦火に見舞われず、戦争を身近に感じなかった日本人だけかも知れません。むしろ、オリンピックは、醜く理不尽な戦争を覆い隠し、見えなくするためのカムフラージュだと考える人もいます。

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民族の祭典と言われたベルリンオリンピックは、国威発揚に用いられましたが、オリンピックと並行して、ナチスは着々と侵略の準備を進め、同時にユダヤ人への迫害を強化していました。

同じドイツのミュンヘンオリンピックでは、平和なイベントなど欺瞞だ・・と主張するアラブゲリラが選手村を襲いイスラエル選手団の多くの男子選手が亡くなりました。

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オリンピック期間中はかろうじて、平和を維持できたものの、オリンピック終了後に数々の矛盾が噴き出し、戦争になってしまった例もあります。 当時ユーゴスラビアだったサラエボは、冬季オリンピックを開いた後にボスニアヘルツェゴビナの内戦に巻き込まれ、終結までに多くの血が流されました。もともと。セルビア正教、イスラム教、カトリックなど、複数の宗教が混在し、反目しあっていたユーゴスラビアというバルカン半島の火薬庫は、チトー大統領という一大梟雄の存在でかろうじてひとつにまとまっていました。彼の死後、分裂と内乱は時間の問題だったのですが、なんとかサラエボオリンピックまでは騒乱を抑えていたのです。今サラエボのオリンピック会場の跡には多くの弾痕があるとのことです。 

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では韓国の場合はどうか?

前回の1988年のソウルオリンピックの前には、大韓航空機爆破事件というテロ事件が起こっています。韓国のオリンピックを失敗させたい北朝鮮が、韓国がテロのある恐ろしい国だと証明することで、参加国が辞退するよう働きかけたテロだ・・とのことです。(本当かね?)

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今回、北朝鮮にスキーリゾートまで作った金正恩が、冬季オリンピックに何等かの干渉をしてくる可能性は多分にあります。日韓共同主催のサッカーのワールドカップでは、北朝鮮でも試合を開催させろ・・と横車を押してきました。もちろん実現しませんでしたが、日本の左派系というより親北朝鮮のマスコミにはその要求を受け入れるべきだ・・とする意見もありました。

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今回、北朝鮮から何等かの要求があった場合、韓国の対応は予測できませんが、従北派の文大統領なら、北朝鮮との共同開催は無理としても、北朝鮮選手団の受け入れ、もしくは韓国との合同選手団の結成を提案するでしょう。

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しかし北朝鮮から核兵器とミサイルで脅されている米国がそれを受け入れるとは思えません。国連の制裁決議を再三破り、勧告と警告を無視する北朝鮮を参加させる訳にはいかない・・ということです。北朝鮮側も、日本海に航空母艦を浮かべて恫喝(と北朝鮮は思っている)する米国に参加資格なし・・と主張するかも知れません。

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韓国は難しい調整を求められます。オリンピックを開催するということは一種の踏み絵を踏まされることなのです。

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韓国と北朝鮮の緊張関係は日本のオリンピックにも影響を与えます。20世紀のオリンピック大会で最も成功したものの一つとされた、1964年の東京大会では、北朝鮮チームも参加する予定でした。しかし、日韓の国交が回復し、日韓基本条約(1965年)が締結される見通しの中で、金日成は、不倶戴天の敵である南朝鮮(韓国)と一緒に参加する訳にはいかない・・として、選手団は羽田空港から引き返してしまったのです。

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実は東京オリンピックは南北離散家族の面会の機会でもあったのですが、実現しませんでした。 悲劇は1972年の札幌オリンピックでも繰り返されます。北朝鮮のスピードスケートの選手 ハン・ピルファ嬢は、札幌で生き別れの兄に面会するはずでしたが、政治的な理由で兄妹の面会はかないませんでした。

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今回の、北朝鮮とその他の国々との緊張状態は、熱い戦争には発展しないかも知れませんが、オリンピックには必ず影を落とします。それはピョンチャンだけでなく、2020年の東京オリンピックにも続くでしょう。

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「オリンピックなんてまやかしだ。平和の祭典なんて欺瞞だ」というテロリストの考えには絶対に与したくないオヒョウですが、前回の東京オリンピック以降、すっと続く外交・政治問題の影響を考えると、「人間は半世紀経っても進歩しないものなのだな」と思ってしまいます。

                                             以上


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