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【張家港の茜ちゃん】 [中国]

【張家港の茜ちゃん】

今回も10年前の中国の話です。ふざけた表現で、女性とのやりとりを書いていますが、実際の私はそんなに遊んでいた訳ではありません。 昔の自分の名誉のために少し補足しておきます。 

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私が昆山に赴任した時、古参(といっても私より若い)の中国人副総経理が私に言いました。

「中国の諺に、- 兎は自分の巣穴の近くの草を食べない - という言葉があります。 分かりますね?」私は何の事か分からずに「我不明白」と答えると、彼は突然中国語になって「也就是説、遊ぶのなら上海や蘇州の遠隔地で遊ぶ事です。昆山には部下の中国人の目があります。また、水商売の女性に自分の住所を知られるというのも禍根になります」

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しかしその後も、私はお酒を飲む時は、たいてい昆山の周辺で飲んでいます。

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前置きが長くなりましたが、私は張家港へは滅多に行きません。従って張家港で遊興にふける・・・という事も殆どありません。しかしこの前、ある接待で張家港で食事をして、その後KTV(包廂)へくりだす事になりました。そこで私が指名した小姐は驚いた事に、不完全ながら日本語を話しました。

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昆山と違い、日系企業も殆ど無く、日本料理店も少なく、日式カラオケも無い街でどうして?と思ったのですが、彼女曰く、「少人数ながら日本人が張家港に住んでいて、その人達の為に日本語を覚えた。張家港のKTV小姐では自分一人しか日本語を解さない(本当かね?)」

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彼女は顔もスタイルも良く、性格もよさそうでしたし、日本語が話せたおかげで、私はおおいにくつろげた訳です。彼女の名前は茜、または茜茜。

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但是、「あかね」ではなく「xi」です。勿論源氏名でしょうが、中国の女性の名前です。問題はその発音です。xishiとは異なりますが、カタカナで表すとやはりシーとしか書けません。私は比較的xiの発音は得意な筈なのですが、酔っている時は全くダメです。彼女に発音を矯正された訳ですが、KTVの薄暗い片隅で男女が「シー、シー」と言い合っているのは、奇怪な風景と言うべきです。そもそも、「x」には苦い思い出があります。

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以前、私がメキシコへしばしば出張していた頃、かの地で地名や固有名詞にxの文字が登場するのに気づき、「ラテン語系列のスペイン語にxの字は無いはずなのに何故?」と現地の人に尋ねると、驚いた風もなく、こう答えました。

「スペイン人が中南米に渡来した頃、原住民が話す言葉で、スペイン語には無い発音の単語については表記できず、やむを得ず、それらは、何でもかんでもxで記述してしまったのです。スペイン人のおおらかさとでも言うべきでしょうが、その為にスペリングにxが登場すると、綴りだけからは発音が推理できないという問題があります」。

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面白い事を聞いて喜んだ私は、出張から戻ると、当時の上司に得意げに説明し、「スペイン語ではxの字も発音も無くなったのに、xが未知のものや不可解なものを示す表意文字としての機能だけは残ったのですね」と言うと、シカゴ事務所長は「オヒョウ君の場合は、xの字も発音も無い。あるのは×(バツ)という記号とその意味だけだ」と意味不明な事を言いました。

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思えば、住金を辞めるべきは、本当はその頃ではなかったか・・・と思います。

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話が脱線しましたが、中国語のピンインくらい不可解なものは無いですね。東洋の言語が人為的にアルファベット表記を採用する時は、日本のローマ字の様に母音の発音が近いヨーロッパ言語を選択して、その綴りに倣った表記を取り入れると聞いているのですが、ピンインはどのヨーロッパ言語とも異なりますね。一部にドイツ語に近い母音があるから、ウンムラウトなども採用していますが、全体としてはドイツ語表記と全く異なりますし、私などは英語の感覚がこびりついているので、ピンインを読んで発音する事が全く苦手です。

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中学一年の頃、同級生が英単語をローマ字の発音で話すのを聞いて笑った事がありますが、その後35年たって、逆の立場で苦しんでいます。中国語会話の先生に、ピンインはどの国の言葉を参考にして作ったのか? と質問すると、「中国語は中国語です。アルファベットを用いるに当たって、他国を範とする事はありません」と中華思想を絵に描いた様な回答です。

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さて、私の発音を正してくれた、コケティッシュな張家港の中国語の先生は日本人客が少ない事に不満の様子です。そこで私が「私は昆山に住んでいて張家港には滅多に来ない。でも江陰には日本人の知り合いが何人かいて、彼らは張家港に来るかも知れない。紹介してあげよう」というと、喜んで電話番号を教えてくれたのですが、・・・・ その紙を落としてしまいました。なんと間抜けな事か。

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どうか江陰の若い兎達に勧めてください。「江陰の草を食べずに張家港の草を食べよ」と。但し、電話番号無しで茜ちゃんが見つかるかは不明ですが。


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兎子不吃wo辺草でしょうか?
好馬不吃回頭草、という諺もありますよ。
by お名前(必須) (2015-04-20 00:42) 

笑うオヒョウ

お名前(必須)様、コメントありがとうございます。
お名前はなくとも、だいたいどなたかは分かります。

好馬不吃回頭草は、私の大好きな言葉のひとつです。
その割には、昔ばなしが私のブログにはたくさん登場しますが・・。

またのコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2015-04-20 01:25) 

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