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【 恐るべきはクリスタルナハトの再来 】 [政治]

【 恐るべきはクリスタルナハトの再来 】

私がイメージするヨーロッパとは、早くから先進国になり、生活水準はそこそこ高く、社会保障も充実し、人々は人生を楽しむことができる国々・・・です。しかし、そこで大事なことを忘れます。プロテスタントとカトリック、正教等の違いはあるにしても、基本的にそれらの国々はキリスト教の国であるということです。

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東ヨーロッパの国々は、20世紀の一時期、唯物論が支配する世界でしたが、なんのことはない、その間も人々の生老病死は教会と共にあり、人々はキリスト者であり続けたのです。そしてその時代も今は終わり、彼らは、国家が認めたキリスト教の世界に暮らしています。

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無論、憲法に謳われているか否かはともかく、信教の自由は先進国では基本的に保証されています。しかし、それは理性で判断する範囲のことであり、感情が絡む日常の生活ではまた違う理屈があります。ヨーロッパは排他的なキリスト教の国家群であり、非キリスト者は欧州では疎外されます。つまり非キリスト者が欧州で暮らすという事は、疎外感を甘受しながら生きるということです。

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かつて、ユダヤ教を信奉するユダヤ人は徹底的に迫害されました。20世紀にはホロコーストの対象になりました。そして孤立した民族、あるいは流浪の民とされてきたロマ(ジプシー)は、その昔ヒンドゥー教徒だったそうです。

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そして、今また、中東であるいはアフリカで仕事と住む場所を失った人々の多くが、ヨーロッパを目指します。シリアからトルコに入り、そしてギリシャ、その先のイタリアを目指します。手元に資料はありませんが、欧州に流入する難民(政治難民、経済難民の両方)の多くはイスラム教徒だと思います。なぜ、彼らは敢えて十字軍の時代から対立するキリスト教の世界を目指すのか?

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彼らが目指す最終目的地は、ドイツまたは北欧だそうです。 理由は多々ありますが、それらの国が裕福で社会保障が充実していること、移民受け入れに寛容で実績があること・・・が理由でしょう。ドイツはナチスドイツの時代に、ユダヤ人を虐殺した反省から、異教徒に寛容であろう・・・と思われます。 しかし、それに甘えることは危険です。 移民はそこを考えているのか?

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今月、ドイツで実施された選挙で、反難民政党 Alternative für Deutschland (AfD) 「ドイツの選択」が大躍進しました。

http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM14H10_U6A310C1MM0000/

http://www.dw.com/en/alternative-f%C3%BCr-deutschland-afd/t-17455253

ドイツは、メルケル首相率いるCDU(キリスト教民主同盟)とSPD(ドイツ社会民主党)の2大政党が長年、政権を担ってきました。 それぞれの分派と連立したり、過激な主張をする「緑の党」が影響力を持ったりしますが、概ね安定して継続性のある政策を推進します。だから、堅実な経済運営と共に、EU内でドイツは信頼されていたのですが、ここでAfDが台頭すると大きな問題です。

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ドイツの極右政党といえば、ネオナチですが、これは基本的に非合法な存在です。しかし、ナチスではない・・という隠れ蓑をまとった極右勢力が台頭する余地は常にあります。 これまで、それは若年層の失業率の増大や、深刻な経済不況がきっかけになると、私は思っていました。なぜなら20世紀のナチスの台頭がそうだったからです。

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しかし、驚いたことに、今回の排他的な極右勢力の台頭は、難民の増大が背景にあると思われます。 実際、AfDは移民・難民の流入の歯止めを公約に盛り込んでいます。

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はて?これまでドイツは移民の労働力のお蔭で、優雅な市民生活を謳歌できていたのではないか?それが移民・難民に反対とは・・。 そのきっかけは、昨年の大晦日に、ドイツの複数の都市で同時発生した集団女性暴行事件ではないか?と私は思います。 

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日本でもケルン市での事件が報道されましたが、これはドイツの受け入れ施設に暮らす難民が、集団で往来の女性を襲い、強姦したり略奪したりしたという極めて悪質な犯罪です。 数百人の難民が加担したこと、複数の都市で同時発生したことを考えると、この犯罪は計画的で意図的です。 これだけ大人数による暴挙・・となると、ドイツの一般市民では護衛の方法もありません。もともと日本などに比べれば治安が良いとは言えない、ドイツの都市ですが、家族の女性すら守れないとなると、人々は敏感になります。

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難民がそのような犯罪行為に至った事情については不明です。 ハンムラビ法典の流れをくむイスラム社会では、刑事罰は厳罰であり、性犯罪に対しても非寛容ですが、ドイツはそうでなく、寛刑を期待できるから・・・という打算もあるでしょうし、ドイツ社会に対する強い不満もあるでしょう。しかし、相手国の好意によって受け入れられた難民という立場を忘れると事態は悪化します。

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今回のAfDを指揮するリーダーは若い女性達です。そう言えば、フランスの極右政党であるFN(フランス国民戦線)のル・ペン党首も若き女性です。そしてFNは反ユダヤ主義を掲げていましたが、昨今は反イスラム主義を標榜しているようです。女性が極右勢力をリードする背景には、集団婦女暴行事件があるのかも知れません。

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極右勢力の台頭はオーストリアでも見られます。そして右翼の台頭は、EUへの非キリスト教徒の移民・難民の増加によって拍車がかかります。 これまで欧州の良識派が掲げる人道主義に基づいてEU諸国は難民を受け入れてきましたが、もう限界であり、方針を転換すべき時期に来ています。 ドイツのメルケル首相も苦渋の決断として難民受け入れを抑制する方針に転換しました。

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今、そうしないと、より過激な形で難民排斥運動が勃発するに違いありません。

第二次大戦の初期の頃に、ドイツ国民がユダヤ人居住区を襲い、焼き討ち、略奪を行った、悪名高き「水晶の夜 Kristal Nacht」が再び発生する危険があります。国家が黙認する暴動が起きれば、それに続くのは不毛な戦争です。

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短期的には、難民の受け入れを止めて、これ以上の摩擦を防ぎ、極右勢力の台頭を防ぐしかありません。 そして長期的にはどうするべきか? 私は、ヨーロッパがキリスト教単独の社会から脱皮し、多くの宗教が混在し、互いを尊重する寛容で複合的な社会を築くしかないと思います。

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スペインの観光都市トレドを訪問された方はご存知でしょう。住宅街の街路標識に、区割りが明示され、「ここより先、イスラム区域」、「ここからユダヤ教区域」、「キリスト教区域」と示されています。でもこれからの欧州の都市が目指すのはそうではなく、同じブロックに異教徒が、異民族が隣同士に仲良く暮らせる街です。

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そのような都市は、過去1000年の間、実現していないのですが、希望はあります。日本では実現しているのです。日本は多民族国家とは言いがたいのですが、他宗教国家ではあります。 多くの人は、宗教に関しては淡泊で、例外を除いて、さほど排他的ではありません。 2000年以上、宗教対立で苦しんでいる欧州は、日本をお手本にするべきです。排他的な極右勢力の台頭を抑止し、一方で社会の治安を維持するには、日本を参考にすべきです。

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もっとも、そんなことを言えば、「それなら中東やアフリカで大量に発生する難民を日本が引き受けろ・・・」と言われそうですが。


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