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【 王様の病 】 [医学]

【 王様の病 】

 最近、ある人から郵送された書類は、ビニールのケースに入っていました。ふと見ると、そのビニールケースは萬有製薬のもので「ジャヌビア」と書いてありました。気になって調べてみると糖尿病の薬の名前です。そう言えば、最近、糖尿病に関する報道が多いな・・と思っていたところ、1114日は、世界糖尿病デーだったのだそうです。そんな日があるとは知りませんでした。

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かつて昭和の時代、オヒョウが子供の頃に、贅沢病と言われた病気が2つあります。糖尿病と痛風です。どちらも豪華な食事と運動不足(労働不足)が原因とされ、それらにかかってもあまり同情してもらえない・・という雰囲気がありました。

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しかし、最近では、この2つの病気を贅沢病とか、王様の病気とか言わなくなりました。 これは社会全般が豊かになり、痛風や糖尿病をもたらす食生活が決して特別なものではなく、あたりまえになってきたことや、生活習慣病に関する認識が改まり、単純に美食家がなる病気であるという考えが間違っていた事が知られてきた事によるものと思います。

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オヒョウ自身も、自分がいろいろな病気に対して無用な偏見を持っていた事を理解しました。

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例えば、痛風・・。痛風は尿酸値が高くなると発症するという事で、その尿酸値を上げるのがプリン体と書いてあります。そして、肉類、フルーツ、フルーツジュースにビールが尿酸値を上げると書いてあります。そう聞くと、なんだかレストランでナイフとフォークで食べるごちそうを思い浮かべますが、実際は豪華とも言えない普段の食事と密接に関係しています。 例えばイワシです。イワシを食べると尿酸値が上がり、痛風の危険性が増すと書いてあります。イワシといえば、庶民の魚の代表であり、オヒョウの好物でもあります。

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かつて、東芝とIHIの経営を立て直し、国鉄民営化を断行した土光敏夫もメザシが大好物で、メザシの土光として、彼が庶民派であった事を象徴する食べ物とされています。 また昭和の末期、つまり昭和天皇が御不例の時、陛下がイワシが好物だと聞いて、驚いた事があります。高貴な方から庶民まで幅広くファンがいるイワシが、痛風の原因になるなんて・・。痛風をお金持ちや美食家の病気とするのは、間違っているようです。

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糖尿病も・・・いろいろ社会学的に研究する余地がありそうです。経済発展著しいインドでは、糖尿病患者が激増しているそうです。http://dankaisedai.iza.ne.jp/blog/entry/471788/http://www.dm-net.co.jp/calendar/2008/02/006710.php

この問題について、解説する記事は多いのですが、その原因解析はバラバラです。ちょっと見ただけで、下記の通りです。

1.インド人はカレーを食べるから糖尿病になる。

2.インド人はカレーの様に辛いものを食べるから、その分、デザートやお茶は甘くして糖分を過剰に摂取する。

3.インド人は油をたくさん摂取するからだ。

4.インドでは太っている事への嫌悪感がないのが原因。

5.インドでは経済成長によって、移動手段が機械化され、運動不足になった結果、糖尿病になり易くなった。

6.インド人は菜食主義者が多いから糖尿病になりやすい。

7.インド人はもともと民族的に糖尿病になりやすい。

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どれも首を傾げる議論です。ご存知の通り、糖尿病には2種類あり、インスリン依存のⅠ型、非インスリン依存のⅡ型に分かれます。

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食習慣や運動不足が原因ならⅡ型が主体ですが、遺伝的に糖尿病になり易い民族だという説ならⅠ型です。どちらがインドで増えているかといえば、Ⅱ型です。でもカレーを食べたら、糖尿病になるというのは本当でしょうか?もし本当なら大変です。オヒョウはカレーもイワシも肉も好きですから、糖尿病と痛風の両方になりそうです。

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オヒョウは、インド人=カレーというステレオタイプの発想が、このカレーが原因という仮説を生み出しているのではないか?と思います。その証拠にあまりカレーを食べない中国でも、糖尿病が激増しているのです。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0326&f=national_0326_016.shtml 

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人口でも経済成長率でも、世界一を争う、中国とインドで揃って糖尿病が激増しているという点が面白い・・・と思います。そして、両国に共通するのは、ほんの30年前まで餓死者がでていた飢餓の国だった事です。 それが経済発展に伴い、急に飽食の時代に突入したのです。

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どうやらⅡ型の糖尿病については、単純な美食ではなく、かつて飢えていて栄養不足だった人々が急に糖分摂取を増やしたり、高カロリーの食事を摂るようになった時に、増加するようです。インドや、中国の例を見ると、その影響は、2世代に及ぶようです。つまり、親が栄養失調だった場合、子供が糖尿病になるようです。なんとも親の因果が子に報い・・という話ですが、NHKも同じように考えて、飢餓世代の後の子供に糖尿病が多いという説明をしています。

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そして、戦争で一時的に栄養失調を経験した親の子供たちが糖尿病になるという、仮説を説明しています。具体的には、第二次大戦中、深刻な栄養不足に見舞われたオランダの戦後世代で糖尿病が多い事を例にしています。 しかし、オヒョウは個人的には、それだけで戦争中の一時的な飢餓とその後の世代の糖尿病との関係を議論するのは牽強付会ではないかと思います。

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なぜなら、第二次大戦の欧州戦線の食糧不足は、20世紀の戦争飢餓の中では、まだ軽い方であり、もっと広範囲で長期間続いた飢餓について検証しなければ、説得力が無いと思うからです。

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20世紀の戦争で、最も飢餓が著しかったのは、ナイジェリアの内戦です。独立を目指したビアフラ地域が、兵糧攻めにあい、多くの餓死者を出しています。ナイジェリア自体は産油国であり、基本的な生活水準は比較的に高く、内戦終結後は、栄養失調から開放されています。しかし、ビアフラで、その後糖尿病が増加したという報告はありません(報告がないだけ?)。 また第二次世界大戦の飢餓は、ロシア(ソ連)戦線やアジア太平洋戦線の方がひどかったとされています。また枢軸国側の方が連合国側よりひどい飢餓を経験していますが、旧ソ連、ドイツ、日本で、戦後、糖尿病が急増したという報告はありません。 実際には、戦後世代に糖尿病が現れるのは、戦後40年以上経ってからですから、戦時中の食糧不足と糖尿病の関係を検証するのは難しいと、オヒョウは考えます。

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戦争中の一時的な飢餓は除外して、ある国家や民族の栄養状態がよくなったタイミングで、Ⅱ型糖尿病が多発するとするなら、日本の場合、その分岐点は何時だったでしょうか? 日本では江戸時代までは餓死者がでました。 飢饉から開放されたのは明治時代です。その頃に糖尿病が多発した可能性がありますが、資料がありません。当時、糖尿病はあまり知られていなかったようです。一説には、明治天皇崩御の原因も糖尿病だったとされていますが、確証はありません。

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いずれにしても、飢えを経験した親が、子供だけはひもじい思いをさせまい・・と育てた結果が糖尿病なら、これは悲劇です。親の思いはともかく、今のオヒョウが痛風や糖尿病にならないためには、肉、魚、フルーツ、甘いもの、ご飯などの摂取量を減らすしかありません。

そういえば、アメリカの諺にあります。「世の中のすばらしいものとは、全て禁じられているか、不道徳か、食べると体に悪い」


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