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【 モナコを侮るな その2 】 [フランス]

【 モナコを侮るな その2 】 

モナコはただの小国ではありません。 

海洋生物や水産資源について一家言を持つ不思議な国です。 実は、今回のドーハ会議でクロマグロの国際取引禁止を提案したのは、国家元首であるアルベール2世であると言われています。彼はワシントン条約締結国会議にこの問題を諮ったのが誤りであったと考え、別の手段、別の機会で水産資源の保護を訴えるかも知れません。

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彼が特別マグロを好きな訳ではないでしょうが、彼には、ひいひいおじいさんであるアルベール1世譲りの海洋生物についての思い入れがあるのでしょう。 20世紀の初頭、世界的な海洋学者であった、モナコ大公アルベール1世は、メキシコ湾から地中海にかけて広範な海洋生物調査を行い、今から100年前の1910年に、世界最大の海洋博物館をモナコに建設しました。その標本群は、今でも世界一級とされています。

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同じ名前を持つアルベール2世が、地中海の水産資源を心配する事は考えられる事です。 海洋生物や魚類に関心がある・・というと、日本の皇室と似ている・・と思われるかも知れませんが、モナコの場合はかなり違います。

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フランスの一部みたいな立場にありながら、かろうじてモナコは独立を保っています。 観光資源に恵まれ、カジノからの莫大な収入もあるモナコは裕福で、国民には税金がありません。 フランスとしては、なんとか併呑したい訳で、いろいろな圧力がかかります。

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先代のレーニエ大公の時代には、妃(グレース・ケリー)に世継ぎが生まれなければ、モナコはフランスに合併される・・という事になっていました。幸いにして、アルベール2世が生まれて、この問題はなくなった訳ですが、幸いでなかったのは、彼が母親の美貌を受け継がず、父親の容貌を受け継いだことでしょうかね・・・。ヘアスタイルは父親そっくりです。

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モナコは一時期、国連加盟国でありながら、外交権もフランスに取り上げられていました。それでは独立国と言えず、日本との国交も無かった訳です。今は外交権だけは回復し、そして日本との国交も現在はあります。

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そうなると、国際会議での提案・発議に関しても、微妙な立場になります。モナコはフランスの顔色を伺わずに、独自の提案をできるか?複雑な問題があります。 今回のドーハ会議の前、フランスはモナコ案に賛成を表明していましたが、投票箱の蓋を開けたらフランスは禁止反対派に廻り、モナコ案に反対していました。

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これをどう解釈すべきか?昔、オヒョウは出張で出かけたマルセイユの近くのFOSにあるシーフードレストランで、旧知のKさんにご馳走になった事があります。 地中海でとれたスズキ料理が特においしい店で、オヒョウは感心しました。 

Kさんに「 魚料理は日本が一番と思っていましたが、フランス料理の魚も実においしいですね 」と言うと、

Kさんは「 地中海でとれた魚は、日本と違い冷凍品がありません。スズキもそうですが、マグロも地中海マグロは冷凍せずに運ばれ、新鮮なうちに料理されます。フランス人は魚のおいしさに近年になって気付いたと言えます。まだ魚の食べ方、料理方法については日本に一日の長がありますが、地中海の魚資源の重要さにフランス人とイタリア人は、注目しています。やがて彼らはもっと魚を食べる様になるでしょう 」

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海洋生物には詳しいが水産業の規模が小さいモナコと、産業として地中海漁業と大西洋漁業が重要なフランスでは自ずと立場が違ったのです。モナコとフランスの立場の違いや政治的な確執が、これからのマグロ漁の運命を決めるのかも知れません。

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ではこれからどうなるのか?オヒョウは、世界の一部の人たちから非難されている、日本の捕鯨とマグロ延縄漁の、両方をこのまま残す事は難しいと思います。もし私が水産庁の長官なら、そのどちらかを残す形の取引をして、最も日本に有利な条件での妥結を図ります。 その場合、考慮しなければならないのは、モナコの海洋生物学者ではなく、中国人の胃袋です。

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資源を保護し、乱獲と価格の高騰を防ぎながら、日本人の食卓の魚を守る為に、どうするか? 中国人はマグロを食べ始めたけれど、クジラもそのうち食べだすかもしれない・・・・。 さてどうする?オヒョウには勿論名案などありませんが、自分が水産庁の長官なら、打開策を探る為に、グレース・ケリーの息子と話をするのも、悪くないと思うのですが・・・。


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