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【 ホンダジェットについて思うこと その3 飛行機のトイレ 】 [航空]

【 ホンダジェットについて思うこと その3 飛行機のトイレ 】

日本経済新聞の記事では、ホンダジェットも含めたVL(ヴェリーライト)機の航続距離は2200Km程度で、ニューヨークとマイアミの間を飛べるそうです。ロンドン=ローマ間も飛べるそうですが、その持つ意味については語りません。私はこれではビジネス用途としては、全く不足だと思います。換言すれば、VLのカテゴリーに属するジェット機は趣味やレジャーのための飛行機で、本当のビジネスジェットではないということです。

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アメリカでビジネスマンが求める移動とは、”Coast to coast”つまり、東海岸から西海岸までです。もっと言えば、ニューヨークからロサンゼルスまで無着陸でなければ仕事に使えません。途中シカゴで燃料補給するくらいなら、航空会社の大型ジェット機の方が便利になります。そしてニューヨークとロサンゼルスの距離は約4000Km、ホンダジェットでは全く足りません。

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自家用機の世界最大の祭典であるオシュコシュのエアショーには毎年ホンダジェットが飛来し展示されますが、ノースカロライナのグリーンズボロからウィスコンシン州のオシュコシュまでの飛行は、ホンダジェットにとってはギリギリの距離です。藤野社長自ら操縦したのかどうかは分かりませんが、パイロットにとっては、嫌な距離です。

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それならなぜ、ホンダジェットの飛行距離を延ばさないのか?他のVLカテゴリーの飛行機には余裕が無いでしょうが、ホンダジェットの場合、余裕があり、もう少し主翼長を長くする・・つまり機体の幅を広くすれば、航続距離は伸びます。主翼延長の効果はさまざまにありますが、最大の効果は、翼内の燃料タンクを大きくできることです。

何も、他のVLカテゴリーの機体に遠慮して同じ性能にする必要はなく、ホンダジェットはCoast to coast がノンストップです・・と言えば、確実に興味を示す客は増えます。

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新聞記事には、航続距離に難ありとは書いてありません。これではただの提灯記事ではないか? そして新聞には、VLカテゴリーには珍しくホンダジェットは個室のトイレを設置しており、これは差別化できる特長である・・と書いています。なるほどね。

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実は、その経験を日本は50年も前に経験しています。 三菱が、当時ビジネス機には珍しいターボプロップエンジンを載せたビジネス機MU-2を開発して販売した時、アメリカで注目され、高い評価を受けました。しかし、強い要望も出されました。それは客室内にトイレを付けて欲しい・・というものです。そこでMU-2の次のタイプからはトイレが付いたそうです。ホンダジェットが初めてではないのです。

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なぜ、トイレを付ける要求がでたか?それは一言で言えば乗客の中に女性がいたからです。どうして三菱はトイレをつけ忘れたか?それはそれまで三菱は飛行機に女性が乗る事を想定していなかったからです。

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三菱がそれまで作ってきた軍用機などの飛行機は基本的に男性が乗るものでした。男性の中でも、特に“覚悟して飛行機に乗る人”が対象でした。一般人が電車に乗る感覚でお客として搭乗するものではなかったのです。乗客を想定した飛行機は、日本ではDC-3を国産化した旅客機が最初で、次は国産初の旅客機YS-11でしょう。それらには無論トイレはありますが、逆に言えば、それ以外は無かったということです。

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搭乗者が限られた男性だけなら、トイレは要りません。尾篭な話で恐縮ですが、ビール瓶とジョウゴぐらいがあれば、事足ります。 しかし女性が乗っている場合はそれでは済みません。

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ビジネス機はVIPやお金持ちの為のものですが、当然ながら女性も乗ります。 VIPの奥方が乗ることもありますし、女性秘書も乗ります。VIP自身が女性の場合もあります。そして飛行時間が2時間以上のフライトではトイレは必ず必要です。いや、30分以上のフライトとすべきかな?そのあたり、私にはよく分かりませんが、いずれにしても、MU-2MU-300もホンダジェットもトイレは必要です。 そしてそのトイレが個室である必要があるのは、言うまでもないことです。ちなみに日本の国産機で初めてトイレを備えた飛行機は川西の大型飛行艇である二式大艇だそうです。ただし個室ではなくオープンタイプだったそうです。

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実はトイレに困るのは、ビジネスジェットの乗客だけではありません。エアラインの旅客機を使う超肥満の人も困るのです。最近米国の旅客機では離陸前に客室乗務員が安全ベルトの延長ベルトを配ったりしています。偶然、私オヒョウと目が合ったりすると、私はすぐに目をそらして窓の外を見ます「確かに僕は太っているけれどまださすがに延長ベルトは必要ないぞ」と心の中でつぶやきながら・・・。

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肥満体の乗客の安全ベルトに気を遣うエアラインですが、トイレの狭さについては無頓着です。そして一定以上の肥満体の乗客には、狭い機内のトイレは使えないのです(オヒョウのことではありません)。 例えば相撲取りです。彼らはたまにハワイ巡業やパリ巡業に出かけますが。機内のトイレは狭すぎて入れない人もいるそうです。入れても出られない人もいるそうです。あるいは出られても、トイレ内でお尻が拭けない人もいるそうです。 だんだん話が汚くなって恐縮ですが・・。

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現役の相撲取りだけではありません。例えば、元大関のコニシキ、もう他界したけれど、トンガの国王だったツポウ4世などは、飛行機のトイレに苦労したでしょう。 そうなると長距離便の飛行機に乗る前は、減量中のボクサーと同じで、水分も固形物も口にできないことになります。 そうなると、ファーストクラスに座っていても、エコノミークラス症候群になるかも知れません。

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話が脱線しましたが、あえてビジネスジェットに乗る人はエアラインの飛行機ではいろいろと不都合があるから乗る訳です。 つまり、待ち時間が待てないとか、直行便が無いからとか、一般乗客と同じロビーで待つのが嫌だ・・とか、有名人で顔を知られているから嫌だ・・とかいう理由ですが、その中に普通の旅客機ではトイレが使えないから・・という人もいそうです。

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それなら、それを逆手にとって、大型旅客機よりずっと広いトイレを用意した飛行機を作れば、必ず需要はあるはずです。小型ジェット機ですから機内空間自体は狭いのですが、定員を犠牲にしてトイレに凝る・・というのもマーケティングとしてありです。

赤ちゃんのオマルみたいに小さな便器を載せて壁で覆い、トイレを設置しましたというのは、ライバルのセスナぐらいに任せておけばいいのです。

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そして日本には、旅客機のギャレーやトイレに関しては世界一のジャムコがありますから、相談に乗ってくれるはずです。横綱でも大丈夫なトイレ・・・のついたホンダジェットを作れば、そう、モンゴル辺りで売れるかも知れません。

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日経新聞の記者はホンダジェットにトイレが付いているだけで感心していましたが、それじゃ50年前のレベルです。そのトイレは顧客の要求を満たしているのか、改善の余地は無いのか?・・・を考えて記事を書くべきです。

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そして、そう考えていくと、ホンダジェットにはより大きく本質な問題・・というより希望があることが分かります。

それについては次号で


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黒岩 久雄

 ホンダビジネスジェットN420型機は、7人乗り航続距離2200
kmビジネスジェットとしても一番小型ですから、広いアメリカ大陸をフライトするのも不満だと考えていることでしょう。
 次期2号機は、15人から18人クラスのビジネスジェットの
計画がきっとあると思っています。ノースカロライナ州のホンダ
エアクラフトカンパニーのハンガーは、現在の3倍の大きいジェットが入る余裕があります。新規の型式証明は、大変です、よって
現在のN420型機のボディを延長し、主翼も大型化することを既に
検討している思います。将来の2号機が見たいです。
 将来的には、ホンダ製の旅客機に搭乗し、世界を旅行したいです。

by 黒岩 久雄 (2017-06-25 19:45) 

笑うオヒョウ

黒岩久雄様
貴重な情報をありがとうございます。ホンダジェットの長胴型の新型機に期待します。ぜひ私も乗りたいです。

旅客機の中で私が好きな機種は、ボンバルディアのCRJ100~CRJ700のシリーズですが、
これはビジネスジェットの定員を増やして旅客機に流用したものと聞いています。
大金持ちでも大企業の経営者でもない私が、ビジネスジェットに乗る機会はありませんが
ビジネスジェットを改造した旅客機なら、その機会もあります。 そういう訳で、ホンダジェットの改造型をどこかのエアラインが旅客機として採用してくれれば、搭乗する機会もできそうです。それに期待しますが、定員15人~18人クラスではむずかしいかな?

またのコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2017-06-26 12:35) 

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