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【 中国の鉛中毒 】 [中国]

【 中国の鉛中毒 】

 

中国のある村で多くの子供たちが鉛中毒になり、いろいろな症状が明らかになって問題になっています。そこで面白いのは下記の新聞記事です。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140725/waf14072507000003-n3.htm

鉛筆の芯に鉛が入っているという都市伝説は、私も中学一年の頃まで信じていましたが、それが馬鹿馬鹿しい嘘であることは、友達に教えてもらいました。そして、それを今でも中国の共産党の幹部が信じているとは思いませんでした。いまだにマルクスレーニン主義を信じている(ふりをしている)共産党幹部だから、ありえないことではありませんが。

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中国では郷鎮単位(つまり、市町村単位)での重金属汚染がしばしば問題となります。これは、地元の特定の工場が重金属を含有する廃棄物を不法に投棄するからですが、カドミウムや鉛、水銀等の有害な金属も含まれ、公害病をもたらすことになります。

これらはすべて高度成長期に日本が経験したことです。そしてそれらを研究済みの中国では、当然廃棄物については厳しい法的規制が設けられ、違反者は刑事罰の対象になります。つまり・・対策は打たれているのですが・・・、そこは中国です。

法律でなく人が治める人治国家ですから、上に立つ人が無能だったり、賄賂で懐柔されたらそれまでです。中国では、特に地方にいくほど、行政のレベルが低くなります。人々の遵法意識も日本人や欧米各国ほど高くありません。中国の公害対策基本法や環境基本法に相当する法律は、まともに運用されているとは思えません。

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しかし、誤解を恐れずに言えば、郷鎮単位の公害問題は、まだ簡単です。原因の特定は容易であり、それを操業停止に追い込むか公害対策を実施すればいいのですから・・・。仮に行政が企業を庇っても、最近はインターネットを使って糾弾することができます。最悪の場合でも、住民がその村から引っ越せば被害を免れます。

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ところが、全国規模での重金属汚染・公害発生となると、穏やかではありません。

私は中国全体で困った問題が進行しているのではないか?と懸念します。それは国全体の有害物質の密封型のリサイクルシステムが機能していないのではないか?という問題です。具体的にはPCBを内包したトランスの回収とPCBの適切な保管・処分、蛍光灯や水銀灯からの水銀の回収、エアコンや冷凍機からのフロンガスの回収、自動車のバッテリーのリサイクル等です。

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特に問題なのは、自動車のバッテリーの回収システムです。読者諸兄もご承知でしょうが、自動車のバッテリーは鉛と希硫酸でできています。硫酸というのも甚だ物騒なしろものですが、鉛はそれ以上に問題です。日本の場合、自動車の廃バッテリーは適切に管理されて、希硫酸は中和され、鉛は回収されて再利用されます。しかし、中国はそうではないようです。

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中国は、かつてどの国も経験していないスピードでモータリゼーションが進行しています。自動車の生産、販売台数はうなぎのぼりです。それ自身は結構なのですが、新車の販売から、何年かの時間差をおいて発生する廃車の増加やスクラップの増加にまだ社会のシステムが追いついていない様子です。

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このことは鉄鋼業界に身を置く者には分かります。中国で登録・走行している自動車台数に比べて、スクラップの発生トン数が少ないのです。鉄のリサイクルシステムがうまく機能していないのか?

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そして、問題は鉛バッテリーです。以前、ある情報で、上海で大量に回収された鉛バッテリーが行方不明になっていると、聞いたことがあります。回収されたバッテリーは江蘇省常州市に送られリサイクルされるはずだったのが行方不明になったとのこと。これは想像ですが、寿命のきたバッテリーを中古品として再び売りさばく輩がいるのではないか? 中国ならありそうなことです。

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不良品をつかまされる消費者は気の毒ですが、バッテリーをリサイクルではなくリユースするのは適切ではありません。使い回す内に筐体が壊れたり破れたりして、液が漏れ出す可能性があります。一旦、非正規のルートに入ったバッテリーはやがて不法投棄される可能性が高くなります。その結果何が起こるか?周辺地域での広範囲の鉛汚染と住民の健康被害です。

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可能的には、上海などの大都会周辺の多くの場所つまり、江蘇省や浙江省で鉛公害が起こる可能性があります。

実際、中国では回収した鉛蓄電池の再生事業の動向が不透明であるという報道があります。

http://mric.jogmec.go.jp/public/current/12_38.html

それに加えて、中国ではスクーターや電動自転車用のニッカド電池が普及しており、その回収とリサイクルシステムが不透明です。こちらはイタイイタイ病の原因になったカドミウムです。

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さらには、中国の場合、鉛蓄電池用として毒性の高いアンチモンの需要が急激に増えていますが、その回収も実態は不透明です。

http://mric.jogmec.go.jp/public/current/11_56.html

隣国のことながら、心配なことばかりです。どれもこれも、中国の経済成長が急すぎて、静脈型の産業というか社会のシステムが追いついていないためです。

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その結果、子供達が鉛中毒に苦しむことになるのです。これは鉛筆をかじったのだろう・・と冗談を言っている場合ではありません。

もっとも、ナマリの問題なら昔からありました。オヒョウが勤務した江蘇省昆山市の工場で働く地元の人たちは、普通語(北京語)とはかけ離れた方言を話していました。私にはとても聞き取れません。福建省出身の同僚が苦笑いして言いました。

「オヒョウさんだけではありませんよ。僕だって聞き取れないのですよ。なにせ、昆山というか石牌鎮の人たちはナマリがひどいですから」


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