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【 毒ガス論 その1 】 [広島]

【 毒ガス論 その1 】

 

毒ガス島変じて、ウサギの島となった大久野島には、毒ガス記念館なる建物があり、戦前に製造された毒ガスに関する資料などが展示されています。

 

しかし、そこには欠落した情報や誤謬というべき情報があります。

 

それらについて、係員に尋ねても、要領を得た回答はありません。まるで南京の大虐殺記念館の捏造資料に関する質問への中国人学芸員の回答のようです。

 

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まず第一番の疑問です。大久野島での毒ガス製造は、終戦を待たずに、太平洋戦争の途中で終了しています。それはなぜか? 説明には、通常兵器の製造に転換した・・とありますが、大久野島で通常の火薬(TNTや下瀬火薬等)が製造された記録はありません。また、効率的に人を殺傷できる毒ガスを途中で止めた理由がわかりません。取り扱いが難しいから?それとも非人道的すぎるから? まさか。

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そして、展示物にあの有名な写真を見つけた時、私は憂鬱になりました。

1939年の支那戦線の写真で、毒ガス作戦の写真だそうですが、遠くに真っ黒な煙がモクモクと幾筋も立ち上っています。これは、砲撃戦で相手の視界を遮るためにだした煙幕であり、毒ガスではありません。かつて朝日新聞が、日本が大陸の戦争で非人道的な大量殺戮兵器を使用した証拠として新聞に掲載したものですが、よほど毒ガスに無知な人が写真の採用を決定したのでしょう。たちまち、炎上し朝日新聞はその写真に付けた毒ガスという説明を撤回したはずですが、瀬戸内海の小さな資料館には残っていたのです。

管内撮影禁止なので、その時の写真はありませんが、下記のURLで紹介されています。

http://home.att.ne.jp/blue/gendai-shi/asahi-hodo/gas.html

 

係りの人に、「毒ガスが煙モクモクなんて訳がないでしょう。毒ガスは、本来空気より重く、地表に垂れ込めます。その結果、塹壕や平地にいる兵士がやられるのです。色や臭いの付いたガスもありますが、相手に気付かれないため、無色無臭が良いとされます。真っ黒な煙が上空に立ち昇って何が毒ガスですか?バルサンジェットじゃあるまいし、これはただの煙幕でしょう」

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応対した係員は、困った様子で「確かに毒ガスは空気より比重が大きいはずですよね。この写真は間違っていますね。でも、申し訳ないけれど、私の立場ではどうしようもない。竹原市の町づくり推進課に言って貰えませんか?」

私もサラリーマンなので、彼の立場はよく分かります。その場で、間違っていると自分で理解できることでも、自分の立場ではどうしようもない・・という事がしばしばあります。

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しかし、この毒ガス資料館には他にも不可解な点が幾つかあります。展示には、中国東北地方で旧日本軍が遺棄した毒ガス兵器に触れた地元の被害者の顔写真で展示されています。毒ガスが非人道的な兵器で、日本は過去に、かくも悪逆非道なことをしたのだよ・・という説明ですが、肝心な説明が欠落しています。

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問題が、日本軍が降伏して武装解除になった後に遺棄された兵器なのか、戦争継続中に地中に隠匿された兵器なのか・・という事です。前者であれば、武器兵器の管理義務はソ連軍または中国軍側に存在し、日本軍に責任はありません。後者であれば、日本が責任を負う形になります。 河野洋平らが中国と交わした協議では、その責任所在に触れず、遺棄された毒ガスの処理費用と被害者への賠償は日本が負担することになり、1兆円が支払われています。実際には毒ガス処理工場にそれだけの金額が必要とは思えません。多くは対日本向けの軍備拡張などに流用されているものと思われます。

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ソ連軍に降伏する土壇場のあわただしさの中で、多くの武器・兵器の中で毒ガスだけを地中深く埋めて秘匿するなどという余裕が日本軍にあったとは思えません。それに旧満州にいた日本軍(関東軍)の多くの武器は、武装解除後に接収され、朝鮮戦争で使用されています。どう考えても不可解ですが、そこに触れず日本が行った悪行として展示されていることに違和感を持つのです。

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いや、毒ガスを作り、所持した事自体が人道に反する・・というのなら、それも一理あります。それなら、今現在、毒ガスを盛んに製造し、所有し、使用している国や団体を責めるべきではないでしょうか? 70年以上前のことよりも、「今ここにある危機」について語るべきです。

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記念館だから、戦時中または戦前のことだけに焦点を絞るのは、ある意味当然ですが、この記念館を見学する子供たちにとって重要なのは、現在と未来の平和です。もし毒ガスについて語るのなら、今世界で起こっていることと、人々の考え方について説明すべきです。

 

それについては次号で管見を申し上げます。


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