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【 ハリファックス事故の再来 】 [中国]

【 ハリファックス事故の再来 】

 

核爆発を除いた通常の爆発で、都市が見舞われた歴史上最大の爆発事故は、何時、どこで起こったものでしょうか? これはご承知の方も多いでしょうが、カナダのハリファックス港で1917年に起こった事故が、最大・最悪と思われます。

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ちょうど第一次大戦中、ヨーロッパ戦線へ弾薬を運ぶ途中の貨物船が、港の入り口で別の船と衝突事故を起こし、火災を発生した上、コントロールを失って、港の岸壁に衝突し、消火にあたろうとした消防士、岸壁に集まった野次馬、そして全く無関係な港町の市民を巻き添えにして大爆発を起こしたのです。

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詳しくは、下記のホームページをご参照願います。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E5%A4%A7%E7%88%86%E7%99%BA

この事故がさらに悲劇的だったのは、小さな街にあまりにも多くの怪我人が発生したため、救急医療が対応できず、むざむざ多くの人命が失われたことです。更には、冬季であったため、家が倒壊した下に残され、凍死した人もでたそうです。

犠牲者の数は、即死が約1500人、その後2,3日以内に死亡した人が約400人だそうです。

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しかし、悪いことばかりではありません。 この事故を聞いた米国のボストンから救援隊が駆けつけ、さらに多くの救援物資が届いたのです。 それが縁になって、ハリファックスとボストンは今でも友好関係が続いています(姉妹都市だったかどうかは失念しましたが)。 世界地図でみれば、ボストンとハリファックスはそう遠くではありませんが、実際の距離は1000Kmもありますし、第一外国です。今回の天津の大爆発に、福岡から救助隊が向かったようなものかも知れません。

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このハリファックスの事故と、今回の天津の事故の規模をそのまま比較することはできませんが、舞い上がった煙の高さからみれば、ひょっとしたら似た規模かもしれません。 爆発の規模を比較するには、燃焼した火薬や化学薬品の種類と、その量が重要な意味を持ちますが、今回の天津の事故は、当局がその情報を公開しません。

当局は、1回目の爆発がTNT火薬3T2回目が21Tと説明していますが、到底、そんなレベルではないと思われます。 第二次大戦でB29が落とした大型爆弾が1T爆弾です。 それが合計20数発分・・というのは被災範囲や爆心地の状況からみて、全く信用できません。 そうなると、やはり爆煙の高さで比較するしかありません。両者は多分同規模の爆発です。

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不謹慎な計算ですが、天津の爆発が、ハリファックス事故と同規模だと仮定した場合、被害の大きさの違いが不可解です。 人口5万人の小さな港街ハリファックスで死者が約2000人。人口1000万人を超える天津市で死者が100人程度・・というのがどうも引っかかります。天津の事故での犠牲者数は多分1000人を超えるだろうという、縁起でもない予想はそれなりに根拠を持ちます。

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ハリファックスだけではありません。世界では戦争や炭鉱の事故以外でも大爆発が発生し、多くの人が亡くなっています。そして、そのワースト10の中には、日本の事故も複数含まれます。例えば、終戦後間もない時期に発生した福岡県田川市の二又トンネル爆発事故がその一つです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E5%8F%88%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E7%88%86%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85

これは、旧日本軍の残された弾薬を占領軍が焼却処理しようとして、トンネルというより山ごと吹き飛んで、百数十人の人が埋まって亡くなったという事故です。

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ほかにも、悲惨な大爆発事故はたくさんありますが、そこには共通点があります。戦争用に準備した火薬・爆薬の扱いに誤りがあり、爆発してしまったという事例が多いのです(都市ガスのガス爆発はそうではありませんが・・・)。 ハリファックスも田川の例も戦争中または戦争直後に発生しています。

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そう考えると、天津の大爆発の原因物質についても疑問が湧きます。天津港のコンテナヤードには、本当は軍用の火薬がたくさんあったのではないか?

当局は火災を起こしたコンテナの内容物、または爆発した化学物質について、詳しく語りません。カルシウムカーバイドに水を掛けてアセチレンガスが発生して爆発した・・と言う意見もあれば、硝酸アンモニウムという爆発物そのものみたいな物質が爆発したという説もあります。(それにしても、カーバイドでアセチレンとは懐かしいです)。

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さらには猛毒の青酸ナトリウムが現場に大量にあって、青酸ガスが立ち込めている・・という物騒な情報もあります。これなどは、人を避難させ、近づけないための口実ではないか?とさえ考えてしまいます。

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そもそも、カルシウムカーバイドや、硝酸アンモニウムは普通のコンテナに保管したりはしません。1トン程度の円筒形の鋼鉄タンクをコンテナサイズの鉄枠の中に固定したISOコンテナを使用することは考えられますが、内容物は鋼鉄のタンクに封入されているので、それは水を掛けても問題ありませんし、火災にもなりません。

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やはり別の危険物が・・それも存在を公にできないものが置かれていたのではないか・・。 通常のコンテナだけであんな大事故は考えにくいのです。

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もう時効でしょうから、白状しますが、私は中国から危険物の輸入を考えた事があります。その品物とは、猛毒物質であるフッ酸です。万が一にもタンクから漏れれば、周囲の人は助かりません。 これは兵器として用いる毒ガスであるイペリット、ホスゲン、VX、サリン、タブンにも引けを取らない毒薬です。 (どうでもいいけれど、オウム真理教のお蔭で、我々はずいぶん毒ガスの名前に詳しくなりました)。

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ホタル石の一大産地である中国でホタル石を焼いてフッ化水素を取り出し、無水フッサンとしてタンクに入れて輸入しようとしたのですが、その扱いの難しさから挫折しました。 その検討の際、読んだ安全上の但し書きを覚えています。

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天津港から日本への積み出しにあたって、コンテナのタンクからの漏出がないか、厳密にチェックすること。もし漏出を確認した場合、対処しようとせず、速やかに逃げること・・と書いてありました。無水フッ酸を吸い込めば短時間で死亡しますし、水をかければさらに大変なことになります。

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結局、オヒョウの提案は実現せず、頓挫しましたが、代わりにごく限られた専門の商社が天津港から無水フッ酸を日本に輸出しています。特殊な技術のもとに、厳重な安全管理を実行したうえでです。 ああ、あの爆発の炎の中に、フッ酸のタンクがあったのだろうか? もし、あれば、付近は火災の後にも大きな災難を抱えることになります。この化学物質の恐怖は、ハリファックス大爆発や、田川の二又トンネル爆発では考えられなかった問題です。

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ここで私が期待するのは、中国の当局がつまらない秘密主義に走らず、被災者の医療や、火災の鎮圧、化学物質の中和・無毒化処理のために、外国の応援を仰ぐことです。特に近くにあって、救援活動を行う能力のある、日本と韓国に応援を要請すべきです。 カナダのハリファックスと米国のボストンは、悲惨な大爆発の後、友好関係を構築しました。 日本の緊急救助隊が天津に駆けつけても、日本と中国の関係が好転するかは分かりませんが、苦しむ被災者の助けにはなります。「禍を転じて福となす」能力と度量が中国の指導者に求められます。

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俗に「雨降って地固まる」と言うではありませんか・・。おっといけない、今回の爆発事故に水は禁物でしたね・・。


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