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【 ジェブ・ブッシュとアウンサン・スーチー女史 】 [アメリカ]

【 ジェブ・ブッシュとアウンサン・スーチー女史 】

 

次期米国大統領選挙で、一時期、共和党候補者の中で、優位にあったジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が、選挙戦撤退を表明しました。派手で過激な発言が目立つトランプ候補に票を食われて劣位に追い込まれたゆえの判断だと思いますが、個人的には残念という思いがします。米国南部にも、彼を惜しむ声があるはずです。

http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/20/jeb-bush-south-carolina-primary_n_9283642.html

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湾岸戦争を行ったブッシュ父や、強引にイラク戦争を始めたブッシュ兄と異なり、彼は穏健派で外国人にも理解があります。 彼の奥さんはメキシコ人で、家庭での会話は英語とスペイン語が半々だそうです。 あれっ?こんな話をどこかで書きましたね。そう、かつて駐日大使を務めたエドウィン・ワイシャワー博士がそうでした。日本人の妻ハナさんとは、家の中の会話が英語と日本語が半々だったとか。

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外国人女性と結婚するということ自体が、その人物が変なナショナリズムや閉鎖的志向とは無縁の人物であることを示していますし、外国語に堪能である・・ということは、米国では特別な意味を持ちます。

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英語を話すアメリカ人は、世界中、どこでも自国の言語で通すことができます。相手が英語を学び、英語を話す以上、自分は外国語を話す必要は無い・・という考え方です。アメリカ人にとっての外国語とはフランス語にせよラテン語にせよ、一種の教養であって、生活やビジネスなど実用のための必需品ではないようです。 そのアメリカ人が敢えて外国語を学び、家庭内の会話にも使う・・というのは、本当の意味で国際化を体現していると言えます。

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だから、私は外国語を学び、外国語を話そうとするアメリカ人を尊敬し、好意を持ちます。 そしてこれは、私だけの考えではないようです。 TVに登場する外人タレントが上手に日本語を話すと、それだけで好感度は高くなります。 正確には上手ではなくても、一所懸命日本語を話そうとする姿勢があれば、好感度はあがります。「マッサン」でエリーを演じた、シャーロット・K・フォックスがその代表でしょう。

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しかし、今回の大統領選の予備選挙では、どうも外国語に通じ、外国に理解がある事が、裏目にでました。トランプ候補の手先であるペイリン女史は、「アメリカに住むなら米語を話せ」と、暗にブッシュ候補を批判しました。

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メキシコからの不法移民やアジアからの不法滞在の外国人に手を焼き、不満を募らせているアメリカ国民の意識を汲み取ったトランプ候補は、外国人排斥や、アメリカ人から職を奪うアジアからの輸入制限を訴えています。 ルサンチマンを抱える大衆に対しては、「外国が怪しからん、外国人が悪い」という主張は、しばしば最も説得力があるのです。

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その延長上でメキシコ人を妻とするブッシュが槍玉にあがったということでしょうか。愚かなことです。

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挙句の果てに、トランプは、メキシコと米国の国境に高い壁を作ると言っています。勿論、これは比喩的な表現でしょう。長大なリオグランデ川沿いに万里の長城を築くことはできません。しかし、国境に壁を作るという表現自体、彼のセンスの無さを現しています。

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20世紀の時代、多くの人が壁の存在に苦しみ、壁をなくすことに、どれだけ多くの血を流してきたか、トランプ候補は知らないのでしょうか? ベルリンの壁こそなくなりましたが、イスラエルに隣接したヨルダン川西岸地区やガザ地区には新たな壁が築かれ、朝鮮半島の38度線にも、見えない壁が厳然として存在し、多くの人々を苦しめています。

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不法な移民や麻薬の密輸で米国が迷惑しているのは事実ですが、メキシコ人にも立派で尊敬に値する人はたくさんいます。友人にすべき人もたくさんいます。もう隣国の人々を侮辱するのは、止めたらどうか?

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ところで話は変わりますが・・・、不思議なことに、米国の大統領になるには、国籍以前に、米国で生まれたことが必要条件となります。カリフォルニア州知事として人気が高かった、あのアーノルド・シュワルツネッガーには、大統領待望論もあったのですが、だめでした。彼がオーストリア生まれだったため資格なしと判断されたのです。

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国家元首である大統領の場合、国籍や出生地に拘るのは、ある程度仕方ないかも知れません。それを以って、偏狭なナショナリズムとは言えません。しかし配偶者が外国人だからといって、大統領候補を排除するのはいかがなものか? ジェブ・ブッシュの妻がメキシコ人で何が問題なのだ? と思ったところで、もっと厳しい規定を設けている国を見つけました。

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あのミャンマーは、民主化され、大統領は選挙で選ばれますが、最も人気があり、ふさわしいとされるアウンサン・スーチー女史はなれません。 肉親(一親等の親族)に外国籍の人がいると大統領になれないのだそうです。ご承知の通り、彼女の亡くなった夫は英国人で彼らの子供は英国籍なのです。

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スーチー女史は、自分が大統領になれないことを理解した上で、何らかの形で国政に影響を与える方法を模索する・・と語ったとのことです。 これは即ち「院政をしく」ということに他なりません。・・・ 院政には様々な弊害があり、公明正大を旨とする民主主義の精神に反するものです。 かつて日本には、引退した元総理である田中角栄が、実質的に闇将軍として君臨して、国政を牛耳っていた時代がありますが、金権政治の横行等、多くの問題がありました。 彼女は院政の弊害を認識しているのか?

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大統領に国籍条項の縛りを設けることのプラス面と、その結果、民主主義が損なわれるマイナス面をミャンマーの人達がどのように判断するか、興味深いところです。

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米国やミャンマーの話をしましたが、国際結婚は日本でも普通になってきました。手元に資料が無いので正確には分かりませんが、外国人のお嫁さんを迎える日本人男性は確実に増えているはずです。彼らに、妻がメキシコ人であるために大統領選挙の予備戦で誹謗されたブッシュ候補をどう思うか・・・、訊いてみたいところです。更に言えば、100年前に日本人男性に嫁いだ国際結婚の先駆けである、竹鶴リタに感想を訊きたいところです。


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