【 チンダル現象 】 [政治]
【 チンダル現象 】
先日、車を運転していて、前方の空の雲の隙間から太陽の光の筋(光条)が斜めに指しているのを見て「ああ、美しい」と思いました。
以前のブログで、同じ光景を見た私が、なぜか「牧神の午後」の曲を思い出した・・と書いた記憶があります。今回は、音楽は聞こえませんでしたが、光線の表現にこだわった印象派の油絵を連想しました。 夏目漱石なら「ターナーの絵のようだ」と言ったかも知れません。
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中島みゆきは、この太陽の光条を「天国の階段」として曲を書きました。英語では「Jacob’s ladder (ヤコブの梯子)」と呼ばれています。確かに天国へ続くスロープをイメージさせます。
そして、日本では軍艦旗です。映画「トラ・トラ・トラ」では、オアフ島に近づいた攻撃機に乗った田村高広演じる淵田少佐が、雲間から射す太陽光線の光条を見て「軍艦旗だ。縁起がいいぞ」と口にします。
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このJacob’s Ladderは、実は単なるチンダル現象です。チンダル現象とは、コロイドという微粒子が浮遊する空間を可視光線が通る際に観察される散乱現象で、光の通る筋が、肉眼で観察できるものです。 コロイドとは、直径数十ミクロンの粒子で、ブラウン運動を起こす粒子より少し大きなものです。食卓のお醤油など、ごくありふれた液体にコロイド粒子は存在し、チンダル現象もごくありふれたものです。
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海に潜って海面を見上げた場合、太陽光が放射状の筋に見えますが、これも海水中にコロイド粒子があるからです。 大気中のモヤ(空中の湯気や、氷の粒子等)もコロイドとなる場合があり、チンダル現象が発生します。
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しかし、単なるチンダル現象を絵にしただけの軍艦旗が今になって外国で問題視されています。
海上自衛隊の護衛艦が韓国を訪問した際に、艦首に日章旗を、艦尾に軍艦旗を掲げて入港したところ、現地で強い反発を受け、軍艦旗を降ろせという非礼な要求が地元から出たとのことです。
http://www.recordchina.co.jp/a131917.html
無論、護衛艦の艦上は日本の主権下にあり、韓国がとやかく言う権利はありません。それに艦首に日章旗を掲げて艦尾に軍艦旗を掲げるのは、国際慣習上、当然の事であり、何ら問題ないことです。過去に自衛隊の護衛艦が軍艦旗を掲げて韓国を訪問した際も何ら問題になっていません。 なぜ、今回は問題なのか?
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海上自衛隊に限らず、最近の韓国世論は軍艦旗(陸上自衛隊も使っているので一般的には旭日旗)に敏感に反応し、これを拒絶するのです。実は、前述の護衛艦訪問時も含めて、韓国は2007年頃まで、旭日旗について何ら問題視していませんでした。韓国は中国と違い、19世紀以降直接日本軍に侵略されたことはありません。日本軍の象徴である旭日旗に対しても反対する理由は無いのですが・・・、2007年頃から突然、反発の対象になりました。 そこでこの理由を考えてみました。
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これまで、韓国は定期的に朝日新聞などを使嗾して、日本に文句を言う対象を探し、因縁をつけて、謝罪と賠償を求めてきました。 侵略を進出と言い換えたとする、いわゆる教科書問題(捏造)、歴史認識問題、いわゆる慰安婦問題、強制連行問題(これは一部真実)、等です。2003年頃から、そのネタがそろそろ尽きてきたので、新たに旭日旗にいちゃもんを付けてきたのか?と思います。 ゆすりタカリのネタを常に探しているなど、場末の暴力団みたいですが、韓国にとっては、大事な国家戦略です。
(ちょっと哀れな国だなと思います)。
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以前の問題提起は、朝日新聞を使っていましたが、今回は韓国内から発信しています。 どうやら朝日新聞は自社の社旗が旭日旗に近いので、バツが悪かったのかも知れません。実際、朝日新聞社内では、自分の会社のことを「軍艦旗」と呼んだりするそうです。
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しかし、それにしても、どうして韓国の人は今頃になって旭日旗(軍艦旗)に反発するのか? その理由を探してみたところ、ひとつだけヒントが見つかりました。韓国(朝鮮)が軍艦旗に向かって砲撃し、逆に制圧された事件があったのです。
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それは、李氏朝鮮時代の1875年の江華島事件です。日本の砲艦「雲揚」が水を求めて、ソウルから遠くない江華島に接近したところ、突然砲台から砲撃を受けて、これに応戦し、兵が上陸して砲台を沈黙させた・・という事件で、これによって日朝間で修好条約が結ばれる事になりました。
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最終的に、国際法(万国公法)上、日章旗と軍艦旗を掲げて、平和裏に江華島に接近し、正当防衛で応戦した日本の砲艦側に非は全くなく、全ては朝鮮側に非があると判断されました。 悪いのは朝鮮とされ、しかも負けたのも朝鮮側でしたから、朝鮮としては遺恨の対象となりうる事件でした。
そして韓国・朝鮮が軍艦旗を掲げた艦と戦ったのは、この1回のみです。
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悪いのは朝鮮側・・というものの、よく考えてみれば、これとよく似た事件がその12年前に日本で発生しています。1863年、1864年の下関戦争です。日本側が、欧州各国の船に砲台から攻撃し、逆に上陸されて、砲台を破壊された戦争です。
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その12年間に、日本は急速に近代化し、榎本武揚らが研究した万国公法もマスターし、近代化の遅れた朝鮮を相手に同じことをした・・とも言えます。
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それにしても、韓国・朝鮮の人たちは、この140年前の事件を今でもネに持っているのでしょうか? そうだとしたら、恐るべき「恨の文化」です。 そしてこの傾向がどんどんエスカレートするなら、数年後には日の丸自体を怪しからん・・という様になるかも知れません。さてどうしたものか?
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ところで、国旗を掲げた外国の軍艦が領海を通行する権利(無害通航権)は今も問題になっています。
最近では中国のフリゲート艦(ジャンカイ級)が尖閣諸島の接続水域に侵入し、情報収集艦が南西諸島の領海を通行しています。 かつては接続水域や領海に侵入するのは、中国の公船というだけで軍艦ではなかったのですが、それが最新鋭の軍艦になったのです。
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軍艦であっても、国旗を掲げ海上を通行する限りは、法的に問題はないとされ、日本はそれに抗議できません(潜水艦が潜航して通行するのは不可)。しかし、中国側が既成事実を積み上げ、何時か領土や領海をかすめ取ろうとしているのは明らかです。
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だから、江華島の砲台が発砲した気持も、下関の砲台が発砲した気持も、今の中国海軍のふるまいを見ていると、少し分かる気がします。
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なんとか、日中韓で、いがみ合わない方法はないものか?少なくとも、美しいチンダル現象を図案化しただけの旭日旗(軍艦旗)は、現在、外国を侵略するシンボルではありません。そのことを日本政府はもっとPRすべきですし、韓国もそれを理解すべきだと、Jacob’s Ladderを見ながら、考えます。
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