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【 海軍短期現役と主計将校 その2 】 [政治]

【 海軍短期現役と主計将校 その2 】

 

アメリカ軍が、サダム・フセイン政権を倒すために、なかば強引にイラク戦争を始めた際、それに強硬に反対した閣僚がいます。 かつてアメリカ軍トップの統合参謀本部議長を経験し、イラク戦争時は国務長官だったコリン・パウエルです。ベトナムで激戦を戦い、自分自身も二度負傷し、武勲に輝く強者だったパウエル国務長官は、常に戦争を始めることに慎重(反対)でした。

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一方、テキサス州の州兵として、軍隊ごっこを経験しただけのブッシュ(息子)大統領は、実戦経験が無く好戦的でした。 パパブッシュの方は、太平洋戦争で自分の乗機が撃墜され、辛くも助かったという経験を持つ人物で、彼が大統領の時にパウエルを米軍のトップに引き上げたのですが、息子の方はだいぶ考えが違い、パウエルとはそりが合わなかったようです。

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軍人の方が戦争に慎重で、文官(もしくは非軍人)の方が戦争を始めたがる・・というのは、この点を見ると事実かも知れません。 実際の戦争の悲惨さを経験すると、戦争嫌いになるのかも知れません。

日本海海戦で名参謀と言われた秋山真之も、日露戦争後、戦争が嫌いになったとか。

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20世紀後半の世界の指導者を見ると、確かに戦争経験が無い人の方が好戦的です。

鉄の女と言われた英国のマーガレットサッチャーは、フォークランド戦争で、全く容赦なくアルゼンチン攻撃を指示しましたが、自分自身は安全なロンドンにいて、当然女性だから軍隊経験もなく戦死する可能性も全くない人生を送っていました。

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その事をマスコミに衝かれると憤然として、自分の事には触れず、勇敢な兵士を讃えよ!とだけ言いました。 実際には、そのフォークランドで最も危険な最前線にいたのは、英国人というよりグルカ兵だったのですが・・・。

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イスラエルのメイア首相も中東紛争では常に強硬派でした。もっともイスラエルの場合は、女性兵士も最前線に行きます。メイア氏自身はその経験はなかったようですが。

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N数が少ないので、確証はありませんが、自分自身は最前線に行かない女性が指導者の時の方が、好戦的で軍隊を使いたがるのでしょうか? それは困った問題です。

日本の場合、防衛庁長官や防衛大臣になった女性は2人です。今をときめく小池都知事と、現在の稲田防衛大臣です。どちらも女性なるがゆえの悩みをもって仕事をしたのでしょうが、幸いにして、日本は防衛大臣のレベルで国防が決まることはありません。首相が最高指揮官だからです。

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日本の戦争経験者の首相については、意見が分かれます。海軍の主計少佐だった中曽根康弘は最前線の経験が無いからタカ派だと佐高や坂田は言います。 

では、年代が近いハト派の政治家の宮澤喜一はどうでしょうか?彼は軍隊に行っていません。父親も母親も広島の政治家だった彼は、その政治力のお蔭で、赤紙が来なかったのです。同級生が戦地で戦っていた時、彼は内地で恩給の計算や戦時国債の仕事を机に向かってしていたのです。そして自分が政治家になった後は、徹底して自衛隊の制服組を軽蔑しました。

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中曽根康弘と宮澤喜一、どちらを臆病者と考えるか・・・難しいところです。そして、日本の場合、シビリアンコントロールが効くから、軍隊の暴走は無いよ・・と安心する訳ですが、外国を眺めるとそう安心はできません。

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海外では民主化前の軍事政権下の方が、外国との戦争には慎重なのです。むしろ文官がリーダーの国が戦争をしています。 日本の政治家の場合も、自衛隊出身者が決して好戦的という訳ではありません。平和を希求するのが、日本の政治なら、むしろ閣僚に制服組経験者を取り込んで、戦争を知る者の意見を参考にすべきなのではないでしょうか? もっとも、自衛隊出身者といえども、実戦経験がある訳ではないので、本当の戦争の恐ろしさを語ることはできないでしょうが・・。

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逆説的ですが、戦争を抑止し、平和を守るためには、戦争経験を持つ人がリーダーになる方がいいのかも知れません。若しくは戦争で苛酷な体験をした人を重要閣僚にあてるべきかも知れません。 そう考えると心配なことがひとつあります。

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今度のアメリカの大統領トランプ氏は軍隊経験がありません。 そして外交に関してはかなりタカ派の発言が目立ちます。 そのトランプ氏は、同じく自分には戦争経験が無いのにやたらと好戦的な北朝鮮の金正恩と会って話をする用意があるのだとか・・・。

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真の英雄である元軍人コリン・パウエルが聞いたら、溜息をつきそうな話です。


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