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【 仙谷由人に於けるフライバイ・アノマリー 】

【 仙谷由人に於けるフライバイ・アノマリー 】

最近、新しい職場での仕事が猛烈に忙しく、ブログをしたためる時間がありません。更新がしばしば滞っておりますが、どうかお赦しください。 余裕ができたら、以前の更新頻度に戻そうと思いますが、暫くは、今の状態が続きそうです。

先日、あるメルマガでアノマリーという言葉を見ました。ずっと忘れていた単語です。ご存知でない方に申し上げますと、これは統計・調査の際の異常値の事です。あるいは予測と異なる説明困難なデータの事です。

あるデータをグラフ化した時に、本来正規分布に沿うはずなのに、大きく外れたところにプロットがあったり、不可解な集団があったりすると、アノマリーという事になります。

かつて、K大学商学部で入学試験問題が漏れて、不正入試が行われた際、得点分布にアノマリーが現れて、事件が発覚しました。

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オヒョウの学生時代の恩師は、実験結果に異常値や予想外の値が出現すると喜ばれました。 もし新しい現象が発見されたのであれば、論文が何本も書ける新しい研究テーマになりますし、もし実験のミスであれば、それはそれで学生にとって貴重な経験になるからです。

アノマリー(異常値)を忌み嫌ったり、ネグレクトする人は研究者としてはだめなのでしょうね。

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ところで、アノマリーで最も有名なのは、フライバイ・アノマリーかも知れません。これは、高速で飛ぶ人工天体が地球のそばを通過し、その重力を利用してさらに加速する方法 つまりスウィング・バイで現れる現象です。具体的には、通過した後の進行方向や速度がマチマチで、正確に予測できない・・あるいは予測値から外れる事を示します。宇宙空間では、運動エネルギーと運動量は非常に正確に保存されますから、単なる誤差と片付けられないのです。

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なぜフライバイ・アノマリーがあるのかは不明ですが、オヒョウはなんとなく、月やその他の天体の引力も関係して複雑な重力バランスになるため、予測が外れるのではないか?と考えています。いわゆる多体問題では解析的な厳密解を得るのは困難です。 もっともこの現象は世界中の物理学者が研究して結論がでていない話ですから、オヒョウごときが簡単に推論を述べるのは、僭越の極みなのですが・・・。

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フライバイ・アノマリーは宇宙工学の問題ですが、実際には地上にもフライバイ・アノマリーはあります。 一人の人間の思想の変遷は一種の人工天体の軌道になぞらえる事ができます。若い頃に特定の思想に接近し、強く影響を受けながら、成人するとそれを離れ、全く異なる方向へ進む人がいます。 人生のフライバイ・アノマリーです。

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学生時代に、中国の毛沢東主義に染まった人はたくさんいます。かつて日本共産党には、中国共産党と共鳴した人がたくさんいます。ちょうど巨大な惑星に接近した人工衛星みたいなものです。野坂参三、徳田球一、伊藤律などで、徳田球一と伊藤律はその引力により、中国に落下したとも言えます。

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その後の文化大革命の時期は、かの国からの工作もあり、かつ既存の共産党にあきたらない青年も多くいた事から、反代々木系の新左翼が多く誕生しました。 社会主義同盟(フロント)もそのひとつです。官房長官仙谷由人は学生時代そのメンバーであり、東大紛争では弁当運びをしたそうです。

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今、彼は、表向きは、自衛隊を認め、国旗に敬礼します。成田空港も認めています。しかし、社会主義同盟時代は、自衛隊を認めず、国旗・国家を認めず、成田空港は廃港にすべしとの主張でした。どこでどう変化したのでしょうか? 

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若い時代の思想から変化する事を、ある人は転向と言います。ある人は変節と言います。ある人は堕落と言います。 しかし、多くの人は自分の変節を口にしません。 成田空港を廃港にするためには、殺人もいとわないと言っていた人が、普通に成田空港を利用します。過去の言動には口をつぐみます。

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しかし、仙谷由人は違います。

民主党が政権をとれば「文化大革命だ」と、今時恥を知る大人なら決して口にしないセリフをポロリと出します。自衛隊を「暴力装置」と言ってしまいます。尖閣諸島衝突事件の犯人である無頼漢で酔っ払いの船長にも、彼が中国人だから、この上ない敬語を用います。一方で日本人の野党議員には品性を疑う下品で野蛮な言葉で恫喝します。かつて江戸時代、中国を尊敬するあまり、自らの名前を中国風に改名した頼山陽という学者がいましたが、彼も、そのうち中国風に改名するかも知れません。

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中国を尊敬し北朝鮮を愛し日本を憎む彼は、青年時代から主義思想が変化しない稀有の人なのです。 中国共産党の巨大な引力に接近して、フライバイする予定が、周回軌道に入ってしまったかのようです。

ですから、日本の国益が大きく損なわれる可能性がある尖閣諸島衝突事件でも、彼はまず中国の立場を慮って、ビデオの隠蔽を指示してしまうのです。それによって、日本国民の怒りを買う事などどうでもいいのです。

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しかし、その彼も国民の支持を得る為なら、自分を偽らざるをえません。北朝鮮の砲撃に対しては「満腔の怒りを感じる」と発言しています。 社会主義同盟あるいは社会党時代の彼にとって、最も親愛なる国は北朝鮮だったはずですが、そこはオクビにも出しません。彼の発言が信用できないのは、その一点に尽きます。

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無論、彼だけではありません。 多くの団塊の世代の人々は学生運動をし、左翼思想に染まり、社会人になって転向しています。 そして団塊の世代が社会の中心だったこの15年は、日本にとって暗黒の停滞した時代でした。 経済は停滞して失業者は増大し、アジアの中での日本の存在感は希薄になり、子供たちの学力はゆとり教育で低下しました。

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仙谷由人に代表される団塊の世代、つまり中国の横をフライバイした世代が今さまよっています。 かつて、高橋和巳は小説“我が心は石に匪ず”で、等しく教育を受け、似た環境で育っても、人々の思想・信条が、一人ひとり異なるのは、なぜだろうか?・・と語っています。 青年時代または少年時代に、ある思想の洗礼を受けても、大人になってそれぞれに変化するのは、一種のフライバイ・アノマリーかも知れません。

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今年おそらく更迭されるであろう、この官房長官は、今でも自分が正しく、何時か国民に理解されると夢見ています。しかし、オヒョウには彼の振る舞いは喜劇にしか思えません。

フライバイした人工天体は、アノマリーによって進行方向にバラつきが生じます。しかし、どのコースを経るにせよ、漆黒の闇の中を進むしかありません。 仙谷由人の進む道もまた暗闇であると、オヒョウは思っています。




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コメント 4

夏炉冬扇

明けましておめでとうございます。
今年もよろしく。
政治もしっかりしてもらわないと…
by 夏炉冬扇 (2011-01-06 08:16) 

wolfy

オヒョウ様
明けましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。
今回話題の方は、自分は若い時からの体力知力を年とった今でも現状維持していると勘違いされているのでしょう。
でも、私は「体も頭も進歩か後退かのどちらかしかない」と教えてくれた恩師の言葉を信じます。
by wolfy (2011-01-06 09:26) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇様 あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。 晴耕雨読を実践され、一方で地域社会に貢献して平穏な日々をおくられる夏炉冬扇様の暮らしは、私にはひとつの理想であり人生の灯火でもあります。 今年もブログを愛読させていただきます。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2011-01-07 02:22) 

笑うオヒョウ

Wolfy様、あけましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いいたします。

あの官房長官の振る舞いには、一種の滑稽さを感じる事があるのですが、
特に、奇異に思えるのは、年齢とは不一致の、白髪が一本もない、黒ぐろとした頭髪です。 しかし、彼のエネルギッシュな発言を見ると、単なる若作りではなく、自らの若さを確信している人物のようですね。 それが危うさを感じさせるのかも知れませんが、ある意味、オヒョウも学ぶべきかな?と考える時もあります。 またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2011-01-07 02:27) 

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