【上海の秋葉原を求めて】 [中国]
今回は、約 10年前に中の昆山市にいた頃、江陰仮面氏にお送りした私信を転載するものです。私信をブログに公開するのはいかがなものか?と思いますが、もう時効でしょう。登場するPCやWindowsのバージョンがあまりに古いので、驚かれるかと思います。
昨年、10年ぶりに、太平洋数碼を訪問する機会がありましたが、雰囲気はあまり変化していませんでした。ただ、お客も店員もかなり上品で落ち着いた雰囲気になっていましたが・・・。無論パソコンもOSも全て様変わりして、本文に登場する幾つかの事情も現在は通用しません。 そう言えば、パソコンも変化しましたが、人も変化しました。本文に登場するS氏とは、今も時々、お酒を飲みますが、お互い、かなり年をとりました。
【上海の秋葉原を求めて】
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私は、中国へは旧式の東芝のノートブックを持ってきました。東芝の海外仕様ノートPCであるTシリーズ(Portage)で、灰色のプラスチックのやや分厚い筐体に、英数字キーボードと小型の高精細TFT液晶がついています。
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これは、Windows3.1~95の頃の機械で、さすがに今ではそのままでは使えません。
CPUの速度を変更し、RAMを目一杯搭載し、ハードディスクも大型に交換し、そしてOSはWindows98SEに交換しました。
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今ではオリジナル部品は液晶画面とキーボードだけという有様です(CPUのクロック周波数を上げた際、筐体も熱変形したので交換しましたし、液晶のバックライトも暗くなったので交換しました)。機械そのものは非常に堅牢で今でも現役です。
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会社から貸与のシャープのノートPC(Mebius:Windows XPでCPUはアスロン)を主に、東芝のPortageをサブ機として使用していますが、出張時は小型のPortageの方が便利で重宝しています。
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しかし、いかんせんブロードバンド用としては、いかにも非力です。アパートにADSLが引かれた際に、ついに決心し、新たに中国でパソコンを1台、自作する事にしました(自作となるとデスクトップとなります)。そこで部品集めです。
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上海には日本の秋葉原みたいな街が複数あります。それぞれは秋葉原より小さく専門店ビルが2、3並ぶだけですが内部はかなり充実しています。私は特に、徐家匯にある太平洋数碼の一角が好きです。
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そこに行ってパソコンを買おうとした訳ですが、注意すべき事がたくさんあります。
1.デスクトップ型とノート型の価格差は、中国の方が日本より大きい。即ち、ノート型は割高、デスクトップは安い。
2.ノート型は日本メーカー、米国メーカーの製品が非常に高価で、中国メーカーのものは安価。韓国メーカーのものはその中間。 (中国製は、非常にデザインも優れているが信頼性が?すぐ壊れる?)
3.ペリフェラル(周辺機器)は日本より割高。特に、メモリーやデジカメは値段が高い。マウスなどはピンキリだが、安い物はセンスが悪い。
4.日本語仕様のパソコンを日本から導入するのは愚かです。当地で日本語仕様パソコンを購入するのは、もっと愚かです。現在のパソコンはどの国の仕様でも、日本語対応が可能です。ですから、ハードウェアには安い中国製を用い、日本語ソフトをそれにインストールして使用するのが合理的。 日本語キーボードは当地にはありませんが、英数キーボード(ローマ字入力前提)では困るという人はいません。
5.自作した場合、完成品よりかなり安価。これは、日本と異なります。日本では量産効果の影響が大で、大手メーカーの量産品(完成品)の方が、自作機より安価な場合も多いのです。この結果、日本ではPCオタクが自分でパソコンを組み立てる事は、実益を伴わない単なる道楽となってしまいました。
私などは、自作パソコンを家内に使わせていますが、故障などしますと非難の嵐を受ける事になります。いわく「素人が作るから故障するし、しかも値段も割高ではないか」と・・・・。 (厳密にはこれは正確ではありません。スペック的には市販品よりかなり高性能なので、コストパフォーマンスでは勝っているのです。(もっとも、家内はCADも3次元数値解析もしないので、**に真珠ですが)。
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しかし中国では、パソコンを自作することに立派な大義名分があります。但是、パーツを安く購入する能力があれば・・・の話ですが。
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数碼地区のビルの売り場に行くと、壁際の棚に製品が並び、部屋の中央に商談のテーブルがあります。そこで店員と客が口角泡を飛ばして大激論をしています。
即ち、 客は「もっと安くしろ。この価格では買わない」
店員 「安くはできない。代わりにオマケを付ける。或いは他のパーツとセットで買えば、値引きを多くする」
客「セットは不要だ。代わりにスペックを上げてグレードアップしたい」
店員「この構成で(安いチップセット、CPU)でビデオカードだけ高級化しても無意味。それならメモリーをもっと買え」
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つまり、客は少しでも出費を減らそうとし、店員は少しでも全体額を増やそうとするので議論は並行線です。 いよいよ掴み掛からんばかりの喧嘩腰になり、席を立って交渉決裂か・・・という瞬間に、双方譲歩して売買成立したりします。(見ている方には肩すかしです)。
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日本では、専門知識の無い客に、商品知識の豊富な店員がアドバイスして幇助するのが一般的ですが、当地では逆で、専門知識の量を競って、相手を言い負かし、少しでも有利な取引をしようというのですから、素人には辛いです。(オタクには好都合ですが)。
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それに加えて、商談に於ける、中国固有の交渉技術、中国語会話能力が必要です。こういう芸当はとても私にはできません。従って、本当に安い買い物もできません。恐らくは雅兄にも無理であろうと思い、当地でのパソコン購入をお勧めしませんでした。
しかし、今はS氏がおられます。Sさんの語学力と交渉力を用いればお得な買い物が可能です。
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私は結局、市販の完成品よりはかなり安く、しかし、当地のパソコンオタクよりは
割高な価格で部品を購入し、組み立てました。 雅兄には、パソコンに加え、webカメラの導入をお勧めします。無料で、IPによるTV電話ができるからです。
「TV会議なら、小倉と江陰で手軽にできる」と言うでしょうが、私が考えているのは
家庭間の日々の連絡です。
私のシカゴ時代は、国際電話でした(我が家にFAXはありませんでした)。
ロンドン時代は、既に電子メールがありました。
しかし21世紀の海外赴任者通信手段は、もはやIP方式のTV電話で決まりです。
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それから「日本語のOSやアプリケーションソフトはどうするのか?」というご質問については、「ここは中国です」と回答するしかありませんが、詳しくは別の機会にご説明いたします。
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