【 ジャンケンより先に殴り合え その２ 】

【　ジャンケンより先に殴り合え　その２　】 

昭和の時代、関西圏に伊丹の他にもう一つ空港を・・という提案は早くからありました。　なにせ、伊丹空港には問題が多くあります。 

1．空間的制約

伊丹空港は生駒山方面からのアプローチの空間が狭く、パイロットには難しい空港です。一説には香港の古い空港（啓徳空港）なみだと言われています。その為に一度はジャンボ機が尻餅事故を起こしています。その時の杜撰な修理が原因で、その機体は後に御巣鷹山で墜落しました。　

あの悲劇の遠因には伊丹空港付近の地形問題があったのです。　　 

2．騒音の問題

アプローチコースがそのまま市街地の上空なので騒音問題もひどいとされています。実際、豊中にあった大阪大学などはやかましかったろうと思われます。　新大阪駅のホームにいてもやかましいのですから・・・。 

3．アクセスの問題

伊丹は交通の便もあまりよくありません。最寄りの駅は、阪急電車かな？　オヒョウは梅田からバスで空港に行こうとして、高速道路の渋滞に巻き込まれ、飛行機に乗り遅れた事が２度あります。　だから最終便を予約するのは危険です。もっとも空港自体は、都心に近く、短い鉄道や道路をつくればいいだけですから本質的な問題ではありませんが。

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上記の事情から、早晩、伊丹空港を移設するか、他に新設する必要があったのです。新空港は、神戸沖か、泉州沖かで、揉めました。新しい空港は当然ながら、１箇所で十分です。だからどちらにするかで議論がありました。

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神戸市民の中には当然ながら、騒音問題にかこつけて神戸沖案に反対する人がいました。試験的に神戸市の上空を旅客機がローパス（低空飛行）して騒音値を測定した時、反対派の主婦は、旅客機が意外に静かなのに戸惑いながら「きっと今日は試験飛行だから音を出さない様に飛んでいるのであり、空港ができたらきっと遠慮せずに騒音を出しまくるに違いない」と根拠の無い主張をしていました。

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まだ成田闘争が続いていた頃で、空港建設に反対するのは正義だ・・というトンチンカンな雰囲気が市民にもマスコミにも存在しました。神戸沖の空港建設には反対する人が多かったのです。

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それに対して泉州沖は、条件付き賛成派（つまり、補償金をたくさん出してくれれば文句はないというタイプ）が多く、金で解決するなら・・・という事になりました。

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それで結局、新空港は泉州沖になり、神戸案は無くなったのですが・・。　新空港の建設箇所が決まった直後、ゼネコン、土建、鉄鋼、等、ありとあらゆる業界が空港建設の利権に群がりました。

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まず漁業補償・・・。飛行場建設に関して、漁業補償を求めたのは和歌山県や徳島県だけではありません。高知県の漁民も要求しました。　当該海域で漁獲実績がない漁業協同組合がなぜ請求できるのか・・全くオヒョウには理解できません。あまりに法外な要求に呆れた空港会社が漁協の要求内容を公開して、明らかになりました。　何種類もの補償金を整理し減額して、最終的に合意したのは、たしか漁師1軒あたりで400万円程度の保証金だったはずです。それに味をしめた彼らが二期工事の際、再び請求したことは言うまでもありません。

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次に空港建設の内容です。海上に建設する空港については、従来の埋立てで造成した人工島に代わり、滑走路をメガフロートにする案が具体性を持ちました。1980年代、造船不況の中、巨大な海洋構造物であるメガフロートの建設が実現すれば、造船業界には朗報でした。そして技術的な検証がなされ、十分に可能である事が確認されました。　そして試算では埋立て方式よりもメガフロート方式の方が少し安価だったはずです。（メガフロートについては、別途、稿を改めて書きたいと思います）。

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しかし、結局メガフロートは採用されず、埋立て方式が採用されました。地元の山から大量の土砂を採取し埋立てを行う地元業者の利権を優先したのです。　しかし、結局この判断は高くつきました。埋立てて造成した人工島の沈下は、予想よりずっと激しく、工期が長引いただけでなく、総工費の増加をもたらしました。そして今現在もターミナルビルなどの沈降が続いているのです。つまり関西経済の地盤沈下を食い止めるための新空港の地盤沈下が止まらないのです。

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それ以外にも、関西新空港には多くの問題がありました。それをオヒョウが感じたのは、職場で１枚のポスターを見た時です。

「この人達は、分かっていないのではないか？」 

その内容については次号で申し上げます。

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