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【 医療ビザと医療のグローバル化 】 [雑学]

【 医療ビザと医療のグローバル化 】

日本医師会は、日本での診療行為を求める外国人向けの医療ビサの発給に反対する見解を表明しました。観光ビザでは対応できない長期滞留型の治療に対応するには、専用のビザが必要であるとして考案された医療ビザですが、医師会は「それでは日本人への医療がおろそかにされる」と反対したのです。

http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20101222_1.pdf

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これは全くオヒョウには意外でした。 日本医師会は基本的に開業医の経営をサポートし、彼らの収入を保証するために活動しています。かつて武見太郎は日本医師会を「学術団体」と言いましたが、論文をまとめた雑誌も発行せず、学会も開かず、政府に圧力をかける団体が学術団体とは、聞いて呆れる・・と思ったものです。

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それはともかく、開業医の収入と経営を最優先に考える団体であれば、患者の数が増え、実地医家(開業医)にとっては事業機会の増大をもたらす医療ビザに、どうして反対したのでしょうか?

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彼等は本当に日本国民の事を考えて海外からの患者の殺到を憂慮しているのでしょうか?

実際には多くの事が考えられます。日本の医師は圧倒的に不足しています。 その上、彼等は都会に偏在しており、医療過疎地で受けられる医療サービスは、先進国とは思えないほどです。(ここで言う先進国とは、北米、西欧、シンガポールなどです。オーストラリアなどは含みませ)。

しかし、この医師不足と偏在は、ライバルの増加を恐れる医師会自身が医学部定員を抑制するよう国に圧力をかけた結果です。

都市への偏在は、都会で快適な生活を送りたいという、医師とその家族の個人的な欲求を、医師としての社会的使命に、優先させた結果です。

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だから、日本人が十全な医療サービスを受けられない理由は、医師会側にある訳で、彼等が日本人への医療がおろそかになるとして外国人患者に反対するなら、自らの非を悔い改めるのか?と少々驚く訳です。

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医師や医療関係者の社会的使命・・という点についても多くの議論があります。 今、一人の医師を養成する為に莫大な税金が使われています。

国公立の医科大学や医学部は大変な赤字であり、横浜市ほどの規模の自治体でも、市立大学の医学部経営は頭痛の種です。 高額の入学金や授業料を要する私立の医学部でも、文科省からは多額の補助が出されています。 だから、日本の医師は税金で育てられたと言ってもよく、彼等は、まず日本国民の診療にあたるべきだ・・という考えは成り立つのです。

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しかし、医師会の本音は別のところにあるようです。

本当は、日本の医師はグローバル化を恐れているのではないか?

日本の先進医療技術の水準は米国についで世界のトップクラスだと言われます。また貧富の差なく、誰でも最高水準の医療サービスを受けられる点でも、日本は世界に冠たるシステムを持っています。

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でもオヒョウには日本の医療が最高とは思えません。

権威主義的で閉鎖的で封建的な医学界、患者が主人公ではない医療機関、薬の処方で儲ける仕組みの見せかけだけの医薬分業、仲間内でかばいあう医療ミスや医療過誤等々 問題だらけです。

日本で本当に良質な医療を受けられるのは、一部の恵まれた人だけかも知れません。

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評論家の大前研一氏は、病気になったら、海外で治療を受けようと提案しています。これまでは日本では不可能だった小児の臓器移植治療などだけが、医療目的渡航の対象でしたが、これからは違います。 インドやクウェートの先端医療の水準は先進国並みであり、円高の今日、日本から出かけると、割安で高品質の医療が受けられるのです。もっとも、これが可能なのは、病身で海外へ旅行する事が苦にならない人、病床での英語の会話に不自由しない人・・・に限られるので、誰でもできる訳ではありません。

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いずれにしても、医療サービスのグローバル化は、進みつつあります。日本から海外へ患者がでかける一方、海外から患者が来日する事だってあって当然です。・・いや患者だけではありません。 健康な人の人間ドックでも、信頼性の高い日本での検診を希望するアジアの人が多いのです。

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能登半島のある大きな医療法人では、ガンの精密検診用にポジトロンCTPET)を導入しましたが、採算を考えると、全国からガン検診の受信者を集めなければなりません。 そこで和倉温泉の老舗旅館と提携し、温泉旅行だか人間ドックだか分からないツアーで人を集めています。

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ちなみに中国人も日本の温泉が大好きです。また中国でPETの検診を受けようとしても機会がありません。だから中国の富裕層は、日本に旅行してガンの精密検診を受け、そして温泉に浸かるという極楽旅行を夢見ています。 能登の医療法人は、まさにその中国人のニーズに合致しているのです。

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それなのに、医師会は外国から患者が来ることに反対しているって?どうしてでしょう。やっぱり腑に落ちません。どうして、医師会は外国に対して閉鎖的で内向きなのでしょうか?

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ひょっとしてグローバル化によって、日本の医療の世界が旧態然としていて閉鎖的なのがばれるのを恐れているのでしょうか?医師は遅れた国にいくほど、尊大にふるまいます。先進国になるほど、現場は患者本位になり、医師は患者と対等の目線で会話します。

日本医師会は、日本の医療現場が遅れている事や、時代錯誤的な医師の態度が非難される事を恐れているのかも知れません。

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まさかと思いますがありうる事です。かつてオヒョウのドイツ語の先生は、医者がカルテに書いたドイツ語がひどく古めかしい表現である上に、綴りが間違っていたと笑っていましたが、ドイツ人の患者を警戒する医師もいるのかも知れません。 

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もうカルテは電子カルテの時代ですし、綴りのミスは自動修正されます。

おそらく医師がカルテに書く文章も英語でしょうが、外国人の患者の時は日本語のカルテの方がいいかも知れませんね。恥をかかなくて済みます。




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