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【 コンピューターは嘘をつくか? 】 [雑学]

【 コンピューターは嘘をつくか? 】

人間が娯楽として楽しむゲームで最も頭を使う高度なゲームは何でしょうか?ある人は、囲碁であると言いますし、コントラクトブリッジを上位に挙げる人もいます。将棋やマージャンも高度なゲームと言えますが・・・、囲碁と違って、将棋の世界ではもはや人間はなかなかコンピューターに勝てなくなっています。 そしてマージャンはどうしても運が作用するので、純粋な思考能力だけで勝敗が決まる訳でもありません。そうなると囲碁が至高の頭脳ゲームなのでしょうか?

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囲碁の世界では、まだ人間の方がコンピューターより強いようですが(といっても、このオヒョウはパソコンに勝てません)、でもこれは単に囲碁用のアルゴリズムが開発されていないだけで、それさえできれば、チェスや将棋同様、コンピューターの天下になってしまうでしょう。

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では、すべてのゲームで人間はコンピューターにかなわなくなるのかな? と考えると、そうでもないようです。日本経済新聞に面白い記事が出ています。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91486770Y5A900C1000000/?dg=1

この記事によりますと、コンピューターが人間に対して圧倒的に有利なのは、「完全情報ゲーム」だけだというのです。(新聞記事の繰り返しになりますが)、完全情報ゲームとは、相手の指し手(打った手)が全て公開されていて、過去のゲームの情報もふんだんに入手できるものです。そうなると膨大な記憶の蓄積と、膨大な計算量が勝負の分かれ目となります。そして、記憶量と計算量、計算速度の問題となると、人間は全くコンピューターには勝てないのです。 

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最近の将棋対局ソフトのアルゴリズムは、そのコンピューターの長所を最大限活かすようにできているらしく、非常に強いのですが、なんとなくつまりません。

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ある局面で、この手を指せば、この局面になり、その場合の駒損駒得は何ポイントで、この局面の勝利確率は何%・・というのは、人間の棋士も考えている事ですが、そればかりを計算して指してくるコンピューターの将棋は味気ないものでしょう。でも将棋が「完全情報ゲーム」であれば仕方ないことです。

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では「不完全情報ゲーム」ではどうか?というのが、この新聞記事のポイントです。つまり、相手がどの手を指したかが不明だったり、相手が嘘を付く場合もあるという「不完全情報ゲーム」では、格段に思考が複雑になります。 既存のゲーム対局ソフトのアルゴリズムでは対応できないでしょうし、ひょっとしたら現在のノイマン型のコンピューターには苦手な問題かも知れません。

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ゲームで対局者が嘘をついたり、シラをきる・・というものは、トランプに幾つかあります。「ダウト」が典型ですし、「ポーカー」も「ババ抜き」も「七並べ」もその種類のゲームと言えます。でもそれらは、初歩的で単純なゲームです。

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嘘をつくのが前提で、人を疑いながら推理するゲームとなると、「人狼」が筆頭でしょう。私はこのゲームをフジテレビの深夜番組で見て知りました。この遊びは、複数のプレーヤーがこっそり村人と狼に分かれ、互いに疑わしいプレーヤーを排除していって、狼が過半数になるか、村人が狼を全部追い出したら、勝ちになるというゲームです。

詳しいルールの説明は省略しますのでインターネットなどで、ご確認ください。

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フジテレビの深夜番組と言えば、かつては「カノッサの屈辱」や「トリビアの泉」など、ちょっと知的で、面白い番組がありました。最近はさっぱりだな・・と思っていたのですが、人狼を見て、これはなるほど・・・と思いました。 凡百のクイズ番組なら、タレントがわざとずっこけた解答を言ってバカにされ、視聴者の優越感をくすぐる・・というパターンも多いのですが、人狼は違います。真剣に番組を眺めても正解が分かりません。私はみごとに毎回正解を逃しました。

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タレントが参加する人狼では、彼ら/彼女らの表情や発言で誰が嘘を言っているか見破る事も可能です(タレントのキャラクターにもよりますが)。 しかし、これをコンピューター同士が行ったら、どういう結果になるのか?ポーカーフェイスもへったくれも無い中で、コンピューター同士が嘘を付き合い、そしてそれを互いに見破るというゲームが可能なのか? そもそもコンピューターは嘘をつけるのか?

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それはどうやら可能なようです。前掲の新聞記事では人狼をコンピューター同士に戦わせて、プログラムの優劣を判断しています。 (今時の東大の先生はこんな研究をしているのか・・)。 おそらくは単なる嘘ではなく、ここで嘘をつけば、こう進んで、こう有利になる・・と論理的に推論した結果、嘘をついた方が有利だと判断して嘘をつくのでしょう。 そして相手の嘘も同様の論理で見破るのでしょうが・・・、そう単純ではありません。 人間同様、裏をかく・・という方法があり、嘘の嘘、さらにもう一度嘘をつく・・ということになると、どの話を信用すればいいのか分からなくなります。今のところ、コンピューターに「人狼」をさせても、あまり強くないようです。

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まさに「不完全情報ゲーム」の難しさです。人間の場合、微妙な心理の「揺らぎ」で嘘をついたりすることがあります。 特に男女の間の嘘は心の「揺らぎ」の産物だと思います。読者諸兄のなかで、生まれてから嘘をついたことが無い方には、分かりますまいが・・。

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実は嘘をつくというのは、非常に高度な論理演算に基づいた挙動だと思うのですが、人間の場合、無意識に、または非論理的な判断で嘘をつくことがあります。でもコンピューターには「揺らぎ」がありません。疑似乱数を発生させて「揺らぎ」を再現することは可能ですが・・。

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「揺らぎ」が無く、裏の裏が読めないコンピューターが、海千山千の人間を相手に「人狼」をすれば多分負けるでしょう。ちょうど直球しか知らない野球少年がナックルボールを打てないようなものです。 でもコンピューターというよりAIがもっと発達して、普通に嘘を言うようになる時代が来るかも知れません。 多分、その時には、コンピューターが人間心理の裏を読み「人狼」でも勝つことになるでしょう。

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件の東大の先生が目指しているのは、「人狼」に勝てる、つまり、嘘をつき、嘘を見破るコンピューターなのでしょうか? そう言えば、SFには嘘をつくコンピューターが登場します。 その嚆矢は、「2001年宇宙の旅」に登場するHAL2000ですが、実に恐ろしいコンピューターです。 そう、HAL2000なら「人狼」に勝てるかも知れない。

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でも、何となく、嘘をつくコンピューターは嫌だな。 私に嘘をつくのは人間だけにして欲しい。 私が騙したい相手も人間だけです。 本当はどちらも嫌だけど・・・。


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