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【 中国の膨張指向 その1 】 [中国]

【 中国の膨張指向 その1 】

中国の尖閣諸島を巡る嫌がらせというか、挑発行動が、どんどんエスカレートしています。 日本での報道だけを見ていると、「なぜ今頃? なぜ根拠も無いのに執拗に? 」という疑問がどんどん膨らんできます。

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しかし、それらの疑問に対して、中国での報道を見ていると、なんとなく答えが見えてきます。

一番目に、なぜ今頃?という疑問についてですが、江沢民時代以来、実はずっと中国はこの時期を待っていたと言えます。 中国・・というよりシナが、いわゆる釣魚島の領有権を主張し始めたのは1970年代ですが、それ以降も日本が実効支配する尖閣諸島について、あまり騒ぎませんでした。

最高実力者の鄧小平が、問題の先送りを日本に提案した以上、彼の存命中に騒ぐ事はできなかったのです。

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その後、江沢民は、反日運動が、政府の不始末から国民の目をそらし、国家の団結を固めるのに有効だと気付き、朝日新聞などを使嗾して、さまざまな理由(靖国問題、教科書問題、南京虐殺、毒ガス遺棄等)で反日運動を扇動しましたが、その彼も、尖閣諸島問題には殆ど触れませんでした。

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しかし、胡錦濤の時代に、少し流れが変化しました。一つは中国のGDPの額が日本のGDPの額を超え、自信と優越感がかの国の人々に満ちてきたことです。

残念ながら、かの国は、対等・・という立場での付き合いが下手です。相手が自分より上だと思えば、卑屈なほどにへりくだり、相手が自分より下だと思えば実に尊大な態度にでます。 人々の間でもそうなのですが、国家間ともなるとさらにそうです。

ちなみに私が尊敬する中国人とは、須らく対等の立場で付き合う術を心得ている人達です。 中国は国家として日本を軽く見だしたのです。

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そして、もうひとつ、中国が尖閣諸島問題で強硬になりだした理由があります。人民解放軍の懐柔の必要性です。 中国での政権交代は、いわゆる禅譲などというものからほど遠く、権力争いの醜さの塊りです。 そして政権を譲る側は、行政権を手放しても、人民解放軍を掌握する権力はなかなか手放さないのです。

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国家主席の地位に就いても、人民解放軍を掌握できなければ、権力としては中途半端です。 かつて、戦前の日本で、陸軍が統帥権の干犯などというデタラメな理由で内閣に陸軍大臣を出さず、内閣を成立させないという事態がありました。結局内閣は陸軍に阿ざるを得なくなり、最後は陸軍に内閣そのものを乗っ取られ、無謀な戦争に突き進んだ訳です。そのため、戦後の日本ではシビリアンコントロールが重要な規範になっています。 実は中国も同じことです。

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胡錦濤も軍隊を掌握するのに苦労し、人民解放軍のご機嫌を取らざるを得ない面があります。中国の軍事費は、過去10年間、GDPの伸び率を上回る比率で増加しており、物価などを考慮し、兵員の待遇などを勘案すると、実質的に米国を上回るレベルと言えます。 経済成長が持続するこれまでの中国ならなんとか対応できましたが、これからは、難しいかも知れません。

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その人民解放軍の制服組は常に勇ましい・・というか無茶なことを言います。

諸外国との関係や国際社会での自国の立場などを無視して、太平洋の西半分を中国が管理するといったり、日本には先制攻撃で戦争をしかけろ・・とか、新聞を通じて発表します。

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それに加えて中国の軍隊は、国是として膨張主義を指向します。他国を攻め、領土を増やす事は、無条件に善である・・という19世紀的な考えです。 どこの国もそうだ・・とは言いませんが、軍隊の制服組とはテクノクラートとしては優秀ですが、視野が狭く、外交や国政を委ねてはいけない存在です。 唯一、日本の自衛官の幹部は、視野が広く、総合的に物事を判断できる存在かも知れません。これがシビリアンコントロールのおかげなのか、それとも一人ひとりが優秀なためかは分かりませんが・・。

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一方、中国の軍人は、ロシア以外との交流は少なく、外国の事情に暗い人が多いようです。 普通、先進国の軍隊の将校は英語を話せます。話せなくても、読み書きぐらいはできます。しかし、中国の軍人は中国語しか話せません。 内外の事情に暗く、一方的な拡大主義を是とする好戦的な軍人(日本ではこの手の存在を猪武者と言います)を相手にしなければならない、胡錦濤も習近平も大変に違いありません。

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政権交代の際に、毎回必要となる人民解放軍の懐柔のために、尖閣諸島問題で日本に強く出ねばならない環境ができてしまったのです。

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日本では石原前都知事が、尖閣諸島を都が買おうとしたのが発端だとか、野田前首相が国有化したのがきっかけだという意見がありますが、それらはデタラメです。

どの問題についても、原因は日本にある・・としたい一部のマスコミがリードする意見であり、現実には、石原・野田が行動を起こす前から、中国人活動家の上陸騒動や、偽装漁船の巡視船衝突事件があったのは、多くの人が記憶するところです。

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二番目に、なぜ尖閣諸島が対象なのか?・・という疑問がありますが、この回答も容易です。 回答を一言で言えば、尖閣だけでなく、膨張主義の中国は多くの周辺諸国と領土問題を抱えていて、日本の尖閣はその一つに過ぎないということになります。

一説には、尖閣諸島付近の海域で石油の埋蔵が確認されたから・・という意見がありますが、そうではありません。中国は石油の取れない地域でも、領土問題を起こしています。

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下の写真は、昨年10月に発行された中国の週刊誌の表紙ですが、中国の直面する領土問題として、対ロシア、対韓国の問題を取り上げ、日本の尖閣は3段目に書かれています。 

中国国家地理04s.jpg 

中国は、領土問題は対日本だけ・・という具合に訴え、日本のマスコミもその論調に乗っかりますが、それは正しくありません。 中国にとってはその方が日本に圧力をかけられますが、日本は逆に、中国が揉めている相手は、日本だけではないのだと認識して取り組むべきです。確かに、日本に対して特に強硬な手段にでているのは事実ですが、それは中国にとって、日本が一番弱く、くみしやすい相手だとなめられているからです。

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ところで、この中国で発行されている週刊誌の表紙ですが、これは合成写真で正しいものではありません。 写真では尖閣諸島のすぐ近くをソブレメンヌイ級と思われる中国の軍艦が遊弋しており、日本の船は見当たりません。中国は国内向けには、既に尖閣諸島の日本の勢力を蹴散らし、中国が支配下に置いていると報道しています。

実際には、中国は軍艦を接近させることはできず、監視船が領海内に時々入るだけで、島は日本の支配下にあるのですが、嘘をついた以上、表紙の写真も捏造せねばならないのです。

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国民に対して平気で虚偽の報道をするとは悲しい国ですが、中国でもインターネットに通じている情報強者は、その嘘を見破っています。しかし、大半の情報弱者は中国政府は無敵で日本から尖閣を取り上げた・・と錯覚しているのです。

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尖閣問題の背景には、普通に虚偽報道をする中国政府の姿勢もあります。

以下 次号


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夏炉冬扇

今日は。
いゃー、面白く読ませていただきました。
なんでも知ってらっしゃるなぁ★★★
by 夏炉冬扇 (2013-01-21 12:41) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇様 コメントありがとうございます。

時間がなくて、更新がままなりませんが、本件、続報をお書きしますので、ご一読いただければ幸いです。
by 笑うオヒョウ (2013-01-22 03:02) 

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